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【大月書店通信】第160号(2022/5/31)

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子どもの頃、「将来は学校の先生になりたい」と思っていた人は多いはず。ところが近年、「教員不足」が深刻になっています。

その原因はひとえに、教師という仕事から魅力を奪い去ってきた教育政策にあるでしょう。元・文部科学事務次官の前川喜平さんは、新刊『日本の教育、どうしてこうなった?』の中で、こう語っています。

教職って本来は、ものすごく魅力のある仕事だと思いますよ。……そもそも教職の魅力を失わせてしまっている阻害要因を取り除けば、自ずと魅力は伝わっていくはずなんです。
何が阻害要因なのかといったら、学校に自由がないこと。もっと学校に自由を取り戻すことが大事だと思います。

なぜ日本の学校・教育は、こんなに閉塞感に満ちた場になってしまったのか。教育研究者の児美川孝一郎さんとともに探る本書を、ぜひお読みください。

【新刊案内】

5月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。

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●教育問題のルーツを探る、研究者と元・文部官僚の対話
日本の教育、どうしてこうなった?――総点検・閉塞30年の教育政策
児美川孝一郎・前川喜平[著] 1,760円(税込)

長時間労働に疲れ果てる教師たち。評価や点数競争がはびこり、画一化が進む学校現場。日本の学校・教育は、なぜこうなってしまったのか? 教育研究者と元・文部官僚の対話から、その歴史的経緯を探り、教育の未来を展望する。

☆『現代ビジネス』で一部公開中!

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●日本が学ぶべき民主主義のかたち
台湾がめざす民主主義――強権中国への対立軸
石田耕一郎[著] 1,980円(税込)

コロナ感染症への迅速な対策、「台湾有事」回避への柔軟な姿勢。台湾の透明な行政と市民参加、多様性はいかに形成されたのか。オードリー・タン氏の歩みと重ね、台湾の民主主義の姿を中国・香港との緊張関係とともに描く。

試し読みできます

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●関東・中部にはどんな郷土玩具があるかな?
47都道府県の郷土玩具 2 関東地方・中部地方
日本玩具博物館・井上重義[監修] 斉藤道子・砂野加代子[編・文]
3,300円(税込)

幕府が置かれた江戸を中心に発展した関東地方では、アイデアが光る玩具が生まれました。太平洋側の東海地方、豪雪地帯の北陸地方、日本アルプスの山々が連なる中央高地。風土が際立つ中部地方には、個性豊かな玩具があります。

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●特集=教育DXと子どもの学び
月刊 クレスコ6月号 no.255 550円(税込)

学校現場に押し寄せるデジタル化の波は、教育をどのように変え、子どもたちの学びにどんな影響をもたらすのか。現場の実態をもとに問い直し、子どもの豊かな成長・発達のためにいま求められていることを考える。

【イベント】

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★ 性のこと、子どもにどう話したらいい? ★
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シリーズ『人間と性の絵本』(全5巻)の刊行記念イベントです。

子どもに性教育をしたいと思っても、不安や悩みに負けてしまいそうですよね。よくある悩みや、参加者の疑問に答えていきます。

日時:7月3日(日)13:30~15:30 オンライン
参加費:1,000円
 ☆参加者特典! 5巻セットつき参加:11,000円
出演者:
 染矢明日香(NPO法人ピルコン理事長)
 浅井春夫(“人間と性”教育研究協議会代表幹事)
 水野哲夫(『季刊セクシュアリティ』編集長)
 艮 香織(宇都宮大学教員)

☆申込方法は、後日、小社ウェブサイトやSNSでお知らせします。

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★ 日本社会とわたしのモヤモヤを考える ★
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徐京植さんが中学生にわかるように語った本、『在日朝鮮人ってどんなひ
と?
』(平凡社)刊行10年の記念イベントです。

ベストセラーとなった小社刊『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』(一橋大学社会学部加藤圭木ゼミナール編)の執筆者と徐さんが語り合います。

【話題の本】

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★ 『ハッシュタグだけじゃ始まらない』書評続々 ★
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3月に刊行した『ハッシュタグだけじゃ始まらない――東アジアのフェミニズム・ムーブメント』(熱田敬子ほか編)。大手紙に続々と書評が出ました。

「自分には何もできないかもしれない」と思う読者に、動き出すためのエネルギーを本書は届ける。ハッシュタグの一歩先に行くために。

未読の方はこの機会にどうぞ!

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★ 『見過ごされた貧困世帯の「ひきこもり」』書評 ★
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1月に刊行した『見過ごされた貧困世帯の「ひきこもり」――若者支援を問いなおす』(原未来 著)。中西新太郎さんによる書評が出ています。

☆『しんぶん赤旗』5月29日付(評者:中西新太郎さん)

著者の言う低階層孤立者の若者は、困難な状態にあるのに、「苦しいから助けて」と訴えない。……では、どのような支援がそうした若者たちに届くのか。支援現場での5年あまりの濃密な経験を手がかりに、著者はこの問いに答えている。

教育、福祉、労働、若者支援など、幅広い分野に関わる労作です。お手に取ってみてください。

【編集後記】

青年劇場の舞台「眞理の勇氣――戸坂潤と唯物論研究会」を見てきました。戸坂潤がよく言っていたという「唯物論者は朗らかでなくっちゃ」の精神は大事にしたいですね。当時より今はずっと自由なはずなのに、政治運動が陰気な堅物のものになりがちなのは、なぜなんでしょう。もったいないことです。(Q)


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