見出し画像

「私たちが目指そうとするもの」

私たちがこれから目指す世界とは、いったいどういうものなのか?ウェディング映像というニッチなジャンルの地位を一気に引き上げてくれたあのStillmotionみたいな作品を作ることなのか? 否。Stillmotionは一つの指標にすぎない。ここ数年でStillmotionも世界的に知名度が上がり、彼らの作品に多大なる影響を受けてテイストの似通ったウェディング映像作品を世界中で散見するようになりました。

彼らが好んで運用するスタビライザーを使った映像が増え、全体的に映像の質とレベルが上がってきている印象がありますが、日本ではまだまだ小規模なクリエーター達のチームでごくわずかに運用されているだけで、業界全体としては旧態依然というのは否めません。日本ではまだまだ目新しいスタイルであり、そういった要素を含む作品が市場で増えるのは好ましいことだと思います。しかし、そこである一つの問題が必ず将来顕著化することになるでしょう。

それは「他者との差別化」です。

スタビライザーやドローンを使った映像がコモディティ化すると、その希少性が薄れてもっと人の心に入り込むような本質で勝負するか、価格(プライシング)で勝負するかの二極化が進むでしょう。誰もがやり始めると、必ずそれは陳腐化するのが世の常です。機材の低価格高性能化と技術やスキルの普及が容易になればなるほど、他ではできないサービスや商品を作って差別化していかない限り、市場原理主義の観点から考えれば必ず価格競争に陥りやすくなります。

私たちも最初はStillmotionにどれだけ近づけるかを目標に「追いつけ追い越せ」でやって来たように思います。しかしながら取引先が増え、日本のウエディング業界の構造や商習慣などを知り、さらに日本人の結婚式とそれについての一般的な考え方や日本の文化風土などを考慮すると、目指す本質は同じであってもそのアプローチの方法は決して彼らと同じではないということを理解するようになります。違って当然であり、逆に違ったものを創造していかなければ私たちの作品の独創性やチームとしての価値は生まれてこない、そう考えるようになりました。この問題を常に自問自答し、自分たちの手で最上解を導き出す努力を続けない限り、我々に明日はないと思っています。

本物を志向すれば必ず本質に近づく。それを信じて日々精進していこうと思います。

※この記事は2012年6月に書かれ、2022年3月に加筆したものです。
※この記事が書かれた2012年から10年が過ぎた今、日本のウエディング映像制作のレベルは当時と比べて飛躍的に発展してます。

僕たちのYouTubeチャンネルです。興味のある方は是非ご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?