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手根管症候群

手根管症候群は絞扼性神経障害の代表的な疾患ですね。
まとめてみました。


参考引用

尼子雅敏. 絞扼性末梢神経障害のリハビリテーション医療. Jpn J Rehabil Med 2023; 60: 202-209.

手根管症候群

概要

手根管症候群(carpal tunnel syndrome:CTS)は、手関節掌側の手根管内で正中神経が絞扼されることで発症します。中年女性に多い、絞扼性神経障害
の中で最も多い疾患です。

症状は
・しびれや感覚異常
・母指球筋の筋力低下、筋萎縮
です。

特発性、手根管内の占拠性病変、骨折などによる変形、感染、関節リウマチ、透析に伴うアミロイドーシスなどが原因として挙げられます。

手の過使用などは手根管内の屈筋腱や腱鞘滑膜の肥厚を引き起こし、手根管内圧の上昇、神経圧迫や血流不全から脱髄や軸索変性を生じさせます。


治療

治療方法として
・装具療法(スプリント療法)
・ステロイド薬の手根管内注射
・ストレッチング
・運動療法
・物理療法
・ハイドロ・リリース(Hydro-release)
・多血小板血漿注射療法(platelet-rich plasm:PRP 療法)
・手術療法
などが挙げられます。

セラピストとしては装具療法やストレッチ、運動療法、物理療法、手術療法は関わることがありますね。

装具療法(スプリント療法)
ギプスシーネや装具(スプリント)により手関節の安静を保ち、屈筋腱鞘滑膜の腫脹を減少させ、手根管内圧を減少させます。
善が得られる.手根管内圧は掌背屈中間位において最も低くなりますので、それに合わせた装具を使用します。

ストレッチング
軽症例に対して、横手根靱帯のストレッチングを行います。
母指と小指と対立させたのち、最大に開排させたり、母指球筋を開排するストレッチングも行います。

運動療法
手根管内の屈筋腱や正中神経の癒着を防止し、滑走を促すためにに腱滑走法や神経滑走法が行われます。
腱滑走運動は手指を伸展した状態からMP関節、PIP 関節を独立して屈伸させます。
神経滑走運動は手指と母指を伸展させて手関節を屈伸させながら正中神経の滑走を行う運動です。

物理療法
超音波治療や低出力レーザー治療が行われます。また、体外衝撃波治療も行われてきたいます。

手術療法
保存療法で効果が不十分な場合に外科的に手根管開放術が行われます。
横手根靱帯を切離して手根管内圧を軽減させることが目的です。
直視下法と鏡視下法がありますが、術後成績は良好とされます。
神経剥離術ではつまみ動作を中心に改善が得られないので、腱移行術による母指対立再建術が行われます。
術後 2~3 週間母指対立で外固定を行い、その後母指可動域訓練とピンチ機能訓練を開始します。


手根管症候群は、上司への反復した負担がかかる業務の人に多いと思います。
日常的にストレッチなどを行い、予防につとめていくといいですね。

ではでは。

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