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認知症の母と一日一緒にいて分かったこと

昨日のことである。

僕が家で呑気に鼻をほじりながら、スマホでnoteにカウンセリングに行った記事を書いていたところ、母から着信があった。電話に出てみると、

「もしもし?あの、高槻警察ですけどね、お宅のお母さんが泥棒に入られたとかで、今、家に来てるんですけど、話が二転三転して、どうも要領を得ないんですわ、今から来れませんかね」

と言う。

どうやら母が泥棒に入られたと騒いでいて、心配した近所の人が警察に電話をしてくれたらしい。僕も慌てて実家に向かったが、警察の方の話によると、確かにお金は無くなっているが、人が侵入した形跡はないと言う。結局、被害届は出さず、その場は収まったが、今日になって母が泣きながら電話してきた。

お父さんが出て行ってしまって戻ってこないから、どうしたらいいか、父と連絡を取って欲しいと言う。父は6年前に他界している。

母が取り乱しているので、すぐに実家に向かい、今日は母と1日一緒に過ごしたが、いろいろわかったことがあった。

①母の近所付き合いは良好だった
昨日の泥棒騒ぎもあり、お隣さんや警察に連絡してくれたご近所さん、民生委員さんのお宅を訪問し、話を聞いた。母からご近所さんや自治会の方の話を聞いたことはあったが、実際に、ご近所さん達の話を聞くと、母が認知症であることは認識しているが、特に人に迷惑をかけることもなく、皆さん、母を気遣い、温かく見守ってくださっていた。

②家の家事は問題なくできている
母は一人暮らしなので、果たしてちゃんと身の回りのことができているのか不安だったが、僕が何度か買い物などで外出して帰ってくると、普通にご飯を作ったり、洗濯をしたりしていた。また、母は曜日感覚が全くなくなっているのに、不思議とゴミ出しなどはきちんとできているようだった。

③少し状況が変わると全く理解できない
母が財布をなくした(盗まれた?)と言うことで新しい財布を買いに行った。札入れと少しのカード入れ、小銭入れが付いたなるべく単純なものを買ったが、財布と言うことはわかっているものの、小銭入れにお札を突っ込むなど、使い方はまったくわからないようだった。

母が認知症になり、症状が悪くなってきてから、最近会話が少なくなっていた嫁さんともいろいろ話をするようになった。嫁さんはうちの母のことを心配してくれているし、僕のことも心配してくれているようだ。僕も嫁さんに迷惑をかけないように気遣っているし、こういう時はお互いが協力しないといけないということを、僕も嫁さんも口には出さないが感じていると思う。

あと、鎌倉に住んでいて疎遠になっていた兄ともよく話すようになった。実は僕は兄のことがあまり好きでなかったが、母の認知症がきっかけで、兄弟で協力するようになった。

母は認知症だけど、よくよく考えてみると、体は元気で、寝たきりでも難病でもない。人より少し物忘れが多かったり、ちょっと妄想があったりするだけだ。周りのサポートは必要かもだけど、母を中心にみんなが協力してくれているし、母の認知症がきっかけで母を中心にみんなの絆というか繋がりが強くなっていると感じる。

今日、母とご飯を食べに行って、大好きなソフトクリームと雑炊をおいしい、おいしいと言って、交互に食べる母を僕は微笑ましく眺めていた。周りのお客さんは不思議がっていたかもだけど、お母さんの嬉しそうに食べる姿を見て僕もうれしかったよ、お母さん。

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