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ネガティブにとらわれない思考法

前回は2023年の初投稿ということで、「ポジティブな未来を想像しよう」という、いつもよりメッセージ性の強いタイトルにしました。

これは肯定的な未来志向を、言葉を変えて表現しただけのことではありますが、あえて行動を喚起する言い回しにしたのには理由があります。それは、自らの強い意志を持って「しよう」としない限り、ポジティブな未来を想像することは難しいからです。

そして、ポジティブな未来を想像しようとしたときに必要な感情のひとつが、「エジソン」の歌詞に繰り返し登場する自尊心です。

自尊心が高い人は幸福感も高い

自尊心とは、他人からの評価ではなく、自分が自分をどう思うか、感じるかである。つまり、一時的に快感を与える、知識・技術・財産・容姿・結婚・慈善行為や性的な征服から生まれるものではなく、言い換えれば、外に求めることでも、人に与える印象でもない。競争でも比較でもなく、自尊心の重要な原因は自分とも他人とも戦っていない状態である。

自尊心(Wikipedia)

自尊心(self-esteem)は、自己に対して一般化された肯定的な態度のことで、自己肯定感と同義に語られることもあります。自己評価が高く、自分に自信がある人ほど、自尊心が高いと言えます。

自尊心の高さと幸福感には相関関係があると言われていて、特に個人主義の強い国では、自尊心は幸福感と高い相関を示しているそうです。また、諸外国に比べて、日本人は自尊心が低い傾向にあるようです。

自尊心の高い人と低い人

自尊心を形成する重要な要素のひとつは、幼少期を過ごした環境にあります。周囲の大人から尊重され、認められて育った子どものほうが、そうでない子どもよりも自尊心が高くなります。

もうひとつは、自分自身で生き方を選択したという経験と、それによる成功体験です。自分の意志で能動的に選択するという経験を積み上げることで、大人になってからも自尊心を育むことができます。

自尊心は高ければ高いほど良いのかといえば、いちがいにそうとは言い切れません。自尊心が過剰になると、自分の過失や敗北を認めることができず、他責思考に陥ってしまう可能性があります。

また逆に、自尊心が欠如していると、自分で自分をコントロールするのが難しくなり、依存症や摂食障害などを引き起こす可能性があります。何事もほどほどが良いようです。

自尊心と自慈心

自尊心とよく似た言葉に自慈心(self-compassion)があります。英語圏ではセルフ・コンパッションと呼ばれています。

セルフ・コンパッション(英: Self-compassion)とは、自らの欠点、失敗、または人生におけるさまざまな苦しみに直面した時に、自分自身への思いやりを実践することである。

セルフ・コンパッション(Wikipedia)

世界3大心理療法家の一人であり、論理療法(Rational Therapy; RT)の創始者として知られるアルバート・エリスの言葉を借りると、セルフ・コンパッションとは無条件の自己受容です。つまり「○○できたときだけ自分を受け入れる」というような条件付きの自己受容ではなく、良い面も悪い面も含めて、無条件に自分の価値を認めて受け入れるのです。

自尊心を育むためには、経験や成功体験といった根拠が必要です。しかし、セルフ・コンパッションは自分に対する肯定的な態度を身に付けるだけで、今すぐにでも育むことができます。

そして、セルフ・コンパッションの実証的研究の先駆者であるクリスティン・ネフによると、セルフ・コンパッションを構成する3つの主要な要素は「自分への優しさ」「共通の人間性」そして「マインドフルネス」です。

自分への優しさ(Self-kindness)

失敗や困難に直面した際に、自分に対して厳しく批判的な態度を取らず、自分のことを理解し、温かく、優しく接する。

共通の人間性(Common humanity)

失敗や困難といった経験は、自分だけが抱えている問題ではなく、人間である以上誰しもが体験するものであると捉える。

マインドフルネス(Mindfulness)

現在の状況に対してそのまま向き合い、物事をありのままに捉えることで、苦しみが緩和し、冷静に対応できるようになる。

自分を肯定しながら未来を想像すればいい

前回の投稿で、下記のように書きました。

未来を想像する能力は、誰にでも等しく与えられているにも関わらず、多くの人はポジティブな未来を想像しようとはせず、「時間がない」「お金がない」と、目の前のネガティブに気を取られてしまいがちです。

ポジティブな未来を想像しよう

満たされないというネガティブな感情をバネに奮闘しようとしても、以前書いた通り感情は長く続きしません。一番長い「悲しみ」ですら120時間しか持続しないのです。ネガティブにフォーカスしている限り、そこに留まり続けるだけで状況が好転することはありません

27種類の感情の持続時間

たとえ現状に満足していないとしても、自分を否定する必要はないですし、ネガティブな感情を持つ必要もないのです。自分が今置かれている状況をありのままに受け入れ、精神的に安定した状態で、更にポジティブな未来を想像していけばよいのです。

もし、あなたが「自分はネガティブにとらわれがちだな」と感じていたら、まずは自分を慈しむことから始めてみてください。まるで親しい友達のように自分と接することで、自分の良い面も悪い面もありのままに受け入れることができるようになります。

自慈心を育むことで、自分だけでなく他者に対しても寛容になれます。自分に思いやりの気持ちを向けて、レジリエンスを高めていきましょう。

では。


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