アフガニスタン兵士たちにエナジードリンクを飲ませたら超人になるのか?という研究。
エナジードリンクは3年前に比べて市場規模が約1.4倍に拡大し459憶円の巨大市場となっています。さらに1缶あたりの量も増え、300mLを超えるモンスターエナジーのような高容量商品も一般的に普及してきました。
レッドブル:翼をさずける
モンスターエナジー:要するに、ヤバい・・・。
SAMURIDE:鼓舞せよ、魂。
など、めちゃくちゃ魅力的なキャッチコピーがズラリ。レッドブルは「翼生えねーぞ!」と訴えられたという悲しい過去もありますが、短距離走やサッカーの成績、握力や反応速度と言った運動に必要な能力が短期間パワーアップすることも研究データとして示されています。
さらに、今更いうまでもないですが、エナジードリンクに大量に含まれるカフェインが中枢神経を活性化し、眠気を吹き飛ばす効果があります。以前の研究においては、エナジードリンク1.5杯くらいに相当するカフェイン200mgを摂取すると軍人の認知能力が改善するというデータが発表されたことも。
体のパフォーマンスが生死に関わる職業。それが兵士です。戦場では反応速度や一瞬の握力が生死を分ける可能性がありますし、万が一にも寝てしまったら、敵の格好の餌食になってしまいます。そんな厳しい戦場でエナジードリンクは一体どんな効果をもたらすのでしょうか?
今回ご紹介するのは、2003~2009年にイラク戦に従事したアメリカ兵と、2005~2012年にアフガニスタン戦に従事したアメリカ兵の調査データです。エナジードリンクが、戦闘経験や、精神的な健康状態・睡眠状況・日中の眠気などにどのように関連しているのか?を調べたこの研究を使って、エナジードリンクが私たちに本当に翼を生やしてくれるのかを検証していきましょう!
戦場でエナジードリンクはどの程度消費されるのか!?
アフガニスタンに派遣された、アメリカ陸軍、海兵隊合計988人のサンプルを用いた研究によると、44.8%もの兵士が毎日エナジードリンクを摂取していることが分かりました。1日5回以上飲む人は4.7%でした。
ちなみに250mLのレッドブル中には80mgのカフェインが含まれますから、5本飲むとカフェインの量は400mgとなります。欧州連合(EU)の欧州食品安全機関によると、カフェインは1日400mg未満にするべきとされているので、1日5回もエナジードリンクを摂取するのはかなりデンジャーです...
エナジードリンクを毎日飲んだ兵士は超人になるのか?
残念ながらエナジードリンクを毎日飲んでいる兵士は超人になるどころか様々なデメリットを報告していました。
1日3杯以上のエナジードリンクを摂取したグループ
・3~4時間しか眠れない重度の短時間睡眠のリスクが1.6倍。
・戦闘参加に関連するストレス増加による短時間睡眠が1.9倍
・ブリーフィング中に寝てしまうリスクが1.9倍
と睡眠関連のリスクがとにかく増加してしまいました。
エナジードリンクに含まれるカフェインが覚醒状態を作り出し、眠ろうと思ってもなかなか眠れなかったり、中途覚醒の確率を高めるのが原因です。いうまでもありませんが、ブリーフィングで寝てしまったら戦闘で死んでしまう可能性は上がってしまいます。最悪です。ほかにも、警戒中や警備中眠りに落ちる確率も
さらに、統計的に優位な差はないものの、ミッション中に睡眠不足が原因のミスを犯してしまう確率も1.66倍に増加してしまうというデータも出ており、エナジードリンクの常飲は、戦闘中には裏目に出てしまう可能性が極めて高いといえます。
研究チームはエナジードリンクを毎日飲むなと警告する。
これらの結果から、エナジードリンクは戦闘のパフォーマンスを大きく低下させます。兵士たちが超人になるどころか、寝不足を作り出すだけの可能性があります。
確かにエナジードリンクは短時間でのパフォーマンスをアップさせることが分かっていますが、大抵、戦争は1日では終わりません。毎日の服用は決して推奨されません。
私たちも仕事や勉強のパフォーマンスをアップさせるためエナジードリンクを使用することがありますが、それは一時的な効果しかないことを知っておく必要があります。
「元気の前借り」という言葉は正確なようです。
そして、もう一つ気を付けたいエナジードリンクの使い方があります。それは、アルコールとの組み合わせ。
コチラにあるように、アルコールとの組み合わせは、酔いを感じにくくさせ、飲む量を増やし、ケガを増やすことが分かっているので是非ご覧ください。
レッドブルのメリットは↓の記事に書いてあります。短時間のパフォーマンスを上げる為にどうしてもエナジードリンクを使いたい場合は、その方法と効果をここに示しています。是非ご覧くださいね!
集中力を本当に高めたいのであれば、レッドブルのように短絡的な方法ではなく、仕事のやり方を変えることをオススメします。成果/時間が最高になるシングルタスクの方法はコチラの本から学べますよ!
引用
1.Centers for Disease Control and Prevention (CDC. "Energy drink consumption and its association with sleep problems among US service members on a combat deployment-Afghanistan, 2010." MMWR. Morbidity and mortality weekly report 61.44 (2012): 895.
2.http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/150527
私の記事は、ほとんどが無料です。 それは、情報を皆さんに正しく、広く知っていただくため。 質の高い情報発信を続けていけるよう、 サポートで応援をお願いします。