まだ_紙とペンで消耗してるの__PCやスマホを_学習に使わないのは絶対に損___1_

まだ、紙とペンで消耗してるの?PCやスマホを学習に使わないのは絶対に損。 【漢字の読み書きすら】

ハイライト
・2015年には過去110件の論文調査によりPCやスマホ学習による絶大な効果が示される
・社会学習>専門領域>科学>言語学>数学の順に効果が高い
・読み書きとボキャブラリーUPどちらにも効果的
・注釈や単語帳アプリの優位性
・漢字の”書き”ですらスマホ勉強は紙とペンより圧倒的に優秀

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■まだ、紙とペンで消耗してるの?

先日、この記事を読んでPCやスマホを使った学習ってまだ全然定着していないんだなぁ。と改めて思ったので記事を書いてみました。

筆者は、”現代の小学校、中学校、一部の高校においては、パソコンを使用した提出物を受け入れない”ことを問題点として捉えています。

その理由は
・パソコン使ったら漢字を覚えない
・本人が書いたのか筆跡でわからない
 本人の代わりに親が書いたかもしれない
 ネットから拾ってきてコピペしたものかもしれない
・テストは手書き

したがって、PCやスマホを使った提出物は拒否される。と言うのです。

私が学生だったのは何年も前の出来事ですが、これほどインターネットやスマホが普及した時代に、紙やペンにこだわる。その理由は一体何なのでしょうか。

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学生が受けるべき利益として、最も重要なポイントは『学力の向上』

だと思います。

”学習”をする為に学校に通うのだから、学習効果が高いに越したことはありません。学習効果が高い方法を使って効率的に知識を蓄えること。それが最も意味のある教育ではないでしょうか?

したがって、

『PCやスマホを使った学習は、紙と比べて劣るのかどうか?』

を明確にすることは重要です。

学びに興味があるすべてのヒトに知ってほしい内容です。徹底的に調べましたので、ご覧ください。


■PCやスマホを使った学習効果は2000年台を皮切りに爆増

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初代iphoneがアメリカで発売されたのが2007年。スマートフォンは爆発的に広がりを見せ、学生から大人まで馴染みの深いデバイスへと成長していきました。

ちょうどその頃から、この便利なデバイスを学習に使う試みが広く行われるようになりました。その結果、PCやスマホを学習に使う研究の数は2013年には2000年と比較して10倍以上に膨れ上がりました。

もう2020年。これらの知識や経験は世界中で共有され、その成果は決してバカにできない、素晴らしい成果を明確に示しています。

過去に学ばないのはもったいない。そう思いませんか?


■PCやスマホを使った学習は、絶大な効果を示す。

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2015年には、過去に行われたモバイルPCやスマホを使った学習に関する研究を110件統合し、その学習効果を紙やペンを使ったものと比較するメタ分析が行われました。

その結果全体を通してみると、紙や本での学習に比べてモバイルPCやスマホを使った学習は学習効率が高いことが示されました。(g=0.523)

更に分野別でみると

社会学習(0.768)>専門領域(0.592)>科学(0.565)>言語学(0.473)>数学(0.337)の順に効果が高いことが分かりました。

これらの数値の意味については後述しますのでご安心を。

確かに、社会科の授業ってディスプレイ上に登場人物や地図などが動的に表示されたら、学習効率上がりそうですよね。専門領域だって、必要な手技や知識は動的に理解できた方がよさそうです。言語系もすぐ調べられるという最大最強、圧倒的な便利さがあります。

数学はちょっと謎なんですが、それでも効果があるといえる量が示されています。

さらに、子どもの方が学習効果は上がりやすいことが判明しました。

子ども(0.636)>大人(0.552)>高校生>(0.451)

学校だと、PCやスマホは子どもほど避けさせるような教育になっているような気がしますが、その辺どうなんでしょうかね??


数値は、効果量gを示します。
*g=Hedge's g:効果量と呼ばれる効果の大きさを表す数値のこと。

とりあえず、以下の指標をもとにすごさを判断してみてください!
0.2以下:小さな効果
0.30.7:中程度の効果
0.8以上:大きな効果

効果量の解釈については、この本が簡潔かつ正確に学べる良書なのでオススメ。


■PCを使った第2言語学習は、絶大な効果を発揮する

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”注釈”を使った学習は英語をはじめとする第2言語学習に素晴らしい効果を発揮することが分かっています。

注釈とは、スマホで英単語を選択したときに出てくる翻訳のポップアップや、辞書機能などの解説を指します。アレ、便利ですよね。わずか数秒で単語の意味を調べられるんですから。僕も論文を読むときはほぼ100%使ってます。

