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「スマホでウェディングムービー撮影はどこまで現実的か」

ついに来ました。とうとうスマホでウェディングムービーを撮影する日が来るとは、感慨深いです。ということで、今回はそのレポートを報告させて頂きます。まず使用したのはSONYのXperia1とカメラアプリ「Cinema Pro」です。ジンバルはzhiyunのSmooth 4。Xperia 1はアマゾンでSIMフリー海外版を8万円で購入。ジンバルはヨドバシで14000円程度。サードパーティーのカウンターバランスやスマホケース等アクセサリーを入れてもトータルで10万円切る価格帯。とりあえずクリエーターとして納得できるクオリティーを担保した動画撮影ができる最低限のライトウェイトパッケージです。
さて今回の目的は下記2点を検証する事。

Q1.スマホでウェディングムービーの撮影編集は可能か?
Q2.スマホで撮影しているビデオグラファーを世間(新郎新婦やゲスト、スタッフ)は許容できるのか?

これらの問いに対して、結果はというと、、、
A1.撮れないことはないけど、まだ実用的ではないかも。
A2.ゲスト、スタッフともに気になっている人は多い印象。現時点でクレームは一応ゼロ。


ということになりました。
先ずはQ1について。今回スマホで撮影したウェディング当日のムービーはテスト撮影のため非公開としています。その代わり、本番直前にXperiaで撮った「Behind the scenes」をご覧頂きたい。


撮影に関しては、やはりデジタル一眼の操作に慣れてるのでスマホ操作は若干扱いづらかったです。逆に一眼に比べて機能が格段に少なく制限されており、選択肢が狭いので楽っちゃあ楽です。晴天の屋外では液晶が反射しまくって何撮ってるかほぼ分からない状態でしたが、質量が圧倒的に軽いので左手を日よけがわりにして片手撮影しました。レンズが3つあり、一眼のようにレンズ交換する必要がなくサクサク切り替えられるので機動力と即応性は半端なく高くなります。あとは暗部に対する性能が貧弱で、薄暗いチャペルなどでは納品レベルに程遠い品質となってしまいました。

問題は編集。素材がh265になるので、今持っているノートパソコンのスペックだと編集がきつい。なので、一度h264に変換してから編集することにしました。ただ、その変換作業だけで数時間を要したので、とてもじゃなけど撮って出しには不向きです。さらに変換の過程で色んな情報を捨ててしまってるようで、解像度など満足のいく品質とまでは言えないと思います。この辺りはもっと研究するか、スペック高いPC買えばいいのかもしれないけど、せっかくの安い撮影パッケージに高いPCで編集してしまったら本末転倒になっちゃうので、低コスト一辺倒を貫く路線はブレたくない。最終的にはスマホ内で編集も書き出しもしちゃうのがゴールだと思ってます。

そしてQ2。スーツ着て名札も付けてるオフィシャルビデオグラファー的な人がスマホで撮影してるっていう違和感。2019年末の時点でこの違和感がどれほどのものなのか実感してきました。まず、やっぱりみんな見ますね。え?ってかんじで。女子は「ねー見て見て!スマホで撮ってる!」ってあからさまなリアクション。スタッフもチラチラ見てきました。おいオマエ舐めてんのか?とは言われませんでしたが、明らかに他のカメラマンと何かが違う。でも動きはめっちゃプロだっていう違和感を感じずにはいられない空気がビンビン伝わってきました。写真室のマネージャーさんはずっとスマホを凝視。何か言われる前に先手を打たねばと「いかにも海外では最先端風」な雰囲気を醸し出すことで機先を制してみた。


自分「ども!あ、これ?アメリカから輸入した最新型のシネマカメラです!」
マネ「あ、そうなんですね。失礼しました。スマホ的なものかと思いました。」
自分「一部ではそうとも呼ばれているかもしれないですね!」
マネ「・・・」


まあ、こんなもんでしょうね。でもあと数年で違和感は消えるでしょう。放送用肩乗せカメラから業務用ハンディービデオカメラになり、そこから一眼になった節目には必ずビジュアル的違和感が存在してましたし。
ということで、レンズ3本と一眼カメラ1台が薄っぺらいスマホ1台で代用できるということで、機動性が圧倒的に高くなることだけは間違いない。ただし、性能面で商品として耐えうるレベルの映像を書き出すところまではまだ達していないと判断した。なので、現時点で一番生産的な使い方はV-logとかメーキング撮影とかの「発信用動画制作」に向いていると思いました。機能の簡略化と質量の軽量化、コスト低減と必要なものだけにそぎ落としたミニマリズム。映像制作が多様化していくこれからの時代にミニマルフィルムメイカーという方向性は十分アリなのではないでしょうか。

(※ここまでの記事は2019年12月に書かれました。)

そして夢が現実に?

上の文章を書いてからまる2年が経過した2021年11月。スマホでウェディング撮影が夢物語ではないかもしれないニュースが入ってきた。ソニーが「Xperia Pro I」というカメラ(撮影)に特化した1インチセンサー搭載のスマートフォンを発売するというのです。お値段なんと約20万円!

内容を見てみると、もうこれはスマホというカテゴリーで括るには無理のある新しい概念のデバイスだと思います。「スマートフォン機能付きカメラ」みたいな。とにかくもう既存のスマホと比較するのはどうかと思うような全く新しいモノ。そしてやはり予想していた通り、「発信用動画機材」としての性格がより強くなり、専用の外付V-Logモニターまで発売される周到さ。これはすごい。僕はもう確信しました。あと数年で確実にスマホでウェディング撮影イケます!

僕たちのYouTubeチャンネルです。興味のある方は是非ご覧ください。


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