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側弯症と運動

側弯症は背骨が左右に弯曲している状態で、回旋を伴っていることもあります。小児の時にみられる脊柱変形を指しますが、大人になっても怒ることがあるそうです。
今回は側弯症に関する運動療法に関してまとめてみました。


参考文献

Tolo, V.T., Herring, J.A. Scoliosis-specific exercises: A state of the Art Review. Spine Deform 8, 149–155 (2020). https://doi.org/10.1007/s43390-020-00036-1

運動と効果

側弯症に対する運動療法は多くの施設などで行われていると思います。その中で、側弯症に特化した運動療法がヨーロッパやアメリカを中心に行われているそうです。

今回の文献では成長期におけるAIS(思春期特発性側弯症)の進行を予防するという有効なエビデンスを示す研究は見つからなかったと報告しています。構造的な問題に対してはなかなk効果が出にくいのかもしれませんね。

しかし、今後も多くの研究がなされると思いますので期待しましょう。
今回は側弯症の運動療法のなかで代表的な7つの流派が記載されていましたので、紹介します。


側湾症への特異的な運動方法

The Schroth method

1920年代にドイツでカタリーナ・シュロスにより考案されました。
脊柱側弯症の3次元的特徴に基づく分類システムを含み、その分類システムを用いて、個人のカーブパターンに特化した姿勢やエクササイズを適用します。
・股関節-骨盤ブロック
・腰椎ブロック
・胸椎ブロック
・肩関節ブロック

の5つのセグメントに分けられ、ブロックを使って、患者の脊柱起立筋の側方移動と回転力、圧縮力を説明します。

5つの矯正原則は、
(1) auto elongation
(2) deflection
(3) derotation
(4) rotational breathing
(5) stabilization
があるそうです。

骨盤矯正を指導し、様々な体位で脊柱の矯正を促進するための筋肉の活性化と、回転角呼吸(RAB)を指導します。


The Barcelona Physical Therapy School (BSPTS)

Manuel Rigo医学博士によって設立されたバルセロナ理学療法学校(BSPTS)は、側弯症患者の管理に対してシュロスベースのアプローチを教えています。カーブに特化した3次元姿勢矯正、筋群の活性化、呼吸エクササイズを指導します。
カーブパターンを識別するための分類システムはRigo博士によってシュロス法から改良されたものです。Rigo分類システムの使用は、Soci- ety on Scoliosis Orthopedic & Rehabilitative Treatment (SOSORT) によって支持されています。この方法は、米国で最も普及している脊柱側湾症に特化した治療法だそうです。


The Scientific Exercise Approach to Scoliosis (SEAS)

1960年代にイタリアでNegriniらによって始まりました。
患者に脊柱の異常を自覚させることから始め、積極的な自己矯正を学び、矯正された姿勢での姿勢制御と脊柱の安定性を獲得・維持できるようデザインされた機能的エクササイズを行います。
エクササイズの主な目的のひとつは、患者が日常生活における最適とは言えない状況下でも矯正された姿勢を維持できるように、コントロールされた方法で自己矯正に挑戦することです。矯正された姿勢での筋力と持久力を発達させ、矯正された姿勢でのバランスを再教育し、この新しい神経運動パターンを日常生活に統合するしていきます。装具が必要な場合は、SEASと装具を併用します。


The Functional Individual Therapy for Scoliosis (FITS)

2004年にポーランドでMarianna BailekとAndrzej M'hangoによって開発されました。
他の脊柱側弯症に特化した他の方法からいくつかの要素を取り入れながら、独自のコンセプトも採用し個人に合わせた非対称で複雑なエクササイズの枠組みを作り出しているそうです。
各個人の特徴的なカーブの位置、大きさ、回転、骨盤と肩甲骨の位置、体組成、筋肉の緊張、呼吸パターン、心理状態を考慮します。

介入には3段階あり
1 stage:身体的評価と患者教育
2 stage:感覚運動バランストレーニング
3 stage:患者はカーブの安定化を学び、機能的な体位での矯正パターニング


The Lyon Approach

脊柱側弯症に特化したエクササイズとリヨンARTブレースを組み合わせたものです。
20世紀半ば頃、フランスで開発されました。
伝統的にギプス固定と装具が中心でしたが、側弯症に特化したエクササイズも含まれています。
脊柱の伸展を避け、胸椎の後弯、腰椎の前弯、前額面の矯正、安定化、バランス、プロプリオセプション、機能的活動を強化します。


The Dobomed method

1979年にポーランドのKrystyna Dobosiewiczによって開発されました。
側弯症患者のための入院プログラムとなっており、側弯症に対する運動と装具療法となっています。
胸椎の「カイフォタイゼーション」と腰椎の「ロー ドタイゼーション」に重点を置き、一次側湾の矯正に向けたモビリゼーションを行うそうです
骨盤と肩のsettingと安定化を最初に行うのが特徴的です。


The Side Shift approach

1984年にMin Mehta博士によってイギリスで開発されました。
体幹の側方移動を繰り返すことで脊柱の柔軟性を促進、軟部組織を再調整し、矯正された姿勢の体性感覚統合を促進するというものだそうです。


私の周りではあまり側湾症に対する運動などを聞いたことないのですが、世界的には様々な方法が開発され、治療方法として確立しているのでしょうか。
具体的な方法なども研修会などあるそうなので、今度参加してみたいと思います。

ではでは。

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