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筋・筋膜性腰痛①

筋や筋膜性の腰痛はよく耳にしますね。字の通り筋肉や筋膜由来の腰痛です。
まとめてみました。

参考引用

成田崇矢編集. 脊柱理学療法マネジメント機能障害の原因を探るための臨床思考を紐解く. メジカルビュー社, 2019.

筋・筋膜が関与する腰痛については
・筋・筋膜性腰痛
・脊柱起立筋付着部症
・体幹筋肉離れ
の病態に分かれます。
しかし、これらの病態などに関する基礎的な研究は少なく、はっきりとしたメカニズム等はわかっていないそうです。

筋・筋膜性腰痛

筋は結合組織(fascia)で包まれています。
fasciaには豊富に神経組織が分布し、侵害受容器やルフィニ小体、パチニ小体などの固有受容器の存在が確認されています。また、過活動や不活動などが誘因として炎症が生じると、疼痛感受性が高まり、炎症によって生じた線維化により筋膜間の滑走性が低下するとされています。

筋膜は筋周囲を覆う筋周囲筋膜、皮下に薄く広く分布する皮下結合組織(superficial fascia)、より厚く全身に連結し筋 組織の張力を伝達するdeep fasciaに分けられます。deep fasciaは直立位などの姿勢保持や動作を行う際に緊張力を全身に伝える働きをもちます。
局所的な筋損傷による炎症や不活動が生じると、筋は萎縮しfascia周囲は線維化し運動機能の低下を招きます。このような線維化したfasciaに生じる圧痛点や硬結は腰痛や肩こりの原因になると考えられます。
また筋膜には侵害受容器が存在し、疼痛は関連痛として、deep fasciaを介してより遠位部の疼痛として認識されることがあります。

筋・筋膜の線維化による組織の伸張性や滑走性の低下は、体幹筋機能の低下や身体機能低下、不適切な運動によって局所挙動が亢進し、炎症が生じることで組織の線維化を促進する悪循環を招きます。また疼痛によって末梢性感作、中枢性感作が生じると動作や行動が減少し、身体機能が低下してしまうという悪循環も生じます。
これらの悪循環を断つことが慢性腰痛の保存療法には求められます。

腰部には胸腰筋膜が存在し・腰椎横突起や棘突起に付着し、筋膜内の腹横筋の収縮によってその緊張が増し、腰椎の安定性に貢献します。
豊富な神経組織が確認されておりら腰痛の発生源になりうるとされます。

筋組織の繰り返しの遠心性収縮によって遅発性筋痛とよばれる筋痛も出現します。腰背部の筋への繰り返しの負荷によって生じ、コンパートメント内圧が上昇し筋膜への刺激によって鈍痛や違和感などの症状が生じると考えられます。


筋・筋膜性腰痛は最近出てきたワードですかね。セラピストは患者さんだけでなく、セラピスト自身も腰痛持ちの方がいると思います。筋・筋膜性の腰痛の可能性がありますね。
次回以降は他の腰痛についてです。

ではでは。

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