源氏物語「少女」の巻は別冊マーガレットの世界だった
私は小学5年生くらいから社会人ギリギリまで別冊マーガレットを読んで育った。
全ての恋愛は別冊マーガレットの連載に置き換えられた。
ささやかなドキドキ、すれ違い、好きなのに素直になれなくて何故か友達の恋を応援してしまう。
彼の好きな人は私の親友でしたーーーー
たくさんの恋を紙面の中で経験しながら、私は別冊マーガレットの女の子たちと共に成長した。
そして今36歳。
あの頃、一人ベッドに寝っ転がりながら感じた胸キュンを、まさかこの年齢で感じようとは。
そう、源氏物語の待ちに待った第3巻を手に入れた。
待ってたよーー!!河出書房!!!
やっときた!!
やっときた!!
澪標〜玉鬘まで。
今までの若かりし光る君がたくさん撒いてきた伏線を回収し、次の章へと移るような一巻。
今回印象に残った回を感想と共に残したい。
絵合
偉い大人たちが、夜な夜な「どちらの絵が素晴らしいか?」を競い合う巻。
なんと夜が明けるまでやってるのである。
意味が分からないが、当時の人たちはよく夜通し遊んでる。
光る君が推す梅壺の女御
VS
頭中将が推す弘徽殿の女御
どちらが帝の后としてふさわしいか、絵で比べましょうよ、という回。
ここでは今まで良きライバルであり親友であり義理の兄弟(頭中将は光る君の妻・葵の上のお兄さん)だった光る君と頭中将が、政治的ライバルとなる。
この感覚がちょっとよく分からない。
二人で夜明けまで笑い合っていた青春時代に戻ってくれ、おじさんたち。
薄雲
光る君最愛の人・藤壺がこの世を去ってしまう。
そこでなんということ、僧が帝に「あなた、実は、院と藤壺の子ではなく、光る君との間にできた子ですよ」という真実を打ち明けてしまうのだ。
バカ!
ばかばか!
腹違いの兄だと思ってた光る君が・・父親ーーー!?!?
それにしても藤壺37歳の時のこと。
同い年やないかい。
最近同期と「来年でやっと厄年終わるー」と盛り上がってた私、タイムリー。
朝顔
この回の主人公、朝顔。
はて・・夕顔は知ってるけど、朝顔なんてどこで出てきた・・?
一生懸命遡って調べること1時間・・
大昔に女房たちの間での「どうやら光る君、朝顔と共に手紙送ったらしいわよ」という噂話に登場してたこの女がそうらしい。
その後もときどきチラッと出てくるが、ちゃんと出たことはなく15年近く経ってのご登場。
THEつれないオンナ。
今まで全然つれなかったから登場も控えめだったのだ。
しかもこの朝顔の回、源内侍(光る君17歳くらいの時にめちゃくちゃ色目使ってきたオバさん)が登場してくる・・!!!
まだ生きてた!!!
この婆さんに対して光る君といえば
「この浅はかな女が長生きして、あの素晴らしい愛しの藤壺が37歳で死ぬなんて・・・」
とまあまあ心ないことを思う。
しかし一方で、
「昨日、今日と思ってるうちに三十年も昔のこととなってしまうのが人生だ・・・この世は無常なのに、なかなか捨てることもできない」
とかなり的を得た人生観を見せる。
そうなんだよなあ、「明日やろうは馬鹿野郎」、今日やることは今日やらないとあっという間に人生なんて終わるものなんだよね・・
って紫式部は人生何週目なんだ?
少女
きました、少女。
これタイトルにある通り、別冊マーガレットもびっくりな切ない胸キュン回なのですが、その前に「あーあー、だから源氏物語は面白いんだよ」という点について書きたい。
それは「お見合いおばさん」。
前の朝顔の回から続いて、冒頭のみ朝顔登場。
「光源氏いいと思うけどなあ〜〜(イケメンだし貴族だし優しいし)前世からきっと結ばれた相手なのよ」と光る君を勧めてくるおばさんに対して「うるせえ、いつの時代の話だよ」とイライラする朝顔。
さらには物語の中核。
いとこ同士の夕霧(光る君の息子)×雲居の雁(頭中将の娘)の交際を知って、「けしからん!!!よりによって夕霧だなんて、あんな男に大事な娘はやらん!!!母さんもこのこと知ってて放任してたんだろ!!!」とキレまくる頭中将パパ。
それに対して大宮(いとこたちのばあば、頭中将パパのママ)は「別にいいじゃないの、夕霧だって真面目で優しくて頭もいいし何と言ってもかわいいんだから。大学出たら立派に出世するわよ」と息子の頭中将を悟す。
ばあば、夕霧坊ちゃんが可愛くて可愛くて仕方ない様子。
という風に、おばさんたちの恋愛観、お見合いおばさん観が垣間見えて面白い。
イケメンだし、優しいし、立場もしっかりしてるし、いいと思うけどなあ〜〜〜と意見を挟むのはいつの時代も変わらないのだ。
一方で当事者たち。夕霧と雲居の雁。
いとこ同士、つまりは幼馴染たちの、淡く始まりかけていた交際が、親にバレたことによって儚く消えようとしていた。
彼女(雲居の雁)の方は「ああーーーパパにバレちゃった恥ずかしいどうしよう」と恥ずかしさでいっぱい。まだまだ14歳。中2の恋。
ある日、女房たちが気を利かせて(お見合いおばさん精神がここでも溢れている)禁断の二人を逢わせてあげるのだが、ここが私イチ胸キュンシーンなのだ。
いつパパが帰ってくるか分からない中で、同じ部屋に二人きり。
彼「君のお父さんにバレてしまって諦めようかなって何度も思ったんだけど、そんなことできるわけがないんだよな。なんで今までたくさん逢えたはずなのに、もっと逢おうとしなかったんだろう。」
彼女「私も、そうだよーーーー」
彼「こんな俺でも好きでいてくれるの?」
彼女、コクン・・・
さっと光が灯り、頭中将パパお帰りの合図。
彼女、これ以上パパにバレるなんてどうなることやらーーと不安になりその場を立ち去る。
(完全超訳)
夕霧ーーーーー!!!!!
絶対光る君より夕霧の方が実直真面目でいいだろーー!!!
大宮ばあばの育て方がいいんだって!!
(夕霧も雲居の雁もおばあちゃんっ子)
玉鬘
ここにきて、かつて頭中将と光る君が愛した女、故・夕顔が登場する。
主役は夕顔の娘、玉鬘。
お母さんと離れ離れになって九州を転々としていたところ、でっぷりとした田舎者の男に言い寄られ、逃げるように京都へ向かった。
そこでかつて夕顔母さんについていた右近(今は光る君が面倒を見るつもりで紫の上についている)と偶然出逢う。
運命の再会。
「生きてたんだね!?そうだ、私と同じように光る君のところに来ればいいよ!!!面倒見てもらえるよ!」(数ページに渡る物語をかなり簡略化)
と、光る君邸宅へ玉鬘姫を引っ張り寄せる。
さあさあさあ、どうなることやら、、、
と、ここで第3巻終了。
続きがたのしみ
河出書房さん、第4巻発売、2月6日ですって?
これから何をしたらいいんだよ!!!
とりあえず本読んでその時を待ちます。
あと「光る君へ」観ながらーーー
首を長ーーくしてお待ちしてます!!
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