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【第46回】ジミー・ロジャース/ザ・クラシック・シカゴ・ブルース

どうでも良いことではあるのだが、耳にするとどうしても違和感を感じてしまうフレーズがある。それは「最も○○なうちの'一人'」というフレーズ。これいろんなとこで目にしたり耳にしたりするんだけれど、「最も」って言ってる時点で一人しかいないはずなのに、「うちの'一人'」って言ったら複数人いることになってしまい、それじゃあ「最も」じゃないじゃんっていつも思ってしまう。だって「頂点は常に一人」って言うじゃない。
そんなわけで今回は私の最も好きなブルースマンの一人と言っても過言ではない「ジミー・ロジャース」についてである。すいません、弱気になりました。私の最も好きなブルースマンである「ジミー・ロジャース」について書きます。
ジミーさんは「シカゴ・バウンド」が有名だけれど、そのLP名やジャケットからは想像できないくらいにクセのないブルースを演る人である。私はこのクセのないブルースがクセになってしまい一時期「シカゴ・バウンド」ばっかり聴いていた。好きすぎてレコードを2枚持っている。試聴用と観賞用ってやつだ。観賞用といえば「シカゴ・バウンド」はジャケットも最高である。「シカゴ・バウンド」を聴きつつ、ニヤニヤしながらジャケットを眺めるのは至福の時間だ。
そして今回聴いてみたのは「ザ・クラシック・シカゴ・ブルース」という2枚組のLPである。「シカゴ・バウンド」同様チェス時代の録音を集めたもののようだが、「シカゴ・バウンド」と被り曲がなくてとてもありがたい構成となっている(2曲バージョン違いが収録されているけれど)。
中身についてだが1枚目と2枚目で印象が結構違う。1枚目は「シカゴ・バウンド」と同じような雰囲気である。クセがなく聴けば聴くほど体に染み込んでくるような感じ。「シカゴ・バウンド」を気に入ってこれを聴いたら期待通りのブルースで満足できるのではないだろうか。「シカゴ・バウンド」に収録されていた「ユーア・ザ・ワン」や「ルーデラ」の別バージョンが収録されているので、なおさら「シカゴ・バウンド」をイメージする。
さて、続く2枚目だが「シカゴ・バウンド」のイメージとは少し違ってくる。いろいろな種類の曲をごちゃまぜにしたような感じだ。「マイ・ベイビー・ドント・ラブ・ミー・ノー・モア」や「ドント・ターン・ミー・ダウン」なんかはとても爽やかなポピュラー・ソングみたいな感じがする。「ホワット・ハブ・アイ・ダーン」や「トレイス・オブ・ユー」なんかは「レイ・チャールズ」が歌っていそうな曲だ。「ロック・ディス・ハウス」なんかはロックンロールっぽい。こんな感じでいろいろ演ってるんだけど、それでもやっぱりクセがないところが、私の好きなジミーさんである。
クレジットを見てみると別に年代順に並べられているわけでもなさそうなので、これは狙ってそういう編集にしたのだろうか。1枚目はイメージ通りのジミーさん、2枚目はいろいろな顔のジミーさんみたいな感じで。そんないろいろなジミーさんを楽しめる2枚目だけれど、聴いていてカッコよいなと感じるのは「ミストリーティッド・ベイビー」や「ホワッツ・ザ・マター」のようなブルースだったりするので、やっぱりこの人はスロー・ブルースの似合う人なんだなぁと改めて感じてしまった。
さて、そんなわけで「ザ・クラシック・シカゴ・ブルース」は、私の最も好きなブルースマンであるジミーさんの、いろいろな面を楽しめるLPでありました。ジミーさん聴きたいなぁと思ったら「シカゴ・バウンド」を選ぶことが多いけど、私はこっちも嫌いじゃないよ。

地味(ジミー)だけど
ブルース以外も
あるんじゃー(ロジャース)

季語はブルース。

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