見出し画像

変形性膝関節症に対する運動療法⑥水中運動

変形性膝関節症患者に対し、膝への負担の軽減も踏まえて水中での運動を推奨することが多いです。
その効果をまとめました。



参考文献

Zeng CY, Zhang ZR, Tang ZM, Hua FZ. Benefits and Mechanisms of Exercise Training for Knee Osteoarthritis. Front Physiol. 2021 Dec 16;12:794062. doi: 10.3389/fphys.2021.794062. PMID: 34975542; PMCID: PMC8716769.

水中運動

水中運動のメリットと内容

水中での運動のメリットは
・浮力による関節への負荷軽減
・水温の刺激
・水による抵抗下での運動
が、挙げられます。

どのような運動が行われているでしょうか。
よく行われるのは水中ウォークです。膝などへの過度な負担を減らしつつ歩行練習を行うことができますね。
ほかにはダンスなどが挙げられます。この論文内でも記載がありましたが、水中での下肢運動に上肢や体幹の運動を混ぜることが有用であるそうです。


水中運動の効果

温度刺激と水の浮力による水中運動は、患者の運動機能障害を改善するとされます。特に水の浮力によって生じる体重減少は、治療に重要な役割を果たします。

水中運動は
・短期間の治療で、通常のリハビリテーションよりも早く膝の硬さを軽減する
・漸進的な抵抗を伴う水中運動は、内側大腿軟骨に関連する後部領域の厚さを増加させ、心肺機能を改善することができる
・定期的な水泳が中年および高齢の変形性膝関節症患者の関節の痛みや硬直を軽減し、筋力と機能を改善できる
・陸上の運動と比較して、副作用が少なく、治療効果が優れてい
・変形性膝関節症を患う閉経後の肥満女性の膝の痛みや機能不全を軽減し、生活の質の向上、脂肪量の減少につながる。
・ダンスベースの水中運動が変形性膝関節症の肥満閉経後女性の身体機能と心肺能力の改善、運動後の心拍数と疲労を軽減できる。
・水中トレッドミル運動が、関節角速度と関節炎に関連した関節痛を改善する
・水中運動は、膝の柔軟性、強度、有酸素運動能力を向上させる
との報告があるそうです。

また、水中運動は、変形性膝関節症の状態悪化にはつながりづらいところも重要な要素ですね。


様々な報告の対象者が肥満であるため、BMIが高い方にとって有用な運動の一つかもしれませんね。担当の患者さんでも区や市が運営しているプールなどに足を運んでいる方が多いです。水中運動、患者さんに勧めていきます。

ではでは。

この記事が参加している募集

#仕事について話そう

110,250件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?