腱板断裂②
腱板断裂に関して、もう少し掘り下げていみたいと思います。
前回の記事はこちら。
腱板断裂が起きると
前回の記事で、腱板断裂が起きると筋力の低下が起きることを記載しました。そりゃ、断裂しているので筋力は落ちますよね。その筋力が落ちることで、そのような状態が過多で起きるのでしょうか。
よく言われるのは、上腕骨頭の上方化です。挙上や外転時に三角筋などの収縮が起きると、上腕骨頭は上方へ移動してしまいます。腱板はその骨頭の上方への変位を下方(間接窩)へ引き寄せる働きがあります。しかし、腱板のいづれかが断裂した場合でもその引き寄せる力は弱まってしまい、インピンジメントなどの障害を引き起こしてしまいます。
腱板断裂の治療
手術療法
断裂した腱板を再度縫い付けるような手術です。関節鏡下で行うことが多く、手術侵襲も少なくなってきているそうです。そうは言っても、術後の断裂は怖いですね。装具は4〜6週程度装着します。結構手術部位よりこの装具による頸部や肩甲帯の重苦感が辛いという人が多いです。
また、断裂が大きい場合などは大腿や広背筋などから筋膜や腱を移行することもあります。
複数の件が断裂している場合などは、リバース型人工肩関節置換術を行うこともあるそうです。
保存療法
保存療法では、運動療法が選択されます。
運動療法の有効性に関してはいくつかの報告がみられています。
「非外傷性全層腱板断裂に対する理学療法の有効性:多施設共同前向きコホート研究」という論文です。
こちらの論文では、非外傷性全層腱板断裂の治療において、患者報告の転帰が大幅に改善され、理学療法後の手術率が低いことが報告されています。
具体的にはどのような運動療法を行うべきでしょうか。
「回旋腱板断裂の非手術的管理における運動リハビリテーション:文献のレビュー」という論文内では、運動療法の内容として
・可動域(屈曲、外旋、外転、胸郭)
・柔軟性(前後関節包)
・筋力向上(肩甲骨周囲、三角筋、外旋筋群)
・固有需要への介入(より高度な肩甲骨・腱板への介入、職業動作などの特有の動作への介入)
が紹介されています。
具体的な方法などが写真で載っているので、とても参考になりました。
基本的に重要なのは、炎症などの早期に鎮静化と、残存機能の維持向上とそれを利用した動作の獲得だと思います。
以下の記事も参考にしていただき、介入の一助としてください。
ではでは。
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