見出し画像

特価122円のダイヤのイヤリング


駅で恋人を待っているあいだに見つけたイヤリングがやわらかく虹色にひかっている、330円のイヤリングや54円のチョコレートで機嫌をとれる自分が好きだけれど、ほんとうは機嫌をとれているんではなくて物質的な価値にそれほど興味がないだけだった、
ささいなことですぐにわたしの車輪は回らなくなる、高い油をさされたって仕方がなかった、車輪はいきているわたしのからだの一部で、からだは、わたしの頭が、こころが命令を出さないと動かない。


「わるいことはだめだけど、そんなの偽物だよって言われたってきれいならいい、おいしいならいい、
でも愛だけはほんものじゃないとうまくひからない」
「でもどうやって見分けるの、鑑定士でもないのに、ダイヤの方が硬いからってぶつけて試すばかやろうみたいに、あんたも愛を乱暴に叩きつけて壊れないか試してみたりしてるんじゃないの、
だとしたら、ばかやろうだね、そんなだから、そんななんだよ」 

ばかやろうにはばかやろうなりに信念だのプライドだのが(しかも誰より高く)あって、あるから、余計にめんどくさいねマイディア、
近頃は紹介してもらった簡単なライティングの仕事をこつこつとしているけど、何にしたってやっぱり文章を書くのも知らないことを調べてみるのも好きみたいだよ、
愛してるんだから愛してねって詩のカミサマになんべんも言ってるんだけど、賽銭も信仰心もないから跳ね除けられる、お前が愛してんのは俺じゃなくてお前自身だろって、わたしの愛がひかってないことはカミサマには分かるみたいでなんでもかんでも上手くやりやがってってムカつく、
ムカつくから、さっさと飛び越えてやりたい。


カラオケで歌った夢追いベンガルがこだまする、平成生まれのカリスマにはなりたかったし、物質的な価値には興味ないとかだせぇこと言ってたけど貯金通帳のしろさには凡庸にいらいらする、今日も愛されないってへらへら歌った横の愛してくれるらしいこいびと、を待つあいだに買ったイヤリングは300円でもほんものだから虹色にひかっている、
ちゃんと生きなきゃ、ちゃんと稼がなきゃ、愛をホンモノにはできなかったりするらしくて泣きたくなるね、
うまれてからしぬまでちゃんとダイヤだよって言ってね、いつだってかっこつけて、天才のふりしてたいだけなの。









生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。