興味を持つと好きになる
1月から始めたコーチングの講座を修了しました。
コーチングの基礎となる3大スキル「承認」「聴く」「質問」、これらはすべて「人の話をきく」際のふるまいです。
システムエンジニアとして勤め人をしていた頃から、自分を支える要のスキルは「人の話を聴く」ことだと考えていて、今の主たる業務であるクライアントワークや経営相談では、能動的に相手の話を聴き、受け入れ、適切な問いを立てるように心がけています。
私が「人の話を聴く」スキルを意識するようになったのは、2010年に参加した「インタビューの教室」という1泊2日の合宿がきっかけでした。
「インタビューの教室」で体験したこと
「インタビューの教室」は、このnoteの初回に紹介した「自分の仕事をつくる」の著者・西村佳哲さんが企画されたものです。
この教室では、参加者同士でペアを作り、相手の話をじっくりと聴き、質問するというワークを交互に実践します。相手を変えながら何度もワークを繰り返すなかで、ひとつの不思議な感覚が芽生えました。
興味を持って話を聴くと、相手のことを好きになるのです。その場で初めて話をして、素性もパーソナリティもなにも分からない状態で話を始めても、聴いているうちに相手に好意を抱いていく自分を発見しました。
西村さんも、同じように感じていらっしゃるそうです。
この感覚を知ってからというもの、人と話すのがとても楽しくなり、コミュニケーションに対する苦手意識がなくなりました。興味を持てば好きになれるので、誰と話しても共感できるのです。無敵のスキルじゃないですか?
とはいえ、なんでもかんでも共感していては仕事にならないので、普段は共感スイッチを入れたり切ったりして調整しています。
無条件の肯定的関心
相手の話を聴くときに、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする姿勢を「傾聴」と呼びます。「積極的傾聴(Active Listening)」は、米国の心理学者でカウンセリングの大家であるカール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって提唱されたコミュニケーション技法です。
ロジャーズは、聴く側の姿勢として「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」という3原則をあげています。
なかでも私が大切にしているのは「無条件の肯定的関心」です。特に、自分の尺度で評価をしないという姿勢が重要です。評価はいったん横に置いておいて、相手が考えていることや感じていることに意識を集中します。
「インタビューの教室」で前述の体験をして以来、独りよがりや決めつけで、先回りをして自分の発言を準備することがなくなりました。きちんと相手の言葉を咀嚼してから返答するので、どうしても時間は掛かってしまいますが、漫才のようにテンポよく話す必要はないと割り切っています。
答えは相手の心の中にある
「商談」「打ち合わせ」「ヒアリング」「1on1」など、仕事をするうえで他者と対話する機会はたくさんあります。このとき、自分が聞きたいことを話すのではなく、相手が話したいことを引き出すという姿勢は、コミュニケーションを円滑する秘訣のひとつです。
コミュニケーション能力が高い=話し上手と考えがちですが、自分がたくさん話さなくても、相手の話を熱心に聴くことで、相手に信頼されます。口下手な人やシャイな人ほど、傾聴力を身に付けることをお薦めします。
また、他者から相談やアドバイスを求められたときに、自分のアイディアや意見を伝えることももちろん有効でしょう。一方通行で情報を受け取って気づきを得ることをパラクラインと呼びます。
ただ、本当の答えは相手の心の中にあるけれど、言語化できていないだけなのかもしれません。そんなときは、相手の考えを促すような質問を投げかけて、言語化してもらいます。自分が話した言葉を自分で聞くことによって、自分の潜在的な考えに気づくことをオートクラインと呼びます。
もやもやした頭の中を整理したいとき、誰かと対話するのは有効です。話し手がオートクラインを起こすような質問をしてあげることにより、話し手が自発的に決断して行動することができるようになります。
誰かの話を聴くことはとても楽しい
私の仕事の根幹は、人の話を聴くことです。仕事柄、進路や事業について毎日のように相談を受けますが、人の話を聴くことはとても楽しいので、つくづく良い仕事に巡り合うことができたなと思います。
そして、もっとたくさん色々な人の話が聴きたいという思いから、3月10日にLT(ライトニングトーク)イベントを開催します。
ブロックチェーンに興味をもちエストニアに自費で視察に行った市役所職員さんや、はじめしゃちょーに憧れる青果系YouTuberなど、個性的な10名の登壇者が集まって、ご自身の活動や思いを5分間のショートプレゼンで発表してくださいます。現地でもオンラインでも参加できます。
ぜひ10者10様の生きざまを傾聴してください。
では。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?