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永遠には続かない

良いことも、悪いことも、それが永遠に続くことはありません。

ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。変わらないように見えても変化しないものなど何ひとつなく、すべては常に変化していて、やがて滅んでいく。無常という仏教の根本思想です。

ですが、人はつい現在と同じ状況がこれから先もずっと続くと考えてしまいがちです。そんなことがあるはずはないと分かっていながら、現在の延長で将来を考えている人は多いのではないでしょうか。

人間には変化を嫌う性質がある

わたしたち人間の心にはホメオスタシス(恒常性:homeostasis)という性質があり、現在の状況を維持し続けようとする傾向にあります。

生物にとって安全の確保は何より重要です。一度手に入れた安全を脅かすような変化を嫌うのは、人間の本能と言えるでしょう。現在の自分が置かれている状況を変化させることは、本能に反する行為なのです。

また、わたしたちの心は、予想外の出来事に対して鈍感にできています。生活の中で生じる予期せぬ変化に、いちいち心が過剰に反応して疲弊しないように、ある程度までは正常の範囲として処理するようにできています。

この正常性バイアスによって、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする傾向にあります。

これらの性質から、何もしなければ現在の状況がずっと続くと思い込んでしまいがちです。特に安定した状況下では、今の環境が安全なのでリスクを取って行動する必要はないと考えてしまいます。

しかし現実は、何も行動しなかった場合は現状維持すら困難です。なぜなら、自分は変わらなくても、世界は絶えず変化しているからです。

当たり前にあったものがなくなる

今年に入って、エネルギーや原材料の高騰のほか、人手不足も深刻になってきており、事業継続が困難になる企業が増えています。

帝国データバンクによると、2023年度上半期の倒産件数は4208件(前年同期3123件、34.7%増)と、上半期としては2年連続で前年を上回り、4年ぶりに4000件を超えたそうです。

業種別にみると、上半期としては2008年度以来、15年ぶりに全7業種で前年を上回ったそうです。今後もこの流れはしばらく続くでしょう。

元々、コロナ融資の返済が本格化する今年は大倒産時代になると言われていました。原価高騰や人手不足がさらに拍車をかけています。

ほんのひと昔前までは、日本の企業では終身雇用が当たり前でした。しかし今後は、自分が勤めていた会社がなくなったという経験をされる方が珍しくなくなっていくのかもしれません。

AIによる失業の数が増加

AIに仕事を奪われるという話も現実化してきています。

家具などの商品に説明をつけるコピーライターとして働いてきたイーエス・ファイン氏は、ChatGPT4.0の登場からわずか2週間で、10社あった企業との契約をすべて失ったそうです。

コピーライターだけでなく、ライター、イラストレーターなどWeb系の職業を中心に「報酬が10分の1になった」「時給80ドルの仕事を失った」などの事例が続々と出てきています。

アメリカの再就職支援会社、チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスがまとめている、月ごとの企業による人員削減数リストには、AIによる失業の数が記載されるようになりました。

8月時点で、年内に約4000人がAIの台頭を理由に失業しています。

原価高騰や人手不足に悩んでいる企業を中心に、人間が担当していた仕事を生成AIに置き換えていく動きは加速するでしょう。

最高の時間は長続きしない

若い頃に読んだインタビュー記事に「最高の時間は長続きしないから感謝の気持ちを忘れちゃいけない。」というフレーズがあり、誰の発言かは忘れてしまったのですが、その言葉だけは今でもよく憶えています。

独立して仕事をするようになって、その言葉により重みを感じるようになりました。サラリーマンの頃は判で押したような毎日に不満を感じていましたが、当たり前のように仕事が続いていくという状況を作り上げるのは、実はとても大変なことなのだということを身をもって知りました。

もし今が安定していたとしても、それが一生続くことはありません。変わらざるを得ない状況に追い込まれる前に、世界に合わせて自ら変化し続けていきましょう。

では。

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