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風車。

『風が強ければ強いほど風車もよく回る。転じて、相手の力を限界以上に引き出した上で、自分がさらにその上の力を出して相手を倒すことで、自分だけでなく相手も輝かせるという理論』
ご存知、アントニオ猪木さんの『風車の理論』である。
アントニオ猪木さんは、どんな選手とも試合を創れる。
どんなデクの棒とも試合になる。
有名なタッキーと試合をした時も。
小錦のお兄ちゃんと試合をした時も。
あの『キラー・イノキ』のグレート・アントニオ戦だって、ああいう事をして『試合』を成立させたかも知れない。
有名な言葉で「猪木はホウキとも試合ができる」である。
相手がいて初めてできる試合なのに、一人でも魅了させる事ができるのだ。
ホウキが相手でも試合にさせる事ができるのだ。
7月30日。
日曜日は、青木真也選手は岐阜でコンボイ西尾選手という人と試合だった。

僕は注目していた。

見えない試合だからこそ。
(どうなるんだろうなぁ)って試合だからこそ。
今の試合って大体見えちゃうんですよね。
大舞台であればあるほど。
コンボイ西尾選手みたいに(どんな選手なんだ!?)と名も知られていない人ほど何やってくるかわからないんですよ。
知らない選手とほど、闘うのは怖いですからね。
プロレスルールだからって、相手が突然に怒って襲いかかる事だってあるんです。
でも、僕にはそういった相手や試合ほどビンビンにくるのだ。
もう僕も狂いたいんですよ。
普通の試合では満足できていないから。
日曜日行きたかったけど、シフトの関係上行けなかった。
4月になってから辞めていく人が増えている。
そんな時にムリも言えない。
それに「行きたかったんですが・・・」ってツイートする人大嫌いなんですよ。
行けないんだから書かなくて良いんです。
行きたいんですよ!
って事を強調したいんですけど、そんなのかまってちゃんだ。
行けた時に堂々と書けば良いんです。
話を戻して。

ツイッターで探しても、どんな結果だかわからない。

これぞ『現場主義』だった。
悔しい!
そんな時にコンボイ西尾選手のツイートが。

青木選手がラリアートを受けている!
そして、コンボイ選手も負けたが嬉しかったのであろう。
自身が昔 少年時代に憧れた『プロレス』を体感できたのではないだろうか。
僕は青木選手がハチャメチャに試合すると思っていた。
だが、試合は成立させたようだ。
聞けば、良い試合だったと知る。
そこで浮かび上がったのは『鈴木みのる』選手なのである。
新日本プロレスからUWF=藤原組=パンクラスと格闘技に向かって行きプロレスに戻ってきた。
戻ってきた時、普通に試合していたら高山選手に言われたそうだ。「みのるの個性が出ていない」「合わせていたらお終いだぞ」って。
そこで鈴木みのる選手は自身のスタイルを確立させた。
鈴木みのる選手は大きい。
身体が大きいのではない。
『存在』が大きいのだ。
誰が相手でも試合を『成立』させる。
どんな相手でもだ。
それを思い出させた。

青木選手も、そうだったのだろう。
相手を最大限に引き出して、最後は勝利を得たのであろう。
このような地方などの舞台だからこそ『チカラ』が必要になってくる。
相手を叩き潰せば、それまでなのだ。
だが、そのようなマスターベーションをするよりも、相手とのSEXを存分に感じてそれを観客に届ける。
観客も満足する。
『青木真也』も大きくなっているのだ。
存在感が大きいからこそ、観客はコンボイ選手を応援した。
コンボイ選手もそれに合わせて奮闘したのであろう。
コンボイ選手もこれからだ。
入口はなんだって良い。
道を切り開くのは己のチカラである。
その上での『青木真也』というブランドの大きさですよ。
と、見てもいないのにこれだけ語る・書く事ができる。
これぞ『プロレス』なのである。
この日は、超RIZIN2がさいたまスーパーアリーナで大会を行われていた。
その裏で、青木選手は岐阜で100人もいない場所で闘われていた。
その姿を考えるだけで本当にカッコイイと思えるのである。
僕には「ザマァみろ!」と聞こえてくるのである。
そして移動中もノートを執筆し、RIZINの試合が終了すればすぐに出された。

わかりますか?
青木選手はこの日ずっと『プロレス』されていたんですよ。
プロレスは『予定調和』ではない。
相手との緊張感のやり取りだ。
ずっと闘われていたんですよ。
そして、超RIZIN2にも『風車の理論』をされていたのである。

1988年ソ連がロシアへと動く前兆の時、ソ連のアマレスの選手を日本でプロレスをさせようと猪木さんは動いた。
その時にレスラーに伝えたのが『四つの柱』である。
猪木流プロレス定義『四つの柱』
一・受け身は己を守るだけではない。優れた受け身の技術はかけられた技をより美しく見せられる。
二・攻撃は見る者に力強さと勇気を与える。攻撃した相手にケガをさせないのもまたプロの技術だ。
三・プロレスの持つ最大の魅力は、人間が本来持っている怒り、苦しみという感情を直接、人に訴えることができることである。
四・人とは、漢字では二つの棒が支え合っているという意味だ。感動的な試合、激しい試合はレスラー同士の信頼から生まれる。

これを聞いた当時のソ連のレスラーは「日本で是非プロレスをしたい!」となったのである。

コンボイ西尾選手戦で、また大きくなった『青木真也』
次戦はその鈴木みのる選手とタッグを組む。
GLEATで両国国技館で。

どのような化学反応が起こるのか楽しみである。
やはり、プロレスはおもしろい。
その時でなきゃ、わからないんだから。
誰かが言った。
『プロレスとはアントニオ猪木を考える事』と。
ならば僕は今『プロレスとは青木真也を考える事』になっているようだ。
青木真也選手は『プロレスラー』だから。

最後に僕が好きなアントニオ猪木さんの言葉を。
「ダメだと思うからいけないんだ、そうしたいと思えばそうなるんだよ」
自身の身辺に風が吹いている限り、己自身はただ回りたい・回り続けたいと思っていれば良いのである。
それが好きな方向に流れていく。
それも『風車の理論』なのである。


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