注釈を見るたびに、単語の意味を思い出します。人間の記憶は思い出したときに定着する。という理論を支持するかのように、2008年のメタ分析では『注釈を使った学習』が、『紙やペンを使った学習』よりも学習効果が高いことを示しています。

・読み能力:中~大程度UP(d=0.73)
・ボキャブラリーの”短期”記憶:絶大UP(d=1.4)
・ボキャブラリーの”長期”記憶:絶大UP(d=1.25)

長期記憶と短期記憶のどちらにもPCやスマホ学習の効果が高かったのです。しかも、この効果量はかなりすごい。個人差はあるんですが、それでも効果量が1を超えるというのは相当すごいです。

例えば、ダイエット法で効果量1を超える効果を報告する論文とかってほぼありません。

繰り返し学習の効果が高いのは、記憶を思い出す回数が増えるからだと考えられています。注釈による思い出しも、言語学習において十分な効果を発揮するようです。

*d=Cohen's d:効果量と呼ばれる効果の大きさを表す数値のこと。
0.2以下:小さな効果
0.30.7:中程度の効果
0.8以上:大きな効果

効果量の解釈については、この本が簡潔かつ正確に学べる良書なのでオススメ。(またか)


■携帯アプリを使った単語帳は、紙よりも効果的

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2010年には、紙とアプリ、それぞれの単語帳を使って6週間英単語を学習した場合、どちらのグループの方が単語を効率よく覚えることができるか??が調べられました。

結果は当然、アプリの圧勝でした。

アプリグループ:13.8
紙グループ:8.62

アプリの方が得点が1.6倍上昇しました。

通学のバスの中や、寝る前などにスマホアプリを使って単語学習をする機会が増えたことがインタビューにより判明しています。

さらに、紙での学習は抵抗感があるのに対して、スマホを使うことは学生にとってポジティブな印象を与え、学習に対する前向きなモチベーションとなりました。

実際、単語帳アプリは楽しいと感じる学生も多く、「速く」「手軽に」「楽しく」使用できることや、いつでも中断できることがボキャブラリー習得に役立ったと結論付けられています。

確かに、学校でさんざん疲れ果てた後に、教科書や単語帳をわざわざ取り出して開くのってストレスじゃないですか。ましてや紙は光りませんから、寝る直前にやるなんて無理ですし。

「英語やんなきゃなー」と思ってから数秒でそれができるのは大きいですよ。やっぱり。携帯は単語学習には非常に優秀なツールです。


■さすがに、漢字の読み書きは手書きが最強でしょ?

結論から言うと、それも間違いです。

PCやスマホのアシストを使った方が効率よく定着します。

新聞で使える常用漢字は2136種類。ひらがなとカタカナはそれぞれ48種類。日本語を学習するヒトはまずこれらの文字を習得する必要があります。最低でも1000文字程度の知識がないと日本語のテキストを理解することは不可能とされています。

一方、アルファベットは26文字で、大文字・小文字合わせても52文字しかありません。これらの事実は、日本語学習がいかに複雑で難しいかということを示しています。

しかし、2012年に行われた研究では、スマホのサポートを受けた漢字学習は、紙に書く以前までの方法よりも「読み」「書き」「意味理解」の3つのポイントで優れていることが示されています。


困難な漢字学習を効率化するためのサイトやアプリには

・AnkiObenkyoJA SenseiJisho.orgJLPT StudyKanji LS TouchKanji Flip

など様々なものが普及しています。


今回紹介する2012年の研究では、さまざまな国から47人の日本語学習者を集めました。その上で、

『スマホやPCによってこれらのサイトやアプリを利用しているヒト』

VS 

『紙やペンを使って日本語を学習する人』

どちらの学習効果が高いかが検討されたのです。

すまほ

結果は、圧倒的にスマホやPCを使った方が成績が高かったのです

”パソコン使ったら漢字を覚えない”という理屈がいかに馬鹿げているかがわかりましたか?そんなものは嘘っぱちです。

それぞれのカテゴリの中で、漢字の『書き』は確かに難易度が高いことがうかがえますが、それでもPCやスマホを使った学習は効果的だということが分かります。

もちろん、紙やペンを一切使わないのはどうかと思いますが、学校の中ではスマホやPCを禁止。提出物はすべて手書き。電子機器から学生を引き離すような行動がいかに学習機会を奪う行為か分かります。


特にAnki(単語帳アプリ)の使用は漢字習得に有効であることが追加の調査で示されており、言語学習に単語帳アプリはかなりの有効性を発揮する事が、この研究でも示されています。


