聴力ではない「きく力」
聞こえているのに「きく力」が弱い子がいます。
どんな子かというと、聞いたことをほんの少しの間、覚えておくことが苦手なのです。
ほんの少しというのは、20〜30秒ほどの間でしょうか。
その間、覚えておくことがちょっぴり難しいのです。
(これ実はとても大事な気づきです!)
今回は、そんな「きく力」についてお伝えしたいと思います。
「見る」と「聞く」の違い
見る情報は、見続けることで、ずっと同じ情報を入手し続けることができます。
ところが、聞く情報はそうはいきません。
聞く情報は、一瞬で消えてしまうからです。
(よほど注意していないと、聞き漏らしてしまいますから大変!)
例えば、お友だちと人気のテレビについて話していたとします。
「え?」
「いまなんて言ったの?」
もう一度確かめようとしていたのに、聞きそびれてしまい
そうこうしているうちに、どんどん話がわからなくなっていく。
そんな風に想像してみてください。
不安感、疎外感が襲ってくるのが想像できるかと思います。
(若い子の話についていけなくて置いていかれる感じを想像するとわかるかも!)
先生やお友だちの言っていることについていけないので、すぐに違うことを始めてそっちに夢中になってしまう。
なんてことがあるかもしれません。
これは聞いていないのではなく、記憶できていないのです。
見えるものは見えている間はずっと消えない情報でも、聞く情報は一瞬一瞬消えていく情報なので、先生の声だけを頼りに過ごす園生活はちょっと辛いのです。
カクテルパーティー効果
更には、子どもはガヤガヤしたいろんな音がする環境の中では、先生や親の声だけを拾うことがとても苦手だということも、心に留めておいてあげてください。
これを理解するには「カクテルパーティー効果」がわかりやすいです。
カクテルパーティーのような大勢の人がザワザワと雑談している環境の中で、自分の興味を持つ話や、自分の名前には、自然と聞き取ることができることをいいます。
これは、人が音を処理していく過程の中で、必要な情報だけを再構築していくからだといわれています。(Wikipedia)
ところが子どもは音のフィルターが弱いので、全ての音を拾ってしまうのです。
きく力を補う手がかり
重要なことは、聞き漏らさないように、伝える工夫が必要になります。
以下のようなこともぜひ参考にしてみてください。
工夫例)
1.静かな環境に移動する
2.今から大事な話をすると予告する
3.耳からの情報に集中させるため、目を閉じるか目をみるように伝える
4.短く文章を切る(だらだら話さない)
5.途中で理解できているか細かく確認する
6.大事な話をするときは、いつも同じパターンにする など。
発達障害のあるお子さんの中には、刺激の強い音を耳にすると、脅威を感じて不安が襲い、身を守ろうとして、脅威となる刺激をシャットアウト!
少しでも安心を引き出そうと、いつもと同じことにこだわることもあります。
これも同じ配慮が必要です。
バックアップの用意
気が散りやすいお子さんには、今何をするべきか、確認できる手がかりとなる方法を用意しておいてあげるといいですね。
つまり聞き漏らした時のバックアップの用意です。
今しなければいけないことを、園や学校であればその都度黒板に、家であればいつもの場所に書いておくのもいいですね。
そこを見れば、今何をすればいいかがわかるからです。
日頃から「きく力」を育てるためには、くり返し聞かせることと、興味を持つように感情を揺らす工夫をするといいですよ。
鶯千恭子(おうち きょうこ)
<お知らせ>
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