間違い電話に折り返す

Q.物事を選択するとき、これまでと同じものを選ぶより、新しいものを選ぶ方だ。

①あてはまる
②少しあてはまる
③どちらでもない
④あまりあてはまらない
⑤あてはまらない

わたし、圧倒的⑤。全然冒険しないタイプ。

なんだか思いつきで性格診断テストみたいな冒頭にしてみたけれど、別段意味は無い。つい最近友人とやったのが印象に残っていただけで。


私が冒険しないっていうのは、飲食店やコンビニで期間限定メニューを無視して同じものしか頼まないとか、そもそも飲食店も何度も行ったチェーン店しか入らないとか。服や小物は白と黒ばかりだとか。分かりやすいのはそんな感じ。

普段しないことをして、良い結果になったことが少ないから、自然と安心と安定を選ぶようになったのかもしれない。期間限定メニューって美味しくないのも多いし、色ものの服や小物は飽きるのが早い。これまでを基に選ぶのがいちばん良い。普段やらないことはやらない方がいい。

そんな生き方をしていると、話のネタが少ないなとか、失敗を避けるから面白みが無いなとか。今になってそう思うことが多い。失敗した人間の方が面白い。昔から安定を選んでばかりの私は、つまんない人間だな。どんどん視野が狭まっている気がする。



今日は家の固定電話に、恐らく同じ人から2度も電話が掛かってきた。

1人1台スマホを持ち歩く今の時代、固定電話に掛かってくる電話と言ったら、ほとんどが保険会社やリサイクルショップの営業電話。留守電もあるし緊急の連絡なら何度も掛かってくるはずだから、基本的に電話は取らない。

掛かってきた電話はどうやらどこかのお店へ宛てたもので、年末の営業日を知りたいらしい。
しかも2度目の電話で「折り返しお願いします」と言われてしまった。間違える方が悪い、と思わなくはないけど、無視するのも始末が悪い。

普段なら「次も掛かってきたら間違いを教えよう」と受け身になるところだけど、声の感じで母と同世代に思えて気に掛かった。電話が来るかもしれない状況が続くのも嫌で、折り返してみることにした。

1度目と2度目の留守電を2、3回再生して、相手の名前と電話番号と着信時間をしっかり確認した。私がまた違う人に間違い電話をしてしまったら、間違い電話の連鎖が生まれちゃうかもしれないし。

いざ!とボタンを押す。呼び出し音が続いて、あっという間に留守電に繋がれた。居ないならもういいか、と電話を置いた途端、家の電話が鳴った。反射で受話器を取ると、留守電で聞いた女性の声。

なんだかあまり電話慣れしていないように聞こえる。反射で取ったもんだから、しどろもどろで「多分間違えていると思います」なんて、どう考えても相手が間違い電話をしていたのは明白なのに、自信無さげに伝えてしまう。しばらくして通話は終わった。

間違いを指摘したら逆ギレするような人じゃなくて良かった。話の分かる人で助かった。ほっと息を吐いた。


普段しないことをしたところで、まあ面白いことは起きやしない。というか微々たるもの過ぎるし。「こういうことじゃない」感が否めない。

面白いことは起きなかったけど、「間違い電話を無視した人」から「間違い電話に折り返した人」になったわけだ。無視するよりは微量な経験値を積めた感じがする。

「いつもしないことをしてみる」というのが、来年のささやかな目標でも良いかなと思った。

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