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米国株師匠🍅アウトライヤー寄稿215

第214回から続く


新しいブルマーケットだとおっしゃられるアメリカの専門家の方


もうベアーマーケットラリーとは呼べない、これはおそるおそる臆病というところはあるにせよ、新しいブルマーケットだとおっしゃられるアメリカの専門家の方

もちろん、この専門家の方も、どう呼ぶかについては、人それぞれでしょうとおっしゃりながらでしたが。

僕とは異なる見方のこの専門家の方。

昨今、この方のコメントを重視しながら、インデックスの上がどのくらいのレベルまであるのか、S&P500で言うなら、4500超なのか、4600があるのかどうか。その辺を、まだ、”QT効果が相殺されている現環境にいるうちに”よく見る、よく観察するために重視しています。

僕は、QT効果が相殺されている環境下に置ける、僕が使用、多用させて頂く言葉で、”フロス(泡、あぶく)のマーケット”、そのフロス(泡、あぶく)の高さ、この高さを僕はこの4月、5月、高いところで4300までくらいのレベルで見ていましたが、現実にはそれよりはるかに高い水準があった、高いフロスがあった、今そこにある、それが現実です。高いフロス。アメリカの専門家の中には、これをバブル状態と呼ぶ方も一らっしゃることを認識しています。

流動性について~


6月からTGA(米財務省一般勘定会計口座・アメリカ合衆国の当座預金口座)の再構築が始まるには始まっています。

FRBは、バランスシートの縮小、QTを行っています。

・この寄稿で述べております通り、BTFP(FRBによる新しい貸出制度・緊急措置)は、デュレーション・リスクを除去しております。これが非常にパワフルに効果を発揮しています。BTFPはQEではありません。デュレーションリスクが除去される事、これがパワフルな故、説明の際、QEだ~とかって、勘違いされたりします。(第213回寄稿をご参照ください)

・これまでのところは、ざっくり、新たに発行されたT-Bills(米財務省短期証券)を買うためにリバースレポの残高は減少しています。で、TGAは増加しています。QT効果は相殺されています。

流動性が吸い上げられていく第一歩



ここで昨日述べました僕のポイント~マネーマーケットファンドは、リバースレポなのかT-Bills(米財務省短期証券)なのか、相対的な比較のプレイをしています。

アメリカの専門家の方もご指摘されておられましたが、リバースレポのファシリティ、現在オファーしている利回りは5.05%ですね。パウエル議長のここのところのご発言からも、そして、今週7日に強い失業率の数字が出て来れば7月に25ベーシスポイントの利上げの確率が高まりますね。そうすると、0.25%上乗せして、リバースレポのオファー5.3%があり得ますね

いっぽう、T-Bills(米財務省短期証券)は、この利回りレベルよりは低い利回りですね。そうであるならば、T-Bills(米財務省短期証券)は魅力的ではなくなってしまう可能性がありますね。魅力的でなくなってしまったら、それが、システム、金融システム全体に及ぼす影響大きいですね。TGAを再構築している期間なわけですから。流動性が吸い上げられていく第一歩がここにありますね。


私見では、フロス(泡、あぶく)が発生


ここがポイントですね。流動性が供給されることによって、昨年10月から、(呼び方は別として)ベアーマーケットラリーが起こり、流動性が供給されることによって、金融状況が緩和する中で、これまで、私見では、フロス(泡、あぶく)が発生しているわけですから。


CME Group-FedWatch ツールを見ておりますと、7月の25ベーシスポイントの利上げの確率、88.7%ですね。通常、利上げ前、この確率が、100%織り込まれて利上げというパターンですが、まあ、ここまで織り込まれていて、あとは今週の失業率、雇用統計の数字を見ながらというところかと思っています。

アラン・グリーンスパン

グリーンスパン氏以来のFRB議長について~


キャリアを始めた一番最初の頃から、就任したてのグリーンスパン議長を、FRBという中からではなく(FRBという組織で働いた事はもちろんありませんから)、ウォール街というその影響を常に受け続ける場所から見てきました。カリスマ、グリーンスパン議長。IQ○○と当時大騒ぎもされた天才ですね。アイン・ランド氏の影響を大いに受けた方でもあったでしょう。その辺につきましては、最初の頃の寄稿で、FRBの仕組み、歴代FRB議長、アイン・ランド氏について触れました。

