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”フェイクニュース”を避けるための基本知識【6つのタイプ分類】

東京ロックダウンも秒読み段階。できるだけ外出を控えるよう要請があり、緊急事態宣言が発出される日も近いかもしれません。

そんな中、私たちはインターネットを介してたくさんの情報を見て、
判断しなければなりません。

現代は、ニセの情報=フェイクニュースも大量にインターネットにばらまかれる時代です。あなたの見た情報は、本当に正しいものですか?フェイクではないと言えますか?

今回は、フェイクニュースに関する情報をまとめていきます。

・フェイクニュースとは何か
・フェイクニュースの4つのタイプ
・フェイクニュースに引っ掛かりやすいヒト
・フェイクニュースに引っ掛からないようにする能力
・フェイクニュースを避けるテクノロジー

人間の脳は、フェイクニュースにとても弱いものです。

しかし、これらの情報を知っているかどうかで間違った情報に踊らされる確率を大きく減らすことができます。新型コロナウイルスをはじめ、身体に直接かかわる情報こそ、フェイクニュースを避けて、正しい行動をとりたいから。

今回は、nature誌をはじめ多くの学術論文によって示された事実を、シンプルに紹介していきます。


📰そもそも、フェイクニュースとは何か?

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フェイクニュースとは、「ニュースの”ように”作られた、”間違った”情報」のことを言います。

本来、ニュースとは「信頼できる」、「正確な」情報です。しかし、どんなに信頼できるジャーナリストが集めた情報だとしても、必要な情報を100%盛り込むことは不可能です。それが隙になります。

フェイクニュースは
「少しの本当」に「大部分の間違い」を組み合わせることで出来ます。
フェイクニュースの厄介な部分は、「少しは本当」だということです。

「少しの本当」が事件にまつわることなら良い方です。
ニュースサイトのデザインを「少しの本当」として使うことで、内容は真っ赤なウソというフェイクニュースも存在します。


あなたは、ニュースが正確か考えますか?

①:そもそも疑わない?
②:友達が言っているから信じる?
③:信頼できるニュースサイトだから信じる?
④:一部分の事実が確かだから信じる?
⑤:全部信じない?

正直、人間の脳はフェイクニュースをフェイクかどうか判断できるように作られてはいません。

だって、
①と②は事実判定には役立たない場合の方が多いです。
③はサイト自体を改ざんされていたら、意味がありません。
④は一部が事実だからと言って、ほかの部分が本当かはわかりません。
⑤の人はニュースを見る意味がありません。

どうやってもフェイクニュースから逃れることなんてできないじゃないか...

そう絶望したくなりますが、フェイクニュースには6のタイプがあることが分かっています。

これだけ知っておけば、「あぁ、この情報はフェイクニュースだな」と推測するのに役立ちますので、覚えておきましょう。


📚フェイクニュースの6タイプ分類

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2018年にDigital Journalism誌に掲載された論文では、2003年~2017年のフェイクニュース関連論文を調査し、6つのタイプ分類に成功しているのでご紹介していきます。

1.ネイティブ広告(騙す意図:高い 事実レベル:高い)

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https://digital-marketing.jp/ad-technology/about-native-ads/ より

ネイティブ広告とは、SNSやブログの中に自然に組み込まれている広告のことです。最近、テレビ番組の中で薬や健康食品の広告をする場合がありますが、あれもネイティブ広告の1種です。YouTubeの広告もネイティブ広告に入ります。

「PR」など小さな主張があるから大丈夫。と広告側は主張しています。

しかし、ほかの記事は正確な情報なのにも関わらず、「ネイティブ広告にウソや間違った情報が組み込まれた場合」私たちは無意識にその情報を信じてしまいがちです。

例えば、信頼できるニュースサイトの最後に↑のようなネイティブ広告が組み込まれた場合を考えてみてください。
「安倍晋三、コロナウイルスに感染。緊急事態宣言発令」などと書いてあったら、見分けることは困難です。


2.プロパガンダ(騙す意図:高い 事実レベル:高い)

プロパガンダとは、特定の思想や世論を作る目的で、大衆操作や集団説得を行う技術や方法を指す言葉です。

カルト教団、ナチスの宣伝技術などによって徹底的に研究され、私たちの無意識を意図的に情報操作し、動きを変えることを目的にしています。

自分は騙されないと思うかもしれませんが、意識していないときに、何度も繰り返されたり、恐怖を煽ったり、限定をアピールしてきたりする情報に、無意識に脳は操作されています。

脳は繰り返される情報を勝手に”信頼できるモノ”としてとらえ始めてしまいます。脳の構造上、プロパガンダに抵抗するのは難しいことを知っておかなければなりません。


3.マニピュレーション(騙す意図:高い 事実レベル:低い)

消す

https://saruwakakun.com/design/photoshop/1min_retouch より

特に、写真が加工される場合を指します。

画像の操作なんて簡単です。ヒトを消すのなんてPhotoshopさえあれば簡単に、誰でもできてしまいます。表情やスタイルだって簡単に変えられます。

写真情報はもう、信頼できる情報とは言えません。


4.捏造(騙す意図:高い 事実レベル:低い)

