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【読書感想】戦国期の大名の妻は、現在で言う外交官だったと永井路子氏に諭される話。

今、「流星〜お市の方〜下」(永井路子著)を読んでいる。その中で面白いと思った事柄を紹介したい。

舞台は戦国。信長の快進撃により朝倉義景が自刃。浅井長政の妻であるお市の視点。お市は信長の妹である。
浅井長政は織田家と敵対している。しかし頼みの綱の武田信玄が病死し、同盟を組む朝倉義景が自刃したことにより、浅井家は風前の灯火である。

私は、こうなってしまえばお市も自決するしかあるまい、と考えていた。しかしその視点は間違った視点だと、著者の永井路子さんに本文にて諭されてしまった。

どうやら、長政とお市のように政略結婚という形で嫁いだ女性は、夫に殉じて死なねばならないという常識は後世の間違った捉え方らしい。戦国当時は旦那と嫁の実家が決定的に対立したとき、嫁は実家に戻ることが一般的だったようだ。むしろ敵対してもなお、その嫁を敵対した実家へ帰すことが礼儀であり作法だったそうだ。
そもそも戦国期に他家の大名に嫁に行く女性は、一種の外交官的な役割を担っていたらしい。実家と嫁ぎ先の重要なパイプ役だったそう。なので嫁側の実家と対立した際も、嫁を殺すなどもってのほかだったとか。

本作に書かれている実際の例をあげる。信長臣下の明智光秀の娘であるお玉は、細川忠興に嫁いでいた。しかし光秀反乱後、忠興はただちにお玉を実家へ送り帰している。あの大反逆を犯した光秀の娘でさえ生かして返されるのである。これからわかる通り、旦那が嫁の実家と敵対したからという理由で自刃をしたり、殺されたりすることは無かったそうだ。

確かに当主の奥方が自刃するという潔さは、ドラマ的儚さを感じる。時代劇での感動をさそうだろう。しかし、実際はそうではなかったのだ。当主の奥方は実家と心中しなければならないというイメージは、後世につくられた脚色だったらしい。私はそんなドラマを事実と刷り込まれていたみたいだ。
いやはや勉強になった。

これを現代に置き換えると、「滋賀県の名物品サラダパンには、実際にはサラダは入っておらず、沢庵とからしマヨネーズが和えられたものが入っているだけ」という衝撃に置き換わる。浅井長政は近江辺りの大名だったので、同じ滋賀県ネタで置換してみた。ちなみにサラダパンはとても美味しい。滋賀の大津や草津辺りに寄られれば見つけることが出来る。ご購入された際は、是非長政とお市に思いを馳せながらサラダパンを楽しんで欲しい。

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