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黎明のまえに

東京はじっとりした空気になってきました。薄着で油断して寝落ちしたら喉がキリキリ痛くなりました。温室でぬくぬくしているうちにあらゆる器官が貧弱になっているんでしょうか?こわいこわい。あと今日は日本ダービーもありましたね!生中継を見ながらコントレイルがあがってきたとき…うわあ…全身鳥肌になりました…馬飼いたい。

先週ある事件が、ネットニュースのトップ記事になっていました。わたしはその方のことを知らなかったのですが、リアリティー番組に出演されて『SNSでの誹謗中傷』によることが原因での自殺と…もちろん本当のことはわかりませんが… 謹んでお悔やみ申し上げます。

そのニュースを見ていて、半年前、そして3年前、韓国の歌手が自ら命を絶ってしまった事件を思い出していました。私の好きな人達だったからです。

『女性は従順でなければいけない』社会が持つ保守的な女性のイメージから一度でも離れたことをすると、何をしても悪質なリプライやSNSでの集中攻撃がついて回るそうです。男性も問題が起こると、ファンによる脱退運動が起こることも多く熱烈な女性ファンほど「愛していたのに裏切られた」と犯罪まがいの悪質な行動をとってしまうケースも多いです。投稿やライブ配信もゾッとするほどいわれもない誹謗中傷で溢れかえっていました。

3人が亡くなってしまった当時のSNSは衝撃的で、よく覚えています。「置いていかないで」「会いたい」「どうして」という言葉が一日中流れ続けていました。悪質コメントを送り続けていたアカウントをバッシングする運動もありました。まあでも何事も無かったように全て忘れて生活しているんでしょうね。アカウントを変えてまたキーボードひとつで誰かの首を絞めるのを楽しんでいるのかもしれませんし。

彼女たちの親友だった歌手が最近、曲を出したんです。彼女達が居なくなって半年たちましたが、その曲がおそらく彼女たちのことを歌ってるんじゃないかといわれていて...好きな曲なので、歌詞を意訳して紹介させてください。

 MV 【https://www.youtube.com/watch?v=TgOu00Mf3kI

eight     

song by IU

それで今あなたは幸せ?やっと幸せになれたんでしょう?
私はそのままだよ。何もかも全部失くしてしまったみたい
気ままに来て、挨拶もなく去っていくじゃない
このままじゃ何も愛したいと思えない
何もかもすり減ったまま、時間がたった
記憶の中を旅するの

私たちはオレンジ色の太陽の下で
影ひとつない中、一緒にダンスを踊るの
決められた別れなんてない
美しかった あの記憶で会うの

永遠に今のままで
こんな悪夢なら、永遠に目覚めないわ


島 、そうここは島 。お互いが作った小さな島
ずっと永遠に若いままで 永遠って言葉は脆い
別れはまるで災害メールみたい
恋しさと共に迎える朝
お互いがこの果てしない時を過ごしてきっとこの島で会おう。

過ぎさるようにわたしを慰めた誰かの言葉通り
たかが指の長さくらいの思い出を忘れるのが 全然簡単じゃなくて
時間が過ぎても相変わらずこの場所に捕らわれているの

私たちはオレンジ色の太陽の下で
影ひとつない中、一緒にダンスを踊るの
決められた別れなんてない
美しかった あの記憶で会おうね


私たちはお互いを枕にして横になって
楽しいだけの話をして
憂鬱な結末なんてない
私は永遠に、あなたと この記憶で会うの

ずっとこのままで
こんな悪夢なら もう永遠に目覚めないから


世間の目で苦しんでいた親友達との幸せな思い出に、今も囚われているんだと伝えている手紙みたいだ、と思いました。いつも突然やってくる別れに何もできないけど、今も恋しがる人達が前を向ける勇気を与えてくれる歌。そして同業者だった親友が彼女たちを想った歌が、寂しくもあたたかいものであることに少し救われました。どこかの敏腕PDの言葉を借りれば、こういう時に、歌手は世界で一番大事な仕事になるんだと思いました。

顔も見せずふらっとやってきた適当な人が10秒で書きこんだ言葉に、どうして何時間も悩まされなければいけないのでしょうか

3年経っても「仕方がなかったね」と全く思えなかったんです。好きになったら勝手にいなくなって、画面の中でしか会ったことのない人が忘れられなくて、恨みも消えてくれない自分の器がどんどん小さくなっているようです。

光が強くなれば、影も大きくなるもの。どれだけ懲らしめても次から次へと出てくる想像力が欠けたAIみたいなものの言葉ばかり目に入って擦り減ってしまいます。どれだけ言葉を並べて謝罪を尽くしても、他人を消費させるだけのモノは減らないから、自分の身を守る刀を振るわなければならない時代になってきているのかもしれません

言葉には自分のすべての責任を懸けて、想像力を働かせて。残された私の言葉は、どうか、誰かを縛り付ける鎖になりませんように。あたたかい思いだけでいつも満たしていたいです。

それでも苦しい夜に出会う日は、外をシャットアウトして綺麗な思い出の中で旅をして、いつかくる夜明けを待っていよう。

みなさんの梅雨が穏やかに過ぎていきますように







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