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捏造とは、間違った情報に基づいた情報です。

捏造は、事実とは全く異なるので、カンタンに判別できるかのように思えますが、ニュースサイトやSNSに自然に書いてあると判別は非常に困難です。

例えば、2017年のAllcottらの調査によると、Facebookでトランプの捏造ニュースは3000万回シェアされ、ヒラリーの捏造ニュースは800万回シェアされています。このニュースを覚えていたヒトの半分は、それが本当だと信じていました。

多くの人が信じている情報が、真実とは限りません。


5.風刺タイプ(騙す意図:低レベル 事実レベル:高い)

風刺は、先ほど紹介した3つのタイプとは異なり、騙す意図があまりないのが特徴です。ひねったユーモアや皮肉で観客の興味を誘うことが目的とされています。

騙す意図が低く、事実レベルは高いので、むしろ情報源としては有効ですが、正しくない情報も混じっていることを知っておく必要があります。


6.パロディータイプ(騙す意図:低レベル 事実レベル:低)

パロディは、風刺タイプの変化形と考えると簡単に理解できます。

風刺タイプとパロディータイプの違いは事実レべルが高いかどうかです。

パロディタイプは、風刺タイプよりも面白さを重視した結果、事実レベルが低くなるので、面白いけど、正しくない情報はパロディタイプになります。

パロディを信じてしまったとしても、騙す意図が低いのでそこまで大きな問題が発生することはありませんが、それがパロディであることはしっかり理解しておく必要があります。


6つのタイプ分類のまとめ

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風刺やパロディには騙す意図が少なく、情報の正確性も低いため、フェイクニュースだと分かりやすいですね。しかし、脳の機能はもっと単純です。調子に乗って間違った情報ばかりを見ていると、それが真実かのように思えてきてしまうのです。

ネイティブ広告は意図せず「繰り返し」見てしまうようにプログラミングされているので、意図せずその意見に流されやすい状態になってしまっていることを自覚する必要があります。

「そういえば最近見たな、最近流行ってるな」は危険です。

「繰り返し見る」ことはそれだけ危険だと知っておかなければなりません。


さて、ここまでフェイクニュースの性質についてまとめてみました。次は、どんな人がフェイクニュースに騙されやすいのか?を見ていきましょう。


😟フェイクニュースに騙されやすいヒト

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Cognition誌で2019年に公開された研究では、3446人の参加者を対象にフェイクニュースに騙されやすいヒトにどんな特徴があるかを調べました。

その結果、直感的に物事を判断するタイプの人は騙されやすく時間を使ってしっかりと分析するタイプのヒトの方が騙されにくいことが明らかになりました。

分析タイプの人は、見出しだけでもフェイクニュースをフェイクだと判断するのが得意なことが明らかになっています。

直感タイプのヒトにも、分析に使う脳の部分を使えば、フェイクニュースは十分に防げます。何か買ったり、行動を起こす前に、5秒だけ本当かどうか考えてみると、騙されるのを防げるかもしれません。

この研究で使われたCRTという認知テストは、ファスト&スローで解説される、システム2の働きを見るテストです。システム1とシステム2は誰にでも備わっている脳機能ですから、システム2を使うことを意識すると、多くのフェイクを回避できます。


📱SNSにはマジで気をつけよう

SNSは、フェイクニュースを滑り込ませる人達にとって格好のプラットフォームです。繰り返し同じフェイクを混ぜることで、私たちに植え付けたい意識をどんどん大きくすることができます。これは2018年にレジーナ大学が示した研究からも明らかです。

SNSに対して私たちはあまりにも無防備です。

情報社会なんて言いますが、「意見」はたくさんあるけど、正しい「情報」は意外なほど少ないことを知っておきましょう。


⚙️人間の脳の限界を超える、新しい技術が必要

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とはいえ、フェイクニュースをフェイクと見抜くのは非常に難しいです。

そもそも私たちの脳自体が、フェイクを見抜くのが困難な仕組みなので、意識していないと、間違いを見抜けないのです。でも、ずっと意識を集中させてニュースを見るなんて無理です。

2018年にScience誌に掲載された記事を中心に、フェイクニュースに対抗するためには新しい技術が必要であることが広く叫ばれています。

2019年には、フェイクニュースかどうかを判断するためのジャッジシステムを開発したという先行研究が発表されています。システムはプロのファクトチェッカーとほぼ同程度のレベルでジャッジが可能とのこと。

したがって、未来のニュースサイトの情報は、ファクトチェックアプリや、ファクトチェック済み情報として公開されるようになるでしょう。

技術の進歩と定着をもう少しだけ必要があります。

その間、私たちはチョットだけ、慎重になりましょう。



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引用

Tandoc Jr, Edson C., Zheng Wei Lim, and Richard Ling. "Defining “fake news” A typology of scholarly definitions." Digital journalism 6.2 (2018): 137-153.

Pennycook, Gordon, and David G. Rand. "Lazy, not biased: Susceptibility to partisan fake news is better explained by lack of reasoning than by motivated reasoning." Cognition 188 (2019): 39-50.

Pennycook, Gordon, Tyrone D. Cannon, and David G. Rand. "Prior exposure increases perceived accuracy of fake news." Journal of experimental psychology: general 147.12 (2018): 1865.

Lazer, David MJ, et al. "The science of fake news." Science 359.6380 (2018): 1094-1096.

Pennycook, Gordon, and David G. Rand. "Fighting misinformation on social media using crowdsourced judgments of news source quality." Proceedings of the National Academy of Sciences 116.7 (2019): 2521-2526.

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