認知なくして成長なし
明けましておめでとうございます。
今年最初の投稿では、この年末年始に摂取したコンテンツを紹介しつつ、2024年はどういうことにトライしていきたいかを書いていきます。
戦略ごっこ―マーケティング以前の問題
まずは「戦略ごっこ―マーケティング以前の問題」というビジネス本から。
世の中には様々なマーケティングやブランディングの手法が存在しますが、必ずしもエビデンスベースではないことがあります。実は「おとぎ話ベース」や「成功事例ベース」で重要な意思決定をしてしまっているかもしれません。
本書は「みんなそう言ってるから、まあそういうものなんだろう」的な話の根拠を、海外の実証研究や論文を中心に徹底的に掘り下げて調査し、ビジネスやマーケティングの「当たり前」を見直すよう提案しています。
本書には「ダブルジョパディ(DJ)」という法則が繰り返し登場します。
小さなブランドは、とかく商品・サービスの価値を上げることによって、ロイヤルティ(購入頻度、利用額)を高めていこうとしがちなものです。
しかしダブルジョパディの法則によると、大きなブランドと小さなブランドの主な違いは顧客数であり、ロイヤルティの高さはそれほど変わらず、顧客が増えればロイヤルティも高まるというのが現実だそうです。
つまりは、顧客浸透率(シェア)を増やすことなく、ロイヤルティだけを上げようというのは、極めて無理ゲーに近い発想だということです。
一方で、少数のコアなファンが伝道師となって、熱狂的なコミュニティーが生まれ、やがてカルトブランドに成長するという事例もあります。
どちらが正しくてどちらが間違っているといった話ではなく、再現性の高さではダブルジョパディ、レアケースの成功例としてカルトブランディング、といった捉え方ができるのではないかと思います。
結局は「カテゴリーやブランド次第、場合による」のです。
わたしたちは最短最速で成功を得たいので一撃必殺の完璧な手法を知りたいと考えます。ですが、実際はそんな魔法などは存在せず、常に個別最適なプランを試行錯誤しながら探し求めていくしかありません。
その道筋を大まかに示してくれるのがエビデンスであり、どんなプランやフレームワークを選定するのかは、ケースバイケースで自分の頭で考えていく必要があります。そこで手を抜くから成果に繋がらないのです。
同じ著者の「”未”顧客理解」という本と内容が繋がっているので、こちらも併せて読むとより理解が深まります。
夢見る騎士の誠品の旅
次は11月に訪れた誠品生活日本橋で購入したDVD。
台湾の大型書店チェーン誠品(Eslite)の創業者である呉清友の人生を追ったドキュメンタリー「夢見る騎士の誠品の旅」を視聴しました。
著名なドキュメンタリー映画監督である陳懐恩が、台湾各地や北京、蘇州、香港を訪れ、妻子、親友、従業員などの身近な人たちをはじめ、実業家、アーティスト、建築家、デザイナーなどから呉氏にまつわるエピソードを引き出します。
呉氏は、新規出店のたびに天井の高さや照明など、細部のデザインや書架の配置まで「誠品的」な美意識の体現を求めました。部下たちと徹底的に議論し、妥協を許さず、あらゆる決定に明確な理由を求め、曖昧さを排除したと言われています。
そのこだわりは呉氏が亡くなった今でも継承されており、幹部から末端のスタッフまでが「誠品的」な美意識を理解して、誇り高く仕事をされている様が印象的でした。
生前の呉氏も映像に登場し、その存在の大きさ、仕事に対する厳しい眼差し、スタッフとの距離感なども垣間見ることができました。
派手な演出などはまったくない素朴な映像ですが、それが誠品の醸す雰囲気と一致していて、とても心地よい90分間でした。
何度も見返したい一枚です。
ドラミちゃん (てんとう虫コミックス)
仕事の関連ばかりでも面白くないので、たまには漫画も紹介します。
2023年は「ドラえもん」にドラミちゃんが登場して50周年という節目の年でした。そんな記念すべき年のドラミちゃんの誕生日(12月2日)の前日に、ドラミちゃんファン垂涎の単行本が発売されました。
その名も「ドラミちゃん」。全240Pの大ボリュームです。
子どもの頃は娯楽が少なかったので、「ドラえもん」のてんとう虫コミックスを何度も繰り返し読んで過ごしていました。実家の本棚には今でも全45巻と0巻が鎮座しています。
ドラミちゃんは、ドラえもんの妹として登場するサブキャラクターで、ときにドラえもんに代わって主役を務めることもありました。
今回発売された「ドラミちゃん」には、ドラミちゃんが登場する17のエピソードが厳選収録。また「ドラミちゃん大事典」や「ドラミちゃんイラストアルバム」も掲載されており、ドラミちゃんワールドを堪能できる1冊です。
スマートフォン、AI、自動運転などのテクノロジーが生活に溶け込んできて、わたしたちはいつのまにか未来のひみつ道具を使い始めています。
それらの道具の正しい使いかたを示してくれる頼もしい相棒が、そろそろ登場するのかもしれません。楽しみです。
久々に藤子・F・不二雄のSF短編シリーズが読みたくなったので、こちらもまとめて購入しました。届くのが楽しみです。
寺尾聰「ルビーの指輪」
最後は大みそかに見た紅白歌合戦。
テレビ放送70年を記念した特別企画 「テレビが届けた名曲たち」のコーナーに寺尾聰が登場。昭和の歌番組「ザ・ベストテン」史上最長となる12週連続1位を記録している「ルビーの指環」を、バンドとともに熱唱しました。
とにかく演奏も歌唱も圧巻でした。テクノロジーを駆使した派手な演出などはまったくない、極めてシンプルなバンド演奏でしたが、円熟の凄みを感じる素晴らしいステージでした。いやかっこよかった。
この曲がヒットした頃は5歳児だったので、リアルタイムで聴いていたわけではありませんが、同世代であれば誰もが口ずさめるであろう名曲です。
デジタルパフォーマンスが進化すればするほど、アナログパフォーマンスの魅力も相対的に高まるという好例だと思います。どちらが新しくてどちらが古いといった話ではなく、良いものは時代を超えて輝き続けるのです。
ただ、娯楽が少なかった昭和の時代と比べると、現代は競合するコンテンツの量が圧倒的に異なります。誰もがクリエイターとして世界に向けて発信できる時代になり、毎日膨大なコンテンツが生み出されています。
クリエイターは良いものを作るのはもちろんのこと、自身のクリエイティブをまだ見ぬファンに見つけてもらうにはどうすればよいか?ということを同時に考えていく必要があります。
これは事業者にも同じことが言えます。商品・サービスのクオリティ以前に、認知の獲得なくして事業の成長はありません。にもかかわらず、認知を増やす努力をせずに、ロイヤルティだけを上げようとする無理ゲーに陥ってはいないでしょうか?
2024年は自社の認知拡大を強化するとともに、お客様の認知を獲得するためのサポートを充実させていきます。
本年もどうぞよろしくお願いします。
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