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美味しくないフルーツの加工法

美味しくないフルーツ

「美味しくないフルーツ」というと、フルーツに対して非常に失礼ですが、

これは、
「本来美味しいもの」、「いま以上の美味しさが本来存在するもの」が、
未成熟であるなどの理由から、
そこまで達していない、といった意味です。

フルーツの美味しさとは、
・味
・組織(水分量・食感)
・香り
・甘み

などに分解できると想います。


美味しさを「補う」

香り、甘みについては「補う」というアプローチが可能です。

香りが足りなければ香りの付与。
糖度が足りなければ、糖の添加。

といった具合です。

例えばコンポート。

表皮などの香りと、
糖度をもったコンポート液に漬ける事で、
香りの付与と糖の添加が同時に達成できます。


味の濃縮


味については「濃縮」というアプローチが可能です。

薄くて水っぽい、濃度が足りない場合、

例えばコンフィチュールや、シロップといった加工が可能です。
水分量が減り、味が凝縮することで味の濃度を確保する方法です。



応用


これらを駆使し、僕がアシェットデセールなどで味を組み立てる際によく行う方法です。

例えば、味の濃縮を行いたいのでコンフィチュールにする、
ただ、組織(食感)は表現したい、といった場合。

しっかりと濃縮したフルーツの上に、
フレッシュなどの組織(食感)の残ったフルーツを重ねるなどです。

その2つのバランスが取れていれば、
味の濃度も組織(食感)も、両方確保できるわけです。


瑞々しい水分量を表現したければ、ジュレやスープ、ソースなど、

香りには種類があるので、
重たい香りのフルーツには飛ぶような軽い香りを添加し、
より3Dに、立体的に味の愉しみを増幅させることが可能です。


「何を」「どう」表現したいか、
ということが明確であれば基本的なロジックから、無限に方法論が広がります。


突飛な方法

以前にとある柑橘のあの果肉のプチプチとした食感を、
全く違うアプローチで表現できないか、
と模索したことがありました。


柑橘のあの瑞々しい粒々の食感、、、。

性質の違うゲル化剤を2種用意し、
硬いゲル化剤組織の中に、性質の違う軟らかいゲル化剤組織を細かく分散させました。

簡単にいうと、硬いゼリーの中に、
そのゼリーとは性質の違う軟らかいゼリーが無数に点在しているイメージです。

本来そのフルーツが持っている個性を全く違う方法で
誇張させることで、新たな発見があります。


人間のイマジネーションが存在する限り、可能性は無限大です。





フルーツの使い方について、
こちらも合わせてご覧頂けますと幸いです。


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