見出し画像

ケーキ屋さんはクリスマスケーキを販売するべきか

ケーキ屋さんはクリスマスケーキを販売するべきか

「ケーキ屋なんだからあたりまえだろ!」
と言われてしまいそうです。

その通りです。


もちろん、
効率よく前向きに取り組めばいいだけで、
ただ、
それだけだと面白くないので、
それを前提に、
全く違う角度から考えてみたいと思います。



ケーキ屋さんがクリスマスケーキを販売するメリット


それではそれのメリットを洗ってみたいです。


①売り上げが立つ

大きな需要があるイベントなので、通常月より売り上げ増が見込める。


➁お客様とのコミュニケーション

これは新規顧客の獲得も含む。
今年の新作のクリスマスケーキです、という発表がすでにイベントですし、
それをきっかけにして新規顧客の獲得も見込めます。
百貨店等のカタログに載ってもしかりです。

また、既存のお客様に対してもコミュニケーションとパイプをより深いものにするきっかけになります。


良いことしかありません


※他にあればコメント欄にてご教授頂けますと幸いです



売り上げの一例

これはお店の規模やスタイルによって千差万別ですが、
ほんの一例として自分の経験だと、
月間売り上げ平均450万円の大きなお店で、
クリスマスケーキの売り上げが約200万円でした。

なので、12月だけは650万円になるイメージです。


そりゃやるべきでしょう!



代償

代償、それはスタッフが大変、という事です。

どのくらい大変なのか、
先ほどの「売り上げ」の項を元に考えてみましょう。


月間売り上げ平均450万円のお店を例に、
12月はクリスマスケーキの売り上げがプラスされ売り上げ650万円でした、
という事は、平常月より1.44倍の売り上げが立ったという事です。

さて、
ケーキ屋さんでスタッフが8時間で働いているお店なんてほんの一握りでしょう。
まあ、甘めではありますが、
一日10時間労働と仮に設定しましょう。

12月は売り上げ対に比例して算出すると、
綺麗に日割りにして1日14.4時間労働です。

ただ、実際は局地的に集中します。

いや、ムースアントルメは事前にストックして!
ジェノワーズはストックして!

などありますが、
クリスマスケーキの売れ筋は常でいけば、
デコケーキ。

これが仮にクリスマスケーキ売り上げの70%だとすれば、
クリスマスケーキ売り上げの200万円の70%で140万円。
残りの30%のムースケーキは他の月に既にため込みをしておく設定。

平常月との差が
590万円(平常月売り上げ+デコケーキ)÷450万円(平常月売り上げ)=1.31倍
12月の労働は1日平均13.1時間労働。
ただ、デコケーキだけはクリスマス付近で局地的に行うので、
12/14~12/25の12日間で生産すると考えた場合、
その期間は1日18時間労働の計算になります。


クリスマスケーキを販売しないとして、それがメリットを生むと考えられるパターン

小見出しが長くなりました。
クリスマスケーキを販売しないことで良いことは?

現時点では多くのお店が当たり前に販売しているので、
ただ販売しないではなく、
「販売しない!」と宣言するパターン。

他と違うことをしてそれをアピールする事は大きなエネルギーを生むことですので、
そこに理念が乗っていればお店の価値観をアピールしブランディングできる機会になるかもしれません。


※ブラックフライデーに自身のブランドを買うな、
とプロモーションしたパタゴニアの成功例。



後は、そもそもブランド力があって、
「販売しない」と言わずに当たり前に販売しないパターン。

あれこれせずに、
ドンと座っていてブランディングが成立している場合は、
文字通り、
あれこれしない方が、ブランドの絶対感を演出できます。



クリスマスケーキを販売しないで困る人はいるのか

うちのお客様が求めてる!


そう思いたいですが、
世の中には立派なクリスマスケーキが山ほどあります。

販売しないことが建設的な理由で、
よりお店が良くなるのであればファンはより強固なファンになるきっかけにもなるかもしれません。



売り上げの立て方

「じゃあ、売り上げが落ちる分はどうするんだ!」

といった場合に、
一つの考え方としてのアイディアです。


先ほどのお店を例にします。
月間平均450万円のお店で12月が600万円であれば、
年間売り上げは5600万円です。

もし、クリスマスケーキを販売しなければ
年間売り上げは5400万円。

販売すれば年間売り上げが1.037倍になる計算です。

3.7%増です。


クリスマスケーキを販売しない代わりに、
その労働対価を年間売り上げ

10%増にする取り組みに使うという企画を掲げるのはいかがでしょう。


仮に先ほどの例でスタッフの時給換算が1500円だった場合、
時間に直すと、
200万円÷1500円=1333時間です。

1333時間の労働で200万円の売り上げは立てられるけど、
1333時間の労働がなければ200万円の売り上げは立たない。

要は「労働」です。

これを「投資」に変換し、
1333時間を使って、
ずっと年間540万円増になる施策を打つ事に使うわけです。


もしそれが成功した場合をもって10年で計算してみましょう。

クリスマスケーキを販売した場合、
10年で2000万円売り上げ増→時間投資13330時間

クリスマスケーキを販売せずに10%の売り上げ増に成功した場合
10年で5400万円売り上げ増→時間投資1333時間


生菓子であるクリスマスケーキより断然、
原価率の良い焼き菓子のお土産菓子や、売れ筋商品を、
例えばOEMで成立させる、など。

アイディア次第かもしれません。

1年で成功しないかもしれません。
5年かかったとしても綺麗に回収できます。


OEM工場でもそれぞれ得意分野があるので、
こちら発信でこんなのやりたい、あんなのやりたい、だと、
僕の経験上、結果先方にも無理をさせ、
原価率が見込めない場合があります。

それぞれの工場の得意分野を爆発的に引き延ばせる施策が存在する可能性はゼロではありません。

東京バナナを作っている工場は東京バナナのような形態の商品が圧倒的に得意です。
その工場が、パイ菓子の商品を作りたい、と言われても非効率なわけです。
(また記事にする機会があればしますが、東京バナナはマスダックというメーカーが請け負っており、取引があったため、昔見学に行きました)


さらにそれをスタッフに還元します。
売り上げ5%を還元して27万円。
関わったスタッフが5人居たとしてして1人頭5万4千円のプラス。
売上が続き、退職しない限りその5%はずっともらえます。
退職すればその関係が終わる契約を先にしておきます。
離職率の改善にも繋がるかもしれません。

具体的なモチベーション指標ですし、
この形ができれば更なる展開もあり得るかもしれません。



クリスマスと関係ないんじゃない?
と言われそうです。

その通りです。

ただ、結局人間。
具体的な指標がないとエネルギーを生みにくい性質があります。


具体的な数字やコンセプトをクリスマスケーキをもって一致団結する機会としてイベント化させよう、的アイディアの妄想です。



怒られる

さて、そろそろ、好き勝手言ってんじゃねえ!
そんな甘くねえ!
と怒られそうです。

三言、言わせてください。


すみません!
ごめんなさい!
反省します!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?