13歳からのアート思考

年末に「13歳からのアート思考」という本を読んだ。学校の美術の先生がアートとは何か?というお題を現代アートを中心にわかりやすく紐解いてくれていて、とてもおもしろい本だった。

この本の中にスティーブ・ジョブズの話が出てくる。言わずもがな、アップルの創始者であり、iPhoneの生みの親である。僕が尊敬する人のひとりでもある。成功者であるように見えるスティーブ・ジョブズも、決して優等生でもなければ順風満帆な人生でもなかったことはよく知られている。この本の中で、彼の「Connecting the dots」という言葉が紹介されている。日本語に訳すと「点がつながる」という意味だ。自分がやりたいこと、好きなことを諦めず追求していれば、その時々で起きていることは一見関係性がないように見えて、実は点と点が繋がって形となる。

スティーブ・ジョブズと僕を比べるのはおこがましいが、この言葉はまさに今の自分に当てはまるなと感じている。ちょうど去年の今頃、僕は後悔に苛まれていた。なぜ、転職したんだろう?、なぜうつ病になるほど仕事をしたんだろう?、なぜ甲状腺がんになった時、もっとちゃんと病気のことを調べなかったんだろう?なぜ?なぜ?なぜ?しかし、今の僕は決して不幸ではない。それどころか、50歳にして本当におもしろい仕事をさせてもらってる。仕事の真価を問われるのは、まだこれからだけど、うまくいけば、この仕事は天職だと思う。50歳でようやく天職に出会えるなんてと思われるかもしれないが、逆に50歳で天職を見つけられることのほうが奇跡だ。何故なら、ほとんどの人は50歳にもなれば遅くても30代くらいから働いている会社で落ち着いて、この歳では管理職になって、週末はゴルフに興じるような人生を歩んでるからだ。僕の周りには、事業に成功したり、出世してる知り合いもたくさんいるけれど、彼らの中で、羨ましいと思う人はほんの一握りだ。そう考えると、まるで20代の若者のようにチャレンジングな人生を歩めるというのは奇跡でしかない。しかも、転職を繰り返したことも、病気をしたことも、全てが繋がって今がある。僕が適当な就職活動をして最初に入社したインテリアのメーカーで働いてなかったらデザインを好きにならなかっただろうし、僕がうつ病にならなかったら転職してなかっただろうし、転職してなかったら今の人脈も作れてなかった。僕が一年前に後悔していたあらゆることは、全ての点が繋がっていて、今の自分がある。そして、その点を繋いでいるのは、僕ではなく家族であり、友達であり、仕事や趣味で知り合った多くの人たちであり、病院の先生や看護師の方など、僕の人生に少しでも関わった全ての人である。

ただ僕がこれだけは自信を持てるのは、諦めなかったことだ。僕は特別ではなくて、どちらかと言うとヘタレな人間だ。そして馬鹿だ。50歳でスケボーを始めるような人間なのだから。

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