■提出物はすべて手書きが招く悲劇

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PCやスマホを利用してコンピューターのアシストを受けないまま提出物を作成することは、学習の観点からは非効率でしかありません。

コンピュータの使用は、何気なく変換機能を使った際に、言葉の違いが注釈で出る。それを見る。使い分けを実践的に確認する。ということがごく自然にできるよう工夫されています。もし理解が足りない語彙があったとしても、ものの数秒で検索し、使うことができます。

このトライ&エラーは手書きでは到底できません。手書きでは、思いもよらなかった単語を使うことはできないのです。「あの単語何だっけ?→辞書で調べる」数回程度なら、調べることはできますが、100回調べながら文章をかけ!と言われたらどうですか?私にはそんな根気はありません。その結果、自分が最初から知っている語彙しか使えず、新たな学習の機会が損なわれます。また、文字を消したりすることを面倒に感じて、文章の推敲能力も低下するでしょう。PCやスマホなら...言わずもがな。

PCやスマホのアシストを受ければ、調べる手間は格段に解消され、自分の思うように文章を書きあげることができます。この手間はボキャブラリーだけにとどまりません。有名な哲学者の言葉、化学式、ジュアライゼーション。すべて、意義ある学習です。これらが全て思うがままに使えるんですよ・・・?

その機会を、奪っていいのでしょうか。

したがって、学習のために学校が存在するのであれば、コンピュータのアシストを受けた学習をいち早く導入するべきです。おそらく教材作成の効率化や、その後紙で配布するためのプリントアウトの手間なども減るので教育者側のメリットもあるでしょう。

2020年に実施できていないのは残念でなりません。

(*僕の観測外で実施できていたらごめんなさい)

せめて、僕のnoteを見てくれた方は、間違った勉強法を使ってしまわぬよう願っております。


おしまい

このnoteは、世界中の論文を読み漁ることが趣味の私が、普段の生活や健康、美容などについて、根拠に基づいた意思決定をするための知識を提供していくnoteです。アナタの時間を、もっと楽しいことや自分の興味のあることに使うための情報を集めて書いていきます!


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*まずは、『学習効果が高いか?』それが最も議論すべき内容。リスクやコストを計算するには、まず利益と突き合わせることが必要だと考え、この記事を書きました。
コミュニティさえあれば、人との付き合いやコミュニケーション方法は否が応でも身に付きます。しかし、『学習』はただのコミュニティだけでは成立しません。教える人がいて、教材があって、教えられる場所がある。それは学校教育における”学習”の重要かつ素晴らしいポイントです。
PC導入費用や偽造防止については専門外であり、現在有効な対策法があるのかはちょっと私にはわかりません。テストについては、マーク式なら特別な訓練はほぼ不要ですし、テスト用のオフラインPCがあれば十分実施可能なんじゃないかな~とも思うのですが、あとは私などよりも、経済学者さんやIT分野の専門家の出番かと思いますので、よしなに。
**今回調べたのは、”PCやスマホのアシストによる学習”の効果であり、100%スマホで学習することを勧める内容ではありません。あくまで記憶の定着に関してはスマホなどのモバイルデバイスが相当有利である。ということを示すのみです。


引用

1.Sung, Yao-Ting, Kuo-En Chang, and Tzu-Chien Liu. "The effects of integrating mobile devices with teaching and learning on students' learning performance: A meta-analysis and research synthesis." Computers & Education 94 (2016): 252-275.

2.Sung, Yao-Ting, Kuo-En Chang, and Tzu-Chien Liu. "The effects of integrating mobile devices with teaching and learning on students' learning performance: A meta-analysis and research synthesis." Computers & Education 94 (2016): 252-275.

3.Grgurović, Maja, Carol A. Chapelle, and Mack C. Shelley. "A meta-analysis of effectiveness studies on computer technology-supported language learning." ReCALL 25.2 (2013): 165-198.

4.Abraham, Lee B. "Computer-mediated glosses in second language reading comprehension and vocabulary learning: A meta-analysis." Computer Assisted Language Learning 21.3 (2008): 199-226.

5.Basoglu, Emrah Baki, and Omur Akdemir. "A comparison of undergraduate students' English vocabulary learning: Using mobile phones and flash cards." Turkish Online Journal of Educational Technology-TOJET 9.3 (2010): 1-7.

6.Librenjak, Sara, Kristina Vučković, and Zdravko Dovedan. "Multimedia assisted learning of Japanese kanji characters." 2012 Proceedings of the 35th International Convention MIPRO. IEEE, 2012.

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