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イケメンとの恋を思い描いてるうちに人生終わる虚しき女の自叙伝「更級日記」

大人になったらそれなりに美人になって髪も伸びて、光源氏に好かれたような夕顔みたいになるんだろうなーー、なんて考えてた私、バッカみたい。

どんなに「信仰しろ」って言われてもここから伊勢参りなんて行けるわけないし。まあまあ、お天道様にお祈りしておけばいいでしょう。なんとかなるなる。

親ったら私を結婚させてしまった。結婚したからといって、そんなに幸せなわけでもない。

くだらないことばかり考えて勉強もせず神仏参りもしないで漫然と生きてきたからこうなるんだ。光源氏なんていない、そんなこと分かれば落ち着くようなものなのに、そうはならないのがこの私。

なんで若い頃は神仏参りをしなかったんだろ?
(親がちゃんと私にさせなかったのがそもそも悪いよね)
今では、「裕福になって子どもに贅沢させられますように。私も財産をたくさん持てますように。あと来世のこともお願いしたいな」と思ってちゃんとしっかりお参りに(やっと)行くようになった。(偉い!)

夢物語にばかり夢中になって、ろくに努力してこなかったからこんな人生になってしまった。神仏参りももっとちゃんと若いうちからするんだった・・。(親め・・・)
でもさっさと人生終わるかと思いきや案外長生きしてる。来世が心配だけど。

でも、でも、仏様の夢を見たからもしかしたら来世も安泰かも。うん、きっとそう。


漫然。

THE漫然人生。

誰の人生だろうか。
私?
いやいや、菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の人生である。

これが読み継がれるワケ!

江國香織に現代語訳させるワケ!

平安時代の漫然ライフエッセイ。

こんなに大っぴらに話す女、いますか。

旦那や子供のことより夢の話をツラツラと書く、本当に夢物語の中に生きたんだろう。

私みたい。

本当に面白く、あっという間に読んでしまった。
江國香織さんの瑞々しい訳。

なんでこんなに面白いぼんやり日記が今も生きてるのか。

理想と現実。
こんなに悲しくなるほど「理想通りにはいかなかったわ。なんでだろ?努力が足りなかったのかな。」と振り返る自叙伝。

夢も、
「イケメンに好かれたい」

「裕福になりたい」

「子どもを一人前に育てないと」
と現実味を帯びていくのが何とも言えない。

かつての職場仲間ともたまに会い、
「あの頃懐かしいな〜〜まあいろいろあったけどさ」
「何よ、私はまだ働いてんのよ」
と言った歌を贈り合う。

いつの時代も変わらないよね。

そう、「いつの時代も同じような人間がいたんだな」というのが、古典の面白さ。

時代を超えて共鳴し合う女の浪漫。

きっとキラキラ系キャリアーウーマン清少納言には分からないでしょうよ。

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