私生児コロナ

 この一連の新型コロナパンデミックを経験して、原作の方の風の谷のナウシカを思い出した人も少なくないだろう。

 だれに産み落とされたかもわからぬまま、世界を漂うさだめにあるコロナウイルスの孤独。その孤独を一体だれが分かち合えるのか。
寄る辺ない、果てしなき流浪の末、懐深きアジアの胸に抱かれて、やすらぐことはあるのか。

 誰も認めないウイルスは、ぬくもりを求めるしかないのだ。己が何者なのか、他者に寄り添うことでしか、確かめられないのだ。

 やがて、かつて、哀れだったコロナは、落ち着きを取り戻し、その収束と共に、世界が穏やかに凪いでいくことを示すのだろう。

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