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目標を達成する才能

トレーナーとして所属しているデジタルハリウッドSTUDIO山口で、就転職を考えている受講生向けに企画された、「キャリアステップ応援会」というトークイベントのファシリテーターを担当しました。

東京・福岡・山口の3拠点を繋いで、未経験からクリエイティブ業界への転職を目指す方々に、現状と展望をお伝えしました。

今回は、イベント内で印象に残った話題を、差し障りのない範囲で共有していきます。

コロナ明けの業界動向

コロナ禍が落ち着いて、クリエイティブ業界に変化が起きています。

緊急事態宣言以降、リモートワークが一気に普及した感がありましたが、現在は再び出社して働く人々が増えています。

会社からの命令で出社するだけでなく、自ら出社を選択するビジネスパーソンも増えているとのこと。対面で仕事したほうが効率が良いよね、という判断だそうです。

一年前に「リモートワークの働き方について語る会」というライブ授業を行っていますが、その時点で既にリモートワーカーは減少傾向でした。

一方で、商談や制作のオンライン化によって、都心から地方への発注は増えており、案件単価が東京では減少、福岡では増加しているという現象が起きています。

業界全体で見ると単価が下がっているということになりますが、これは商流や要件の変化の影響であるようです。

発注側の要求レベルは高度かつ多様になってきており、制作側は求められるスキルセットに合わせて自分を変えていく必要があります。

変化に対応できている制作者は潤沢に仕事があり、そうでない人は仕事が減少傾向にあるようです。

関東在住のクリエイターさんからお問い合わせをいただくようになった件に関して、私なりに立てた仮説と概ね一致していることが分かりました。

事業会社のデジタルリテラシーが向上している

要件が変化している要因に関して、発注側のデジタルリテラシーが向上しているという、興味深い話がありました。

テクノロジーの進化とデジタルネイティブの社会進出によって、事業会社の若手社員でもある程度のクリエイティブが制作できるようになり、制作会社に対する依頼の解像度が上がっているそうです。

これは、私にも心当たりがあります。

これまでは口頭でヒアリングして、制作者側が設計書やデザインを提示するという進め方が一般的でしたが、最近は発注側からワイヤーフレームラフデザインが提示されることも増えてきました。

ワイヤーフレームの例(LIGより引用)

CanvaAdobe Expressを使えば、非デザイナーでもちょっとしたデザインを簡単に作れます。XDFigmaなどで、Webサイトのワイヤーフレームもすぐに作成できます。

画像生成AIでたたき台を作るクライアントも増えています。発注側の要求イメージが具体的に共有されることは、齟齬が生じるリスクが低減されるので喜ばしいことです。

クライアントが生成AIを使いこなすようになったことで、生成AIでちょちょっと作った程度の(ように見える)クリエイティブには、(たとえ実際は人が時間をかけて作っていたとしても)値段が付かなくなります。

人が仕事を生むという逆転現象

もうひとつ興味深い話題に、社員のスキルセットに合わせて、仕事を作る企業が増えてきたというものがありました。

以前の記事に書いた「人の数だけ働き方をつくる」を実践する企業が増えているそうです。

今の日本の求人は売り手市場で、企業は求職者に選んでもらう立場です。求職者が求める情報を提供し、働きやすい待遇を提示する必要があります。

求職者のニーズに合わせて働き方をチューニングできる、柔軟な企業が増えてきたというのは、求職者にとっては喜ばしい話です。

反面、求職者はどんなスキルセットを持っていて、どのような仕事をしたいと考えているのか、必ず問われることになります。

多くの企業は、自社にフィットする方に、できるだけ長く勤めて欲しいと考えています。お互いの相性を確認する意味でも、採用前に具体的な要望を訊かれることでしょう。

自分に何ができるのか、何がやりたいのか、自分の言葉で語れるようになっておきましょう。

最後は結局マインドの問題

デジハリのカリキュラムは、決して楽な内容ではありません

短期間で膨大な動画教材を視聴し、複数のアプリケーションを習得して、Webサイトや動画を自作できるようになるまでには、結構な努力と根性が必要です。

そうして人並み以上のスキルを習得した方でも、未経験からクリエイティブ業界に就転職するというのは心理的ハードルが高く、「才能がない」「経験がない」だからうまくいかない、というネガティブな思考に陥りがちです。

いつも言っていることですが、自分の価値は他者が評価するものです

面接であれば採用担当者や同僚が、自分を評価して価値を決めます。

自分が大したことがないと思っているスキルでも、他者から見て価値があれば評価される。そういうものです。

過酷な学習を終えてデジハリを修了した皆さんには、目標を達成する才能があります。次の目標に向かって、自信を持って挑戦してください。

では。


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