見出し画像

10月2日、久々にモーツァルト... それも、ど真ん中のモーツァルト... けど、いつもとは違う視点で見つめてみる...

ジュリアン・ショーヴァン率いるル・コンセール・ド・ラ・ローグの演奏で、モーツァルトの40番の交響曲、アンドレアス・シュタイアーのソロによる、23番のピアノ協奏曲。

1787年にプラハで初演されたオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の序曲で幕を開け、1786年に作曲された23番のピアノ協奏曲が弾かれ、最後に、1788年に完成した40番の交響曲が演奏される。モーツァルトと言えば... というお馴染みの名曲、3曲。まさに、モーツァルト、ど真ん中!

ど真ん中なのだけれど、それは、1780年代後半、モーツァルトが苦戦していた頃の作品で... オペラは、帝都、ウィーンではなく、プラハで上演し、せっかく書いた交響曲は、演奏する場がなかった...

1780年代前半、ウィーンの寵児となった若きモーツァルトだったけれど、天才たちが鎬を削ったウィーンの音楽シーンは、モーツァルトにとっても、タフなものだった。そういう背景を意識して聴くと、また何か違ったモーツァルトに聴こえてくる気がする。そんな名曲、3曲...

ショーヴァン+ル・コンセール・ド・ラ・ローグは、この名曲を、名曲たる重みから解放し、等身大のモーツァルト像をさり気なく描き出すかのよう... 『ドン・ジョヴァンニ』序曲、冒頭のヤバい感、23番のピアノ協奏曲、緩徐楽章の寂しげなところ、40番の交響曲のいじけ具合... 1780年代後半のモーツァルトのリアルが聴き馴染んだ音楽から浮かび上がり、モーツァルトをより近くに感じる?いつもとは違う共感を誘う。

そして、忘れてならないのが、鬼才、シュタイアー!Alphaからの登場がめちゃくちゃ新鮮... とはいえ、1790年頃製作、アントン・ヴァルターのピアノ(レプリカ)を巧みに操って、いつもながらのマイペース... 自由自在に飄々とモーツァルト奏でつつ、じわり作曲家の真実へと迫る。さすがの鬼才の仕事ぶり。ただならん...

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?