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国連事務総長がコロナの「最も明確な被害者は女性」とコメントした件

▼2020年5月3日付の日本経済新聞に、

〈苦境の被害者は女性/経済政策 対象の中心に/国連事務総長 アントニオ・グテレス氏〉

という、とても真っ当な記事が載っていた。日本経済新聞が、国の経済対策の中心に「女性」の支援を据えるべきだ、と提言する可能性は近い将来にはゼロ%だろうが、国連事務総長の寄稿を載せるのは意味のあることだ。

〈国連のグテレス事務総長は日本経済新聞に寄稿し、新型コロナウイルスによる経済苦境の最も明確な被害者は女性であると訴えた。新型コロナのパンデミック(世界的流行)は男女間の不平等など、あらゆる種類の不公平を明らかにし、助長している。長期的に見ると、この流行による女性の健康、権利および自由に対する影響が人類全体に害を及ぼす可能性がある。〉

ということで、発言のポイントは以下の箇所。

パンデミックが引き起こす深刻な経済の苦境の、最大の被害者は女性だろう。

▼具体的な数字を挙げた提言は以下の箇所。

女性が医療従事者の70%を占めるにもかかわらず、医療の経営に携わる女性は男性よりはるかに少なく、世界の政治指導者における女性割合は10%。感染の第2波や深刻な人手不足、社会不安など最悪の状況を防ぐための政策決定が行われる場に、女性がいるべきだ。

▼こうした提言が実現されれば、どうなるか。

女性の利益と権利を前面かつ中心に据えることで、パンデミックをより早く乗り越え、全ての人を利するより平等でより強靭な地域や社会をつくり上げられるだろう。

▼最優先で「女性を守る」ことが、「みんなを守る」ことになる、というのだ。言われてみれば当たり前だが、言われないと気づかないことが、この世の中には結構多い。グテレス氏の提言は、その好例だろう。

この提言が必要な国は、日本だけではないが、日本でも、まさに氏が危惧したとおりの出来事が起こっている。(つづく)

(2020年6月3日)

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