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【第45回】ロバート・JR・ロックウッド&ジ・エイシズ/ブルース・ライブ!

「ロバート・JR・ロックウッド&ジ・エイシズ」の「ブルース・ライブ!」を聴いていたら、ライブ盤を聴く理由ってなんだろうって改めて考えてしまった。当然音質とかバランスとかはスタジオ盤のほうが優れているはずなので、普通に曲を聴きたい場合はスタジオ盤が良いのだろう。しかしライブの迫力とか熱気を感じてみたいという場合はライブ盤はとても便利だと思う。
例えば「B・B・キング/ライブ・アット・ザ・リーガル」なんかはB・B・キングの軽快なトークでお客さんを巻き込んだショーのような雰囲気を感じることができた。「マディ・ウォーターズ/アット・ニューポート」ではマディさんの堂々とした力強いブルースをお客さんにぶつけていて、それでいてサービス精神と男気を感じることができるライブ盤であった。
ブルース以外でも結構ライブ盤をそれなりに聴いてきたけれど、興奮してスタジオ盤に比べて異様に演奏スピードが早くなっているものや、独特なMCから演奏に入っていくものなど、ライブ特有の雰囲気を楽しむことができて面白い。中には演奏が雑すぎてうるさく感じるだけのものもあったけれど、それはそれでそういった一面が見れるのは楽しいものである。
だがこの「ブルース・ライブ!」はどうだろう。私はロックウッド氏のLPはほかには「ステディ・ローリン・マン(以下「ローリン・マン」)を聴いていたけれども、このスタジオ盤と「ブルース・ライブ!」に雰囲気の違いをほとんど感じることができなかったのである。当然ライブ音源なのでお客さんの歓声は入っているし、盛り上がっている感じもある。しかし演奏のほうは「ローリン・マン」とほとんど変わらない雰囲気の、とても安定した演奏が繰り広げられているのだ。
ここまでスタジオ盤と変わらない演奏を聴かせてくれるのであれば、スタジオ盤で十分な
のではないかと思ってしまい、冒頭のように改めてライブ盤を聴く理由を考えてしまったのである。
ただ勘違いしないでほしいのだが、このLPの出来自体は非常によい。「ローリン・マン」でも感じたような落ち着いた、聴いていて実に心地の良いブルースである。「ローリン・マン」と被っている曲もないし、「スイート・ホーム・シカゴ」や「ストーミー・マンデイ」といった有名どころのブルースも演っているので聴き応えもある。
そしてこのLPは日本で行われた「ブルース・フェスティバル」の模様を収録したものである。なんかこんなに素晴らしい演奏が日本で演られていたなんて考えると、なんか嬉しくなってしまう。そして帯には「於:東京・郵便貯金ホール」というイカした記載もある。そんなわけで私は結構気に入っているLPなのである。
それにしてもライブでもこれだけ安定した演奏ができるってことは、ロックウッドさんとエイシズの面々って相当な実力者なんだろうなぁ。なんてこともこのライブ盤を聴いていて改めて感じたので、結局私のライブ盤に対する考えは、やっぱり聴いてみると面白い発見あるよねということで落ち着いたわけだ。そんなわけであまりライブ盤の在り方とか些細なことは考えたりせず、この熟練のブルースの音を楽しむことにしよっと。

エイシズと
安定ブルース
やるんじゃあ(JR)

季語はブルース。

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