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肩峰下インピンジメント

肩のインピンジメント症候群は臨床で難渋する。主に可動域制限と痛みを引き起こします。どのような病態か、まとめてみました。


インピンジメントって?

「Impingement」は「衝突」という意味です。関節運動の際に、正常な動作から逸脱した動作などで、組織と組織が衝突することで疼痛などを引き起こす症状です。肩関節でのインピンジメントのみでなく、股関節などでも起こることがあります。

肩関節でのインピンジメント

肩関節で起こる代表的なインピンジメント症状は
・肩峰下インピンジメント
・インターナルインピンジメント
があります。

肩峰下インピンジメント

肩峰下インピンジメント症候群は、肩関節挙上時に疼痛をもたらすことが主な症状です。
上腕骨頭と烏口肩峰アーチとの間(肩峰下スペース)で腱板の組織や上腕二頭筋長頭腱、肩峰下滑液包が挟み込まれることで生じるとされています。


Christina Garving, et al. Impingement Syndrome of the Shoulder. Dtsch Arztebl Int. 2017 Nov; 114(45): 765–776. Doi: 10.3238/arztebl.2017.0765


肩峰下での接触による圧力は健常者でも生じるますので、接触する組織の炎症が強ければ関節運動が正常でも疼痛が誘発されることがあります。

接触圧が大きくなるのは
・外転
・水平外転
・肩甲骨面拳上
とされています(報告によっては伸展も接触圧が大きいとされます)。

関節の構造及び関節での運動の異常はインピンジメントを引き起こしやすいです。

関節構造の異常
・腱板や肩峰下滑液包の腫脹
・腱板断裂
・肩峰下骨棘

関節運動の異常
・肩甲上腕関節の拘縮
・肩関節周囲筋群のバランス不良


以下はインピンジメントに対するテストです。


インピンジメントってなかなか診断自体が難しいのかなと思います。レントゲンなどでは判断がしづらいと思いますので。しかし、患者さんからも外転時のなんか詰まってしまう感じなどの訴えも聞きます。肩関節周囲炎や腱板断裂後の方にはよくみられるかと思います。
早期から代償動作を是正し、なるべく正常な関節運動へ近づけていくことが重要かと思いますが、それが難しいですね。

次回はインターナルインピンジメントについてです。

ではでは。


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