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TKAのリハビリテーション③

TKA後のリハビリテーションについて文献をもとに少しずつまとめていきます。

術前についてはこちら

術後翌日はこちら



参考文献

大藤範之. 人工膝関節全置換術後の理学療法. 理学療法とちぎ.2023,13(1); 13–21. https://doi.org/10.32134/pttochigi.13.13

TKAのリハビリテーション

術後急性期


手術翌日以降から、状態に合わせて平行棒内での立位や歩行練習、歩行器歩行練習、トイレ歩行などのの獲得を目指します。

疼痛

疼痛としては安静時、動作時、夜間時痛が考えられます。
安静時痛や夜間時痛に関しては、投薬状況を医師や看護師と検討しましょう。
動作時痛は疼痛の出ない動作を指導しつつ、可動域の拡大に合わせた動作を獲得していきましょう。
術前の動作などが癖づいていると隣接関節や健側下肢への負担が大きくなり二次的な疼痛が誘発されやすいので、動作指導などを行なっていきましょう。


浮腫、腫脹

浮腫、腫脹に対しては大腿周径を経時的に観察し、ベッド上での下肢挙上、弾性包帯による圧迫などをすることが一般的です。
浮腫、腫脹は関節原性の筋抑制を引き起こし、筋力低下に関係するため、早期に浮腫や腫脹を軽減させることが重要です。


ROM

TKA の術中角度と、術後の関節角度は大きく違うことがあります。
・疼痛
・浮腫
・血種
・皮膚
・逢着された筋周囲の癒着
・拘縮
が要因として考えられます。

一般的なROMの制限因子
・痛み
・皮膚の癒着、可動性低下
・関節包の癒着や短縮
・筋、腱の短縮
・筋膜の癒着
・筋緊張更新
・関節内運動の障害
・腫脹、浮腫
・骨の衝突
の8要因が挙げられるそうです。

TKA後は術創部やパテラ周囲の伸張性が低下しやすいです。膝蓋上嚢や膝蓋下脂肪体にも着目しましょう。
可動域運動としては、自動運動が推奨されています。


筋力

筋力は
・MMT
・筋収縮の確認(Quad setting で大腿四頭筋、特に内側広筋の収縮など)
・Extension lagの確認
が挙げられます。

トレーニングとしては,Quad setting が代表的なものです。

術後の歩行において、膝伸筋と屈筋の同時収縮を発生させ、膝関節の安定性の向上を促しているそうですが、いわゆるstiff knee gait の原因とな
る可能性があります。
筋緊張の調整も重要な要素かもしれませんね。


基本動作、歩行

立ち上がり練習は
膝屈曲制限→股関節屈曲増加→体幹前傾増加
という代償がよく見られます。
練習の中では、高い座面から練習を開始し、徐々に座面を低くすることで疼痛の少ない立ち上がり動作を学習させることができます。

立位、歩行練習は、連日の疼痛から筋の緊張は常に高い状態ですのでリラクゼーションをしたうえで、
両脚支持→徐々に術側へ荷重
という流れがいいですね。
手術側への荷重は怖いと思う患者さんも多いと思うので、平行棒などを利用しましょう。
手術側股関節が内転位になるまで荷重できるといいですね。

歩行は
平行棒内→Pick up 型歩行器→平行棒内片手歩行→T-cane
と段階的に進めましょう。
歩容や炎症が悪化しないか常に確認し、歩行距離の制限も必要であれば行いましょう。
立脚初期の膝関節伸展不足、立脚後期の膝関節屈曲不足などはよく見る歩容です。立脚後期でつま先に体重が乗るような意識を持たせると改善しやすいそうですので、参考までに。


手術後の急性期から、どんどんリハビリテーションを進めていきましょう。
前回の記事にも記載しましたが、術創部などの治癒が進むにつれて癒着なども改善しづらくなっていきます。
可動域練習、筋力強化運動などを疼痛に合わせて積極的に行なっていくことも重要です。
立位、歩行練習は並行棒などから段階的に進めていくことで、患者さん自身の恐怖心から生まれる筋緊張の更新などをなるべく是正できるといいですね。

ではでは。

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