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【旅の記録 #26】380度の星空を見た(沖縄竹富島)

24歳のとき、初めて1人旅をしたいと思った。

新卒で入った会社を辞めて、ぼんやりと過ごしていた当時、

わたしは、社会人生活に少し疲れてしまっていた。周りの人みたいにできない自分にめそめそして、社会に適応できなかったことで、自信をなくしていた。

そんな自信消失の中、漠然と〝強くなりたい〟という気持ちになって、

1人旅したら、もしかしたら強くなれるんじゃないかなって、なんの根拠もない考えが浮かんで、1人で沖縄に行ってみることにした。

選んだ行き先は、離島の『竹富島』だった。


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旅の記録 episode.26

沖縄 編


2008年の10月。

わたしは、生まれて初めて1人で飛行機に乗ることになった。これより前に飛行機に乗ったのは、高校の修学旅行のとき。だから、飛行機のチケットを取ることすら初めての経験で、空港でのチェックインが心配すぎて、何時間も前に空港へ行った。

関西空港から、まずは那覇空港へ。そして飛行機を乗り換えて、今度は那覇空港から石垣空港へ。次は船に乗り変えて、竹富島に降り立った。

初めての1人旅にしては、乗り換えが多い長旅になった。10月なので、大阪を出発したときは長袖だったけど、沖縄はまだまだ暑くて、すぐに半袖になった。

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ガイドブックには、

小さい島なので、日帰りでも十分回れてしまうと書いてあった。けど、私はこの島で2泊することにした。

初めての沖縄。なんとなく、自分には本島よりも離島が合う気がして。初めから離島を選んでいた。そして色んな島を調べる中でいちばん惹かれたのが、竹富島だった。

こじんまりとした島のサイズ感が、当時のわたしにちょうど良かったからかもしれない。


竹富島に着いて最初に感じたのは、


静か。


とにかく、静か。


しーん、としていた。



初日は夕方に着いたので、夕食までの時間に島を少し歩いてみた。

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おーりとーり というのは〝いらっしゃいませ〟という意味らしい。

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おうちの上に、シーサーがたくさんいた。

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島のいたるところに、こんな丸い物体に絵を描いたものが転がっていた。
すごく気になった。


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竹富でのお宿。

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夜ご飯は、民宿に泊まっているお客さんみんなと一緒に食べた。

平日だったので、初日はわたし含めて4人。最初はさぐりさぐりだけど、徐々に打ち解けていく感じがたのしかった。わたしは人見知りなのだけど、旅の時はなぜだか何とかなる。

1人は、インテリアの販売員をしているお姉さん。 1人は、IT企業でサラリーマンをしているお兄さん。

そしてなんと。
もう1人は、竹富島に唯一ある診療所で
1ヶ月間働きに来ていた26歳の研修医の先生。

(リアルDrコトー診療所!!?)


時々お宿の人も交えて、みんなでお話をした。

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夕食の後は、4人で飲みにいくことになった。

お宿に泊まってる人と一緒に飲みに行くのが、密かな憧れだったので、嬉しかった。(とは言え、お酒が強いわけではないのだけど。)

研修医の先生は、もう半月ほど竹富にいるので島の内情に詳しくて。 飲み屋さんもいいとこへ連れていってくれた。

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飲んだ後、先生が星でも見に行こうか?と、夜の竹富島を案内してくれた。

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夜の竹富島は真っ暗で。とてもじゃないけど、1人だと歩けないし、道もどっちがどっちかよく分からなかった。でも、先生は島マスターになりつつあったので、どんな道でもへっちゃらだった。

竹富島には歩き蛍という蛍がいて、10月にも蛍が見れた。


足元を見れば、蛍。
空を見上げれば、星空。


上も下もキラキラな夜だった。

先生が同じ宿に泊まっていてくれて本当に良かった。


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飲み屋さんから少し歩いて、星空スポットに到着した。

西桟橋。 

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蒼井優さん主演の映画にも登場していた、竹富島の有名な橋。 (これは、昼間の写真)


夜は真っ暗だったけど 、ここに4人で寝そべって星空を眺めた。 
流れ星も見れた。
わたしは人生で初めて、流れ星のおびを見た。
それだけ長い時間、星が流れてくれたのだ。


見知らぬ4人が一緒に星空を眺めるなんて、旅ならではだった。

寝そべって星空を眺めていると
空が、丸いことを感じた。
生プラネタリュームだった。

あまりにも丸いので、わたしはうっかり間違えて


「380度の星空って、まさにこのことですね!!」


と言ってしまった。


それを聞いて、みんな一斉に笑ったけど

「でも、その気持ち分かるよ!360度以上あるよね!」

と共感してもらえた。


この瞬間から、
わたしの中で、竹富島の夜空は380度になった。

1日目の夜を終えた。


***


翌朝。

目覚めたら、朝の8時半だった。

、、、あれ?
8時半!!!!!!!!!???

