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クラフトビールから挑む、大洗の新しい文化「Beach Culture」

茨城県潮来市出身で、2021年6月から大洗シーサイドステーション内にクラフトビール醸造所「Beach Culture Brewing」(ビーチカルチャーブルーイング)を開店した風間智さん。元々はお酒と関係のない仕事をしていた風間さんが「なぜクラフトビールの世界に飛び込んだのか」。そこから見える風間さんの挑戦と大洗との関係性に迫っていきました。


- クラフトビールとの出会い

社会人になって20代は転職をしながらいろんな仕事をしてきました。30歳を過ぎた時に「一生できる仕事をしたい」と思い、そこで出会ったのがお酒で、日本酒の蔵で醸造工程を行う職人である杜氏に憧れたのがきっかけでした。

ただ、杜氏は求人が頻繁に出ている職ではないので、杜氏に限らず何かお酒関連の仕事ができないかと思っていました。そんな時、出身地の隣市である鹿嶋市にブルワリーができて、そこで約4年間かけてビールづくりや店舗運営のノウハウを学びました。その後、大洗町で初のブルワリー「Beach Culture Brewing」を立ち上げるに至ります。

ビールづくりを一生の仕事にしたいと思うようになった風間さん

- クラフトビールの可能性

お酒づくりの世界に入ってみて、お酒が出来上がるまでの「過程」に面白さを感じました。お酒は多種多様な菌でつくられているのですが、これが私にとっては「人間社会の縮図」だと感じました。というのも、菌の中には夏には強いけど冬には弱かったり、その逆の菌もいたりして、そこに「多様性」があることに気づいたんです。

人間社会も俯瞰して見ると、いろんな人たちがいて、性格も特性も一人ひとり違くて、得意・不得意があって、お互いに支え合って成り立っていますよね。お酒も全く同じで、いろんな菌がいて、最終的に一つのお酒が出来上がっていきます。

私はクラフトビールをきっかけに、新たなコミュニティがつくられていく世界観をイメージしています。お酒づくりの工程と人間社会の成り立ちの共通点の発見はクラフトビールの可能性を見出した瞬間でもあり、私がクラフトビールをつくる原点でもあると思います。

ビールづくりの過程と人間社会の成り立ちには共通点がある

- 大洗のポテンシャルは無限大

独立してブルワリーを展開する場所の候補はいろいろありましたが、出身地である茨城県の中で大洗町は昔から好きな場所でした。あとは、2011年の東日本大震災が起きた前日にも大洗にいたという偶然もあって、大洗の活性化に何か貢献できればという思いもずっと持っていました。最終的には妻からの後押しがあって、大洗での開業を決意しました。

そこから開店準備を進めて、お店をオープンして、町内に住む人たちや観光で訪れた人たちとの交流を通じて大洗との関わりが深くなる中で、大洗に対する印象も大きく変わっていきました。お店を始める前は「大洗=観光地」という側面が強かったのですが、広大な海が広がる環境にファッションや音楽など新しい文化を加えていければ、より魅力あふれるまちになるのではないかと思うようになりました。

例えば、神奈川県鎌倉市は独自の海岸文化や歴史といったものが調和したまちで、観光だけでない楽しみ方ができます。それと同様に、大洗ならではの文化もつくれるはずで、大洗にはそのポテンシャルがあるまちだと思っています。

大洗ならではの海岸文化がクラフトビールをきっかけにできていく

- 新しい文化としての「Beach Culture」

私にとって大洗は、「まち全体が気張っていない」「ゆっくりとした時間が流れていく」感じのメロウな雰囲気が一つ魅力だと感じています。海で何も考えずぼーっと過ごすだけで有意義な時間になるまちなんです。

そんな場所で、クラフトビールを片手に海辺でくつろいだり、新しいことがそこから生まれたりして、その人の集まりの中にクラフトビールもあったら嬉しいです。あとは、クラフトビールを飲みながら大洗の広大な海で映画を鑑賞するみたいな映画祭やイベントをやってみたいなと思っています。

海辺での新しい文化「Beach Culture」は決して私一人でつくっていくものでも、盛り上げていくものではなく、大洗に関わるいろんな人たちと体感・共感しながら、広げていくことが大事だと思っています。

また、世界を見てみると、数えきれない多種多様なビールがあって、それをきっかけにコミュニティが広がっています。大洗でもクラフトビールをきっかけに、新しい人の流れやコミュニティが生まれたらいいなと思っています。

個性的なキャラクターが描かれるビンのラベル

- 思い描く未来と今後の課題

私が目指している「Beach Culture」という視点では、観光の流れだけでなく、そのほかの楽しみ方や新しい流れもつくっていくことが大事だと思っています。その流れは少しずつ出始めていて、商店街や町中に新しいお店ができているのをみても、これまで大洗になかったような新しいコンセプトやカテゴリーのお店が出てきています。

また、私と同じように「大洗町を面白くしていきたい!」という価値観を持った事業者さんもたくさんいることも見えてきています。私が開店する時も感じましたが、大洗はいろんなアクションを起こすことができて、まち全体でそれを許容してくれる雰囲気があると感じています。そういった同じ思いを持った事業者同士が手を取り合って、一緒にイベントを企画運営することができれば、もっとまちを面白くしていくことができると思っています。

さらに「Beach Culture Brewing」というお店という視点では、大洗の観光の目玉として大きくしていきたいと思っています。そのために、今のブルワリーをもっと大きくしていくことや、ブルワリー見学ができたり、体験ができる場所にしたいです。ただ現在、製造から販売までをほぼワンオペで行なっているので、手が回らない部分が多々あるので、今後の課題としていかにそういったところに時間をかけられるかだと感じています。

製造・販売する場所から、見学・体験もできる場所にいていきたいという

- メッセージ

大洗に住んでいる方、関わっている方、訪れる方など、皆さんの生活の中に「Beach Culture Brewing」をきっかけに、新たなつながりが生まれるように、今後も頑張っていきます。私の思いを知っていただいた上で、クラフトビールを片手に「Beach Culture」を感じていただけたら嬉しいです。

- 編集後記

私自身がお酒好き(特にビールが好き)ということもありますが、風間さん(Beach Culture Brewing)との出会いは、私が大洗に何度も足を運ぶ理由の大きな一つとなっています。

クラフトビール自体の美味しさはもちろんのこと、足を運ぶ度に新しいクラフトビールとの出会いがあるのも大きな魅力です。私のお気に入りは、スパイシーなクラフトビールを片手に海辺から夕陽が沈むのを眺めることです。まさしくこれが、私にとっての「Beach Culture」なんだと思います。

ぜひ、Beach Culture Brewingでクラフトビールを飲んでみてください。きっと、あなたにとっての「Beach Culture」が見つかりますよ。

◆Beach Culture Brewing ホームページhttps://beachculturebrew.mystrikingly.com/

◆Instagram
https://www.instagram.com/beach_culture_brewing/

◆Twitter
https://twitter.com/BeachBrewing


取材・執筆:坂本 大志(大洗クエスト)
撮影・編集:萬里小路 忠昭(大洗クエスト|大洗町地域おこし協力隊)

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