カリスマ、グリーンスパン氏。グリーンスパン・プット(フェド・プット)。
FRB議長、グリーンスパン氏。1987年大暴落があった。私がその後を救う。私が助ける。グリーンスパン・プット。

金融政策が秘密主義の時代ですね。FRBによる金融政策秘密主義が解けて行ったのが、1994年2月グリーンスパン氏による利上げ時からですから。
僕は、この寄稿で、パウエル議長は、フェド・プットを切りに行っていますよ、これすごく重要な事ですよと述べてきました。その通りに考えております。

「Ph.D.」 ~「Doctor of Philosophy」~博士号~FRBの職員の皆さん多くに見られますね。昨年非公開の席で金融政策について語り、辞任に値するとまで批判されていたセントルイス連銀のブラード総裁はじめ。QE(量的緩和)とZIRP(ゼロ金利政策)のバーナンキ元議長、イエレン前議長、皆さんこれ、「Ph.D.」 ですね。経済学者。

僕は、この寄稿で、パウエル議長は、QE(量的緩和)やZIRP(ゼロ金利政策)に戻らない闘いを今行っていると述べてきました。これにつきましても、この通りに考えております。

フェド・プット切り。QE(量的緩和)やZIRP(ゼロ金利政策)に戻らない闘い。

そして、なんと言っても、バランスシートの縮小。


パウエル議長は、”忍耐の人”



パウエル議長は、弁護士、プライベート・エクイティ畑のご出身ですね。幾多の「Ph.D.」 ~「Doctor of Philosophy」~博士号を前にしながら、何かにとらわれていない人ですね。静か~に、忍耐強く。パウエル議長がかつて、議長になられるずっと以前にご一緒にある任務を遂行されたこともあったウォーレン・バフェット氏。僕は、ウォーレン・バフェット氏のクォートなどもこの寄稿で引用させて頂きますが、バフェット氏が事あるごとにかつて強調されていたpatience(忍耐)。僕の中では、一時期、バフェット氏と言えば、”忍耐”と思っていた時代もありました。

僕の印象、また同じように感じているアメリカの専門家の方もいると思いますが、パウエル議長は、”忍耐の人”。

静か~に、忍耐と共に、時間をかけながら、自分の目的を達成して行く人。それを、おそばで支えているニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁。FRBが2025年にかけてやって行くことはバランスシートの縮小
ここで述べているこのような事全てがパウエル議長のレガシー(遺産)だと思っています。

この寄稿で、議会で議員さん達がやいのやいの大騒ぎする中で、ひとり、静か~に、葉巻をくゆらせながら、そしてまた金利を上げた、当時のポール・ボルカー議長(1979年から1981年終盤まで約3年間金利を上げ続けインフレ抑制を行い歴史に名を残した議長)を何度か引用させて頂きました。


エリザベス・ウォーレン


議会で、エリザベス・ウォレン上院議員(マサチューセッツ・民主)などを始めとした議員さん達がやいのやいの、ワーワー言う中で、静か~に、粛々と仕事を遂行するパウエル議長。

パウエル議長がお取組みになっておられることはこういう事だと認識しています。

企業業績・企業利益~


企業利益については、それが正しいとか間違っているとかの議論は脇において、現在のコンセンサスの2023年EPS予想3%減、同2024年11%増。これが正しいのであれば、これだけ見れば、ソフトランディングのシナリオですし、こういうところからも、今でも多くの機関投資家さんがソフトランディングのシナリオを採用されておられることも理解できます。


問題があるのは、ノンバンク


金融状況、流動性、企業業績。そして、クレジット市場で今起こっている事(第156回寄稿)。商業用不動産(第161回寄稿)のところで今起こっている事。証券化ビジネスの不調。問題があるのは、バンク(銀行)のところではなくて、ノンバンクのところですよというところ。どうぞ、第150回寄稿くらいから直近の寄稿までを、もしお時間ございましたらご覧になって頂けましたら。


ハードランディングへFRBが誘導して行く


大義名分として、FRBが避けたかったハードランディングへFRBが誘導して行くことになるかなあ。ちょっと皮肉な事ではあるけど、まあその方向へかなあと僕は思っています。僕は、常々、ハードランディングのシナリオを採用しています。