朝ご飯は、7時半だと言われていた。寝坊してしまった。


慌てて、「すいませーーーーん!!」と食堂へ行くと

「あーら、アンタまだ食べてなかったん?
 早く食べちゃいなー」

と、お宿のお母さんに笑いながら言われた。


朝ご飯を食べ終えて、食堂でぼんやりしていると、お母さんが竹富島について色々お話をしてくれた。手作りのサーターアンダギーもいただいたりして 、寝坊してちょっとラッキーな朝になった。


竹富島は、レンタル自転車で島を巡ることができる。

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驚いたことに、竹富島の自転車には鍵が付いていなかった。きっと、誰も盗んだりしないってことの表れなんだな。
平和な島。

朝一番で、「ゆがふ館」という施設へ。 

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ここでは、竹富の町や歴史について勉強ができた。

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そして船に乗り込み、海底を眺めるグラスボートを体験した。

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2日目は、丸1日竹富島にいるので
自転車で島を一周した。

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竹富島には3つの砂浜がある。

①アイヤル浜 

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ここにも、丸いのがいっぱいあった。 

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②カイジ浜 

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ここは、かの有名な「星の砂」が取れる浜。
でも昔より取れなくなったそう。

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子供の頃に、よくお土産で、小さな瓶に入っているのを貰った記憶がある。もっと大切に取っておけば良かったなあ、と大人になって思う。


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近くでシャッターの音をパシャパシャさせてもびくりともしない。
気持ち良さそうやった。

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③コンドイビーチ

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ここは、唯一泳げる浜。
でも遠浅だから、一番深くてもお腹くらいまでしか深さはない。

とにかく綺麗だった。


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竹富島にもハイカラなカフェがあった。

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琉球ガラスのコップ。

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島の風景は、本当に素敵だった。

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夕方。

西桟橋は夕日がめちゃくちゃ綺麗。

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もうすぐ沈む。夕日タイムは西桟橋が込み合っていた。

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夕日を見たらお宿に帰る。

この日も、一緒に泊まってる人たちと飲みに行った。新しいお姉さんが1人増えた。

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生まれてはじめて、泡盛を飲んだ。(いや、少しぺろっとしたくらい。)まだまだお子様だったので、うぇーってなってしまったけど、沖縄で沖縄のお酒を飲んだことが嬉しい経験になった。


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翌朝、朝5時。

竹富最後の朝なので、朝日を見るべく、がんばって早起きをした。

竹富港まで朝の自転車ドライブ。
朝は涼しくて気持ちが良かった。

昼間の竹富港 と 朝の竹富港 。

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早起きした甲斐あったなあ。

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診療所の先生ともお別れなので
先生が竹富診療所の中を案内してくれた。

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リアルDrコトー診療所。

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竹富島。 

本当に素敵な島だった。

すれ違う人みんなが、

「こんにちは」とか「おはようございます」とか
声を掛け合うのも気持ちが良かった。


2泊して本当に良かった。 
何回も、もう1泊しようかなって葛藤したけど、また来れることを願って。


竹富島は日帰りでも十分回れる、とガイドブックには書いてある。けれど、本当の意味では回れないような気がした。夕日・星空・朝日、
泊まらないと見れない景色がたくさんあった。

あと、地元の人情報だと、竹富で八重山そばを食べる場合 「やらぼ」というお店がオススメらしい。(2008年情報)



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初めてのひとり旅。竹富島以外にも、石垣島で2泊した。

石垣島に着いたのは夜の9時前だった。宿に付いて、ガイドブックを読んでいるうちに夜の11時になっていた。でも、せっかく来たし...というわけで、夜の石垣の町へ飛び出してみた。意外と若者がうろうろしてて、ちょっと怖かった。道がよく分からなくて、道端で地図とにらめっこしていた。

