1995年1月17日に起こった阪神大震災であまり知られてないことがある。
① 女性の死亡者数が多かった、特に高齢女性が多かった。
その原因のひとつは、単身高齢女性が家賃の安い建築基準法改正前の住宅に多く住んでいたからと言われている。
② 避難所等での性被害について、約10年被害実態が知られなかった。(後述)
①の女性の死亡者数から見ていこう。
阪神大震災の死亡者数について
兵庫県の調査ホームページより
死者数:6,402人(男性 2,713人、女性 3,680人、不明 9人)
(注)不明9人は、神戸市において被災した身元不明者である。
図にするとこのようになる。
女性が57.5%を占めている。
死亡時年齢を見てみると、高齢女性が多くなっている。
1981年に建築基準法が改正され耐震基準が強化された。阪神大震災で家が倒壊し死亡したのは、この1981年の建築基準法改正前に建てられた木造住宅に住んでいた方々が多い。家賃の安いこれらの木造住宅に多く住んでいたのは、低年金の高齢女性だった。
震災という災害時に、平時のジェンダーの差が、大きく広がってあらわれることが阪神大震災でも起こっていた。
こういったことにいち早く気づき、発信したのが、ウィメンズネット・こうべの正井礼子さんだ。
1995年12月「女たちが語る阪神・淡路大震災」を出版
以下、女たちが語る阪神大震災から引用
② 避難所等での性被害について、約10年被害実態が知られなかった
正井礼子さんが3年前に反差別国際運動(IMDAR)に、「災害と女性の人権」 ~阪神淡路大震災から25年を経て を寄稿した。
2004年、大阪府議会議員だった私は、災害と女性の支援策を大阪府もするべきだと考え、正井さんに会いにいった。
1995年に起こった阪神大震災においての女性たちの被害を訴えた正井さんが口を封じられ、そして誰も議会で取り上げようともしなかった。
2005年には、正井さんたちと「防災フォーラム 災害と女性 ~防災と復興に女性の参画を~」と題して、シンポジウムも行った。
当時、頑張っている被災地、復興している被災地のニュースは発信されても、その陰でDVや性被害にあった女性たちの声は黙殺されてしまったことを今こそ知ってほしい。
日本は災害大国であり、その支援の際に、ジェンダーの視点は必ず必要になる。
大沢真理先生に教えてもらったのだが、自治体の防災計画と女性委員比率も重要だ。女性委員が一定の割合でいる場合の備蓄品、避難所運営準備に差があったと西日本新聞が調査結果を報道している。
阪神大震災の時、私は神戸の実家におり、ちょうど成人式を迎えた翌々日だった。あれから28年。「災害とジェンダー」の取り組みはまだまだ必要だ。