このような事を見て行く第3四半期であり、まずは、独立記念日明けからであると考えています。



ブルームバーグ記事を引用させて頂きます。

・「株式相場、一段の上昇は困難か―「下期に不快なサプライズ」警告も

・「ヘッジファンド、ドル強気ポジション8割強減少―米利上げ終了見込み」

・「ウォール街の住人たち、悲喜こもごも―弱気予想尻目に米株高進行」


時差をおいて、波及してくる


このような記事を読みながら、マーケットものを見ているわけですが。とにかく、クレジットもの、クレジット市場、今その水面下で起こっている事を今一度よく認識しておくことが大事だと思っています。(第156回寄稿前後、以降をご覧になって頂けましたら)。僕は、クレジット市場で起こっている事が、時差をおいて、いずれ、マーケット、株式市場に波及してくると思っておりますから。

TGAの再構築は、8月を目途に、この6月から第3四半期にかけて(米政府の会計年度末が9月30日ですから)行われるとずっと思って来ましたが、他の事については、本来僕個人は第2四半期に見られるであろうと考えていた事、それが”後ずれ”していると考えておりますがゆえですね。

今日は、この末尾に、伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチ氏のお言葉を引用させて頂きます。自分自身に言い聞かせています。

”People who succeed in the stock market also accept periodic losses, setbacks, and unexpected occurrences. Calamitous drops do not scare them out of the game." -Peter Lynch

「株式市場で成功する人々は、定期的な損失、挫折、予期せぬ出来事も受け入れる。悲惨な下落におびえてゲームから退場する事はない」-ピーター・リンチ

まあ、今、僕は、この上げについて行くのではなくて、フロスはフロスとして。

僕は、事実、フロスの高さを測れなかったし(フロスの高さは測れませんと一番最初から述べても来ました(笑)フロスは測れませんから(笑))、計測し間違えちゃった(4300までは見ていたけど今のようなこんな水準見てさえいなかった)。

まあ、そんな事もあら~な。

今度は、下落に備え、その下落時にその下落に乗りたい。そして、その時、その後、底も探りたい。底で買うなんてできないけれども、そのトレンドに対して、売りも買いもやれると良いな、こんな風に思うのは思っております。

個人的事情により、実際に行動としてそうできるかどうか、それ以前に、現実問題として行動するかどうかさえ今は分かりませんが。
少なくとも、マーケットを見る上で、この姿勢で見ている事、それをノート寄稿として、こうして寄稿させて頂いている事は、事実です。

次回は7月6日に寄稿させて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。



第216回へ続く




最後に …
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アウトライヤー
より。外れ値です。でも異常値ではありません。
笑って許してくださいね。ごゆるりとお時間ある時ご覧になってください。
背景にある経歴:80年代後半から、ペインウェバー証券会社、メリルリンチ証券会社、ベアー・スターンズ証券会社等々の外資系証券会社東京支店法人営業部門に勤務。外資系企業生活で24年の歳月が流れました。
ペインウェバー証券会社ニューヨーク本社にて、2名のメンターのもと、米国株式業務を基礎から習得。なぜ、2名だったかと言いますと、フロントオフィス業務用に1名=MIT出身のトレーダーで数学者、バックオフィス業務用に1名=米国では名の知れたバックオフィスの専門家でした。当時、NY証券取引所にもしばしば、足を運び、入り口から出口まで、叩き込まれました。その後、日本国内の機関投資家向け外国株式営業に携わり、メリルリンチ証券会社とベアー・スターンズ証券会社では、それぞれ東京支店法人営業部門外国株式営業部長として、東京、ニューヨーク(ウォール街)、ロンドン(シティ)を中心に、アジア諸国も含めて、世界中を飛び回りました。グローバル株式・金融業務に従事する上で、メリルリンチ証券会社では、当時のメリルリンチ・グローバル株式営業部門におけるアジア地域2名のグローバル・エクティ・コーディネーターの1人として、米国株式を中心に、グローバルに株式業務推進役の職責も兼務。(この時とっても楽しかったです)
2012年2月に外資系企業生活を終えました。
同2012年年春から、日本企業の顧問に就任。
一貫して、この30年超の期間、何度も何度も現地に足を運び、そこにいた人々と直接仕事をした事を含めて、アメリカの金融政策、アメリカの株式市場を見つめてきました。
🍅注意事項
①不特定多数の者により随時に、誰でも閲覧可能な無料記事です。
投資助言行為に該当するアドバイスは行いません。短期動向や個別の運用相談に関するご質問へのご回答は一切行っておりません
③投資の最終決定はご自身のご判断と責任でおこなってください。

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