児童養護施設とは
どんな暮らしを想像しますか。
相部屋がいくつもあって食堂で食事をとって銭湯のような大きなお風呂にみんなで入る。部活の合宿所のようなイメージがつきやすいかと思います。
実際100名を超える大規模な施設もありますが、現在、国は児童養護施設の小規模化を目指しています。
少ない人数で、より家庭的な環境のもと子どもたちのケアや生活のサポートを行うことを目的としています。
普通の一軒家(小舎)に子ども6名から8名と職員3名から4名で暮らしています。(この数字は一概には言えません。職員も足りないし、子どもの人数も8名以上いる小舎もありました。)
私は、小1から高1までの男女8 名の子どもたちと暮らしていました。(勤務時間外は自分の家に帰ることができます。)
子どもたちは、一般家庭となんら変わりない生活を送っています。みんなで食卓を囲んで、一緒にテレビを見たりゲームしたり、宿題や自宅学習を行います。おやつもあるし、お風呂も小学校中学年からは1人で入ります。抱っこもずっとしてるし寝る前の添い寝もあります。休日は一緒に遊びや買い物にも出かけます。
一般家庭と違うところをあげるとしたら、何もかも時間が決まっているところです。
朝起きる時間、朝食の時間、デザートを食べられる時間、お昼の時間、おやつの時間、ゲームの時間、夕食の時間、お風呂の時間、寝る時間。
施設にやってくる子どもたちは、時間の概念があまりありません。育児放棄(ネグレクト)などで昼夜逆転していたり食事を取る習慣がついていなかったりしています。生活の基本を教え、生活習慣を正すことで健康な体と心を取り戻していくのです。
大規模から小規模化に移り変わっているといっても、子どもにとって自分以外の子どもが複数いる中での生活です。"自分だけを見て欲しいのに、職員は他の子どもの世話で忙しく自分のことを見てくれない。"子どもたちはきっとそう思っていると思います。1人で8人を世話する中で私たち職員はその心の隙間まで埋めてあげることはできません。
普段の生活の中で愛情や優しさを注いでくれる・自分だけを見てくれる大人が子どもたちには必要です。
児童養護施設の暮らしとは、一般家庭となんら変わりのない生活をしています。ですが、子ども一人一人に対してや向き合う時間と余裕がないのが現状なのです。