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「モバイルシネマトグラファー / 遠くの一眼より近くのスマホ」

「持ってない身軽さからくる強さ / モバイルシネマトグラフィという可能性」と「スマホでウェディングムービー撮影はどこまで現実的か」という2本の記事を公開して、モバイルデバイスをメインとした映像制作の可能性を探る実験を始めてから1年半が過ぎました。

海外ではすでに「モバイルフォトグラファー」や「モバイルシネマトグラファー」、「アイフォンフィルムメイキング」などのスマートフォンを中心としたモバイルデバイスによる写真や映像制作の新しいジャンルが2019年頃から本格的に確立されてきました。私がこの分野に何故興味を持ったのかというと、今まで10年ほど仕事で使い続けているデジタル一眼カメラに対する興味が徐々に薄れてきたからです。いつの頃からか新しい技術が導入されたカメラやレンズの登場にワクワクするような情熱を感じなくなり、アップデートされた最新機種に買い替えようという気持ちが以前より明らかに希薄になってきたと感じていました。この界隈ではよく「レンズ沼にハマる」とか「レンズは資産」とか言われたりしますが、もうその考え方から自分は完全に解放されちゃったんじゃないかと。私の仕事がプレイヤー(クリエイター)からマネジメントサイドに徐々にシフトしてきた事がひとつの要因かもしれませんが、定期的に登場する新型へのアップデートにメリットをあまり感じなくなってきたのは事実です。

そんな矢先、久しぶりに「機材」としてワクワクするニュースが飛び込んできました。ソニーが1インチ相当のセンサーを積んだXperiaを発売するというのです。

ちょうどプライベートで7年ほど使っていたオリンパスのOM-D E-M5 Mark IIがまともに使えない状態になっており、コンパクトで動画も写真も撮れるカメラを探しているタイミングでもありました。もうカメラのカタチをしているモノに拘らなくてもいいんじゃないか。そう思ったのはやはりスマホで写真や動画を撮る機会が日常で格段に増えたからだと思います。いつも持ち歩いているのはカメラよりもスマホのほうが圧倒的だし、撮影したいときにカメラが傍になくてできなかったという「撮影機会損失」を可能な限り減らすことが、デジタル一眼で自分が欲しい画を撮ることよりも優先順位が上がっていると感じていました。

遠くの一眼より近くのスマホ

スマートフォンの形をした新しい撮影デバイス。これがこのXperia PRO-Iという道具を端的に表現した言葉だと思います。日常の何気ない瞬間って、本当にいつどこで起こるかわかりません。特に子供やペットと一緒に生活していると、「あ〜この瞬間いいなあ〜」っていう場面が1日に何回もあります。そんなときはやっぱり、いつもすぐそばにある確率の高いスマホで撮影せざる負えません。画質等でデジタル一眼カメラよりも低スペックなのは十二分に理解しつつ、遠くの一眼より近くのスマホということで写真や動画を撮ってしまいます。そこには「撮影機会 > 画のクオリティ」という理論が成り立ちます。

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この道具を使って何をするのか?

例えば僕が生業にしているウェディング映像の撮影でXperia PRO-Iを使うのはまだ非現実的だと考えてます。何故なら機動性は圧倒的に高いのですが、デジタル一眼のような自分の思い通りにコントロールして瞬時に欲しいイメージを作り上げるという即応性には欠けてると感じます。では何に使えるのか?Xperia PRO-Iの高い携帯性と機動性を考えるとやはり普段使いの日常を切り取るカメラとして使うのが今のところ一番向いているんじゃないかと思います。そして、仕事で使うなら撮影のメイキングやインタビュー映像など、情報発信系の映像制作(本業を側面で支援する目的の映像制作)と相性がいいのではないかと感じます。ということで、結局1年半前に書いた記事で出した結論とあまり変わっていませんが、それでもこの世は諸行無常だから目を離さずに注視していきたいと思っています。

*Sony Xperia Pro I / Test Shooting

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