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ホスピタルギャラリーから学ぶ「カタチを変える=概念と機能を変える」こと

ホスピタルギャラリーという本を読みました。徳島大学病院の玄関ホールにアート作品を設置するギャラリースペースを設けるというプロジェクトです。

病院っていうののイメージは人によっていろいろだと思うのですが、私は割と病院が好きで住みたいくらいなので、感覚的にマイノリティだと思うのですよね。

多くの人が病院について思うイメージみたいなこと、それから(アートとかデザインとか分けず)作品をつくるときの考え方みたいなところでとても勉強になりました。

病院はとても特殊なところ。病気がなければ誰も来たくはない。不調があるから病院に来ている。いわば病院は「非日常」。病院としては、病院にいるすべての人に、できるだけいつもとおなじ環境でいてほしいと思っています。最適な医療を充分に保証したうえで、なおかつ「日常」を保てる病院、それが理想。

この考え方から徳島大学の病院長は環境に意識が向き、アートを置いてはどうか、という考えに至ったようです。

病気になったり、怪我した時に思うのは「日常がいい」「ふだんの生活が一番大事」ということ。

この気持ちを汲み、発表している作品は「日常で見かける物をワイヤーで表す」とかだったんですね。

本には写真が出ていますが、ワイヤーだけで作られているシャツとか、インスタントラーメンとかがあって、なかなかおもしろく。

なんか写真だけ見ると、一筆書きで物体の絵を描いたみたいに見えてとてもおもしろかったので、ぜひ本も読んでいただきたいのですが。

人気の作品には、作者と観る者を結び付ける共通感覚、つまり「あ、なるほど」「そういわれれば、そうか」と膝を打って共有し合える「インタラクション(相互作用)」としてのコンテクストがしっかりと書き込まれている。

普段の会話においても、言葉での説明が足りてなかったり過剰であれば意図が伝わりにくい。

これ、前にArtStickerしたこちらの作品がそんな感じなんですよね。

か細いワイヤーと卵がアクロバットしてるような作品で、タイトルが「命がけ」。見るだけで「なるほどー」ってなんか分かる。

命がけ=自分を危険にさらしている、相棒を危険にさらしている

という状態が、作品を見てすぐ分かる。

「分かる」というのは、作家と鑑賞者の間の最初の挨拶みたいなものかもしれません。分かる物があるというのは、それだけで相手に優しい。専門的なことや分からないことってある種「壁」なんですよね。言語が分からなければ相手のコミュニティに入れない、みたいな感じで。

病院はもともと、機能として「専門」という壁が備わった場所なので、「分かる」ものの存在が訪れる人と病院を結び付ける役割も果たしていそうです。

病院はなぜ世界中でこれだけ均一化しているのか

海外の病院あちこち行ったことがあるわけではないんですが、自分がこれまでに訪れた病院といえば

・日本の病院
・ニューヨークのがんセンター
・タンザニアの病院(けっこう大きいところ)
・オーストラリアの病院
・オーストラリアの動物病院

があります。

どこもだいたい白い壁で待合室があって、みたいな感じで、そこまで違わない印象でした。比較するなら「図書館」ってエリアによってかなり内装が違うんですよね。知性があふれたような場所もあれば、楽しい気持ちになるような場所もあり、事務所っぽい感じのところもあります。

図書館やカフェと比べると、病院にはそこまで個性がない。個性が必要とされないのかもしれないのですが、機能重視の建築だと考えることもできます。

しかし、この時の「機能」として一番考えるべきところはどこなのか。

ご家族と患者さんの癒し、安心できること、だと思うんですね。もっといえば、そこに働くスタッフが、ご家族と患者さんに安心して癒しを提供できる環境であること。

ノートパソコンの形が、世界中でほぼ同じなのと同様に、機能が重視されるものはだいたいカタチが似通ってくるようです。

最近、ちょっとカタチについて考えていますが、ほとんど標準化している物の「カタチ」を変えるということは、機能を変えること、概念を変えることに等しいのだなと考えています。

機能と一体化したカタチを変えるということは、機能を変えるに等しくなります。

「遊びに行きたい病院をつくる」というのを目標に掲げていますが、遊びに行きたい病院がもっている「機能」というものに注目するのも一つの方向性のようです。

自分の考えに固執せず、もっと行為を観察しなさい。
素材をねじ伏せようとせず、なりたがっているかたちを見出すんだ。かたちはふいにやってくるから。

機能的な病院が機能に機能が必要ないとしたら、どんな姿になりたいか。

またしばらく考えてみたいと思います。

特に結論の出ない思考ノートだったのに、ここまで読んでいただきありがとうございました!
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