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【第40回】エルモア・ジェイムス、エディ・テイラー&ジミー・リード/サウス・サイド・ブルース

この「サウス・サイド・ブルース」というLPはA面とB面で別の人の曲が収録されているカップリング盤と呼ばれるものだ。オムニバス・アルバムのようにいろいろな人の曲が収録されているものはよく聞くけれど、このようにA面は誰々、B面は誰々とはっきりと別れているのはちょっと面白い。
そういえば昔、「NOW」という洋楽のヒット曲ばかりを集めたオムニバス・アルバムが流行ってて、友達に借りて聴いたことがある。確か「ペット・ショップ・ボーイズ」の「ゴー・ウェスト」が収録されていた「NOW1」だったはずである。今でもNOWシリーズは続いているのだろうか。
最初はヒット曲ばかりを聴き続けることができるなんて、便利なアルバムもあるもんだなと感心したものだが、いざ聴いてみるとそれほど良いものではなくて、以降「NOW」シリーズを聴くことはなかった。やっぱりこういうものは、好きなアーティストを探すという目的で聴くものであって、それ以上でも以下でもないものなのだなと感じたものだ。そんなわけで私はオムニバス物にはあまり良い印象を持っていないので、ブルースを聴く際にもそういったレコードは避けている。
この「サウス・サイド・ブルース」はカップリング盤なので、オムニバス物とは違うのだが、それでも「A面とB面で人が違うってどうなんだろう?」と懐疑的な気持ちであった。しかしお店でこのLPを見つけたとき、ジャケットのカッコよさ、お手頃な価格(600円くらいだったはず)からまぁいっちょ聴いてみるかという気持ちで購入したのである。
A面にはあの「ブルーム調」で有名な「エルモア・ジェイムス」の曲が収録されている。ベスト盤である「ダスト・マイ・ブルース」ではその「ブルーム調」でどれも同じ曲にしか聴こえなかったエルモアさんであったが、このLPで「ブルーム調」が使われているのは1曲目のみである。どの曲も同じに聴こえないし、どの曲もカッコいいブルースで、そしてエルモアさんってそのボーカル含めてとても力強いブルースを演っていたんだと気付かされた。このLPに収録されている曲がいつの時期のものなのかよくわからないが、私は「ダスト・マイ・ブルース」よりもこちらのエルモアさんのほうが断然楽しむことができた。
そしてB面に収録されているのは「エディ・テイラー&ジミー・リード」。「ジミー・リード」は前に「アイム・ジミー・リード」というLPで、田舎っぽいブルースだと書かせていただいた人で、「エディ・テイラー」はその相棒である。ギターでジミーさんを支えた人であるが、このLPのA面でもギターを弾いていたりする。ジミーさんも名前を連ねているけれど、テイラーさん名義の初期ベスト・テイク集のようだ。
中身はエルモアさんみたいな力強さとは違って、軽快な感じのカッコいいシカゴ・ブルースが楽しめる。ボーカルとかうまいとは思わなかったけれど味がある感じ。どうしてもA面のエルモアさんと比べてしまうけれど、こっちはこっちでまた違う雰囲気で面白い。
そんな感じで初のカップリング盤で懐疑的だったけれど、エルモアさんってカッコいいと思ったし、初テイラーさんも味があって良かったし、両面ともに楽しむことができた。これは聴かず嫌いせずにオムニバス物にもチャレンジしてみるべきか。

エルモアと
一緒にブルース
やってらー(テイラー)

季語はブルース。

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