手の外傷⑤
手の外傷や手術後のリハについてまとめました。
参考引用
酒井昭典, 他. 手の外傷後のリハビリテーション. Jpn J Rehabil Med 2017;54:601-608.
骨の損傷
骨癒合
骨癒合の様式には
・一次癒合(primary healing)
・二次癒合(secondary healing)
があります。
一次癒合:骨折部内でのリモデリングによる直接的な癒合。強固な内固定による絶対的安定性のもとで生じます。骨幹端部骨折に対する圧迫プレート(compression plate)固定などでみられます。きれいに整復された骨折部への圧迫と少ない骨膜により治癒します。
二次癒合:仮骨形成による間接的な癒合。マイクロモーションを伴うフレキシブルな固定による相対的安定性のもとで生じます。二次癒合は,最も一般的な骨癒合形式です。ギプスによる外固定やロッキングプレート、髄内釘などでみられます。
骨癒合へのアプローチ
骨癒合を促進するためにさまざまなアプローチが試みられています。
・仮骨形成を促進するインプラント
・骨形成促進薬(テリパラチドなど)
・物理的刺激(パルス電磁場,低出力超音波パルスなど)
・成長因子(BMP-ù,BMP-þ,FGF-ù,PDGF-BB,PRP など)
・間葉系幹細胞移植
などです。
近年では
・生体内吸収性材料を用いた骨折手術
・術後早期からの自動可動域訓練によるマイクロモーションにより仮骨形成を促進させる内固定材料
などの研究も進んでいるそうです。
骨折後早期の可動域訓練
手指の骨折が癒合するためには
・基節骨中央で 5-7 週
・中節骨で 10-14 週
を要します。
一方、骨折部における腱と骨の癒着は 3-4 週で完成します。
そのため、骨癒合が完了するのを待たず、受傷後 3 週から運動を開始する必要があります。
完全な固定は疼痛と腫脹が強い短期間に留め、早期に運動可能な固定法に変更します。
具体的には、
・転位の少ない安定した中節骨骨折や基節骨骨折には、buddy taping を行い、可動域訓練を行う。
・整復後安定している手指 PIP 関節背側脱臼骨折は、extension block pin や、extension block splint で可動域訓練を行う。
・中手骨骨折や基節骨骨折に対する knuckle cast
疼痛と腫脹を最小限に留め、早期に骨折部を安定化させ可動域訓練を開始することが、骨折治療に伴う合併症の軽減につながります。
早期からの可動域運動が骨癒合の促進にもつながることがわかりました。
もちろん、その安全性も担保した上ですが、積極的な可動域運動で、可動域の拡大や骨癒合の促進に繋げましょう。
ではでは。
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