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【外伝】焼肉ヤクザ誕生の秘話

#戦後のヤミ市から続く店
#日本で一番歴史の古い焼肉ホルモン屋の一つ
#トラジそれは厳しい岸壁に咲く花の名前 (日本でいう桔梗の花)

初代は戦前、今の外国人留学生みたいに日本に留学。

言葉もロクに喋れずに何度も挫折して故郷に帰りたくても帰れず泣いたらしい。
#今の外国人達は余裕で帰れるけど 🤣

そんな時、思い出すのが厳しい岸壁に強く咲く『トラジ』であったことから、その花のようにこの国で強く生きるとか、自分と同じように悲劇に苦しむ人が寂しくなく、ここに来れば楽しく家族のように温かく過ごせるお店にしたくて店名にしたらしい。

初代の女将さんは屠殺場で牛や豚の解体をして、そのお駄賃でホルモンをもらっていた。

それを上野のヤミ市で七輪に火を起こして売ったり、煮込んでスープ(ホルモンスープ)にして売り始めたのが『とらじ亭』の始まり。

女性でその仕事をすることの辛さを想像するのは容易だが、その強い女性の姿に魅せられた屠殺場の男達から『トラジ』というあだ名で親しまれたそう。
※とらじ亭が女性を大切にする起源かも😊

程なくして、僕の祖父がとらじ亭にアルバイトで入店。

国籍を問わず、積極的にアメ横の人達と交流を持つ人柄に人気が出て、最盛期はランチだけでホルモンスープが300杯、カルビが一人前300円(現在価格の三分の一以下)の時代に一日30万円を超える売上があり、その行列は御徒町駅まで続いたとか。

故郷の済州島に1人娘と残っていた祖母は
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/済州島四・三事件

の時に娘を連れて狭い船室に押し込まれる形で、ヤミの船に乗り、途中沈没して親子共々死ぬかもしれない覚悟で命からがら日本に亡命。
※迫害を受けたらしい
※日本でいう沖縄的な感覚?

その頃、祖父は日本人女性と結婚して一男もうけていたが、一人娘を連れた祖母と再開、その日本女性は子供を連れて蒸発してしまう。

祖父は大変悲しんだそうだが、自分の男としての不甲斐なさを痛感して、早朝から深夜まで働いたそうで、トラジの金さんと親しまれ歌まで出来た。
お客様が深夜まで飲みながら合唱してたことから、隣のスナックのおばさんは大層迷惑だったらしい笑(上野本店の隣のスナックも戦後から続いてるよ)

上野で本物の焼肉ホルモン料理が唯一食べれるお店として不動の地位を獲得したが(上野でとらじを知らぬものはモグリと呼ばれたらしい)暴飲暴食で働き詰めだった祖父は59歳で急死(上野本店と目と鼻の先にある玩具屋さんの角の十字路のところ)※大家さんの話では。

当時、大学生だったか、卒業してたか知らんけど、先代の親父が呼び戻され事業継承。
祖父の残した遺産相続で一家は壊滅的な悲劇を経験する(toragity)🤣
※この時家族仲良く遺産が残ってれば今の焼肉チェーン店なんか目じゃなかったかも笑
※この時、初代の親族がとらじ亭の権利を主張し、又貸し契約が発生(家賃を二重に払うこと)

とらじ亭上野本店以外全ての遺産を無くした先代父は一からガムシャラに働くが、家庭を顧みずに働く祖父母のおかげで、家庭内が不和になった苦い経験があることから、年中無休体制を取りやめ日祝休みにして、営業時間も昼12時から22時までに変更。

祖母は大反対したが、バブル景気があったので、家族が週末寿司食えるくらいは売上があったらしい。

POSレジが日本のスーパーに導入される。
マクドナルドをはじめとした格安飲食チェーン店乱立、そしてバブル崩壊、消費税導入、遺産相続した親族達が破産。

そんな悲劇の中でも、とらじ亭はそこそこ売上を出していたことから、先代父は親族の借金の連帯保証人を引き受けたり、働けない兄妹の生活を引き受ける。

先代の家庭崩壊、先代は料理や調理人消極的だったため、時代のニーズに取り残された(焼肉屋は包丁が使えない人は無理)とらじ亭の売上は年々減少し、その後も格安チェーン店での食中毒、レバ刺し、ユッケ事件、リーマンショック、大震災など、今回のコロナみたいな外的要因を乗り越えたものの、8年前に僕がとらじ亭に来た時は、時代に取り残された『昭和のお店』でしかなかった。

37年勤めた学校の先代父の学校の後輩の料理長は給料の少なさが原因(その時、月給で15万くらいだったそう)かと思える不祥事の数々で、先代とケンカになり辞めてしまった。

いよいよ追い込まれた先代を助けるために、ママが必死にサポートするものの、売上は壊滅的。

焼肉ヤクザ誕生。

『家族以外変えられるものは全部変える』

ヤミ市からの挑戦をテーマに、初代と二代目の生業、三代目に家業となった店を『事業』に変える決断をする。

#包丁で指を切りまくりながらも必死で肉切りに挑戦
#暇があったらネットを使って焼肉の情報収集
#手が空いたら店中ピカピカに
#上野の商店街全部掃除
#すれ違う人全員笑顔で挨拶
#年中無休
#朝から晩までぶっとうし営業
#祖母のレシピを全うする

初代からの系譜、店の歴史に敬意を払って事業化しても『本物の焼肉ホルモン料理』を提供し続けるために必死で勉強して、自分で調べても分からないことは頭を下げて人に聞いたり、他の店の経営者に学びに行ったりして、とにかく仕入れと料理、経営に妥協しないと決め実行し続けた。

#又貸しの契約破棄に成功
#グルメサイトなんか使わなくても毎日余裕で満席フル回転

2年後、年商1,500万程度にまで減少していたお店が年商5,000万を超える店になり、会計帳簿を正しくした事から年収1,500万〜2,000万くらいになる。

焼肉ヤクザの働き方
#仕事は 『妥協のない個人的なサービス』を繰り返し『最高の顧客体験を実現する事だ』
#仕事こそ私事 (ブラック企業誕生のお知らせ)
#数字お金の事をちゃんと管理できない人は実現不可能

このまま家業で在れば、離婚する必要もなかったかもしれない。
このまま家業で在れば、先代夫婦や祖母をもっと楽させてやれたかもしれない。

しかし、歴史は繰り返すことを知っていた焼肉ヤクザは私財を投げ打って家業を法人化(会社にした)

2016年株式会社Zowie設立
#社名は関わる人全てに大きな喜びを (社員、取引先、お客様)
飲食事業
焼肉・ホルモン料理とらじ亭
#最高の焼肉ホルモン料理を提供する店
#妥協のない個人的なサービスをお客様にする店
#社員が自分らしく働ける店
#取引先が最高の材料を売りたい店
#お客様が他人に教えたくないほど楽しい店

焼肉ヤクザはこんなとらじ亭を日本全国の、戦後のヤミ市から復興した街に出店したい。

そして、今日も焼肉ヤクザはその店『とらじ亭』が自分の人生を豊かにする自己実現と、孫の世のために挑戦し続ける他の誰かの『トラジの花』と成る事を願ってやまないのだった。


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