すると、
「ご案内しましょうか?」
と、1人の男の子が話しかけてきた。

最初はびっくりしたけど、せっかくだから案内してもらうことにした。
夜の石垣の町を散歩した。

港へ行った。

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防波堤にはたくさんの絵が描いてあって。

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これは、単なる落書きではなくて
地元の学生さんなんかがちゃんと許可をとって描いているものなんだって。

沖縄の祭り、魚、名物。

1つ1つ意味があって
1つ1つ個性的で

きっとこれはガイドブックには載ってない。

沖縄の言葉を教えてもらったり、次の日の移動に備えて主要な場所も教えてもらったりした。1日目にして、石垣の地図を相当理解できた。

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このときの彼は、元気にしているだろうか。とても親切な男の子だった。


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「730交差点を目印にすれば
どこでも簡単に行けるよ」

昨晩教えてもらったこと。

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これを目印に、石垣の町を歩いてみた。


バスに乗り込み、玉取崎展望台という所へ向かった。

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この階段段を登ると

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絶景が待っていた。

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展望台を後にして、今度は市街地にある みんさー工芸館という所へ。

沖縄は、みんさー織が有名である。みんさー織の模様は、 五つの四角形の柄と四つの四角形の柄が交互に織られていて 「いつ(五つ)の世(四つ)までも末永く」という心が込められている。帯の両脇のムカデの足に似た模様には、 通い婚時代を反映して「足繁くおいでください」 という意が表現されているらしい。

物にはこうした意味があって、1つ1つ知っていくとおもしろい。 この素敵な由来を知ってみんさー織が気に入った。

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商店街あやぱにもーる。

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お土産は、ここで何でも揃うらしい。

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またバスに乗って、次は川平というところで降りたった。しかしそこで、お手洗いに行きたくなってしまった。でも近くに見当たらなくて、通りががりの親子連れに

「この辺にお手洗いはありますか?」と、尋ねたら
「この辺はないかもね・・・。良かったらうち来ますか?」って言ってもらった。

石垣が平和なことの表れだなあと感じながら、おうちにお邪魔した。 挙句の果てには、ももちゃんという女の子が 「良かったらおうち泊まっていってよ~」と言ってくれた。そしたらお母さんも 「ご迷惑でなければ本当に泊まって行って下さい。」って。

嬉しさを通り越して、驚きまくってしまった。さすがに申し訳なかったので泊まりはしなかったけど、写真を送ってあげるね、と言って住所を教えてもらった。

「もう、帰っちゃうの~?」 と、ももちゃんの残念そうなお見送りを受けて 、「また来るなあ」 と、たった10分の出会いにしんみりとしたお別れをした。

きっと、本当にすごく安全な町なんだということが伝わってきた。


沖縄の一人旅。

たくさんの人に出会った。

たくさんの人と話した。

初めて会うのに、みんな優しくて。

ひとりで来たのに、人と話さなかった日がなかった。

人の温かさを、たくさんたくさん感じた旅だった。


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強くなりたくて1人旅をしようと思い、旅をやり遂げた。1人で飛行機に乗った、1人で島を巡った。そんな、単純で小さな結果が嬉しかった。ちょっと自信になった。

強くなれたかは分からないけど、行く前と行った後では、何か良い変化があったように思う。

この旅をきっかけに、わたしは色んな土地へ1人で行くようになった。今となっては、OTO OTOの活動で色んな土地へ遠征することにも役立っているかもしれない。初めての場所で出展すること、移動することが全く苦でない。人生、何かとつながってくるものだなあ。

いつか、沖縄でも出展できますように。



***

(おまけ)


お土産に買って帰った「ペンギン食堂のラー油」。当時は、人気すぎてひとり1本までしか買えなかった。2020年の自粛中、ふと思い出して検索してみたら、通販できるようになったので、お取り寄せした。

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ご飯にかけたら最高なんだ◎


episode.26  おわり


▼これまでの旅noteはこちらから

日本の47都道府県のうち、これまでに44個の場所へ行ったことのあるわたしの旅を、少しずつ連載として書いていきます。

これまでに、北海道や東北・東京の旅を綴っています。






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