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さぶすクラシック日誌。2023年版!

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#教会音楽

4月5日、17世紀、自由都市ハンブルク流?ゼレのヨハネ受難曲は、ほんわかポップ!

アントニウス・アダムスクの指揮、ゲッティンゲン・バロック管&合唱団、ダンテス・ディヴィアク(テノール)の福音史家、ヤンノ・シェラー(バリトン)のイエス、ヨハネス・オイラー(カウンターテナー)のピラトで、17世紀、ハンブルクの音楽監督、ゼレのヨハネ受難曲。 Coviello Classics/COV92304 17世紀、イタリアで誕生したバロックが、アルプスを越え、ドイツでも受容されようという頃、その北の辺境に生れ、学び、活動したトマス・ゼレ(1599-1663)... イタ

4月3日、フランドル楽派の大家にしてヴェネツィア楽派の端緒、ヴィラールトの興味深さ... その興味深さを強調する受難曲からの復活祭モテット!

トレ・トム・デニス(テノール)が率いる、ウィーン拠点の古楽ヴォーカル・アンサンブル、ディオニュソス・ナウ!が、ヴィラールトを歌うシリーズ、完結編、ヨハネ受難曲など... "ADRIANO 4"。 Evil Penguin/EPRC0054 生粋のフランドル人にして、フランドル楽派の大家、アドリアン・ヴィラールト(ca.1490-1562)... なわけだけれど、この人を特徴付けるのが、フランドル楽派が打ち立てたルネサンス・ポリフォニーから次なる一歩を踏み出したこと... 1

4月2日、没後400年、バードの、儚げで、やさしいミサに、400年を経て、今、心休まる思い...

イギリスの古楽ヴォーカル・アンサンブル、スティレ・アンティコが、ルネサンスの大家をフィーチャーする、"The Golden Renaissance"のシリーズ、第2弾、没後400年、ウィリアム・バード。 DECCA/4853951 ウィリアム・バード(1543-1623)。 イギリスが世界屈指の強国として第一歩を踏み出す頃、エリザベス1世(在位 : 1558-1603)の時代、女王の庇護下、王室チャペルで活躍し、イギリス・ルネサンスの黄金期を担った、バード。一方で、ローマ教

3月31日、今から300年前、バッハはトーマスカントルに就任した。その選考を巡る、1723年、ドイツ・バロックのパノラマ...

バロック・ヴォーカル・アンサンブル、アエルブグートと、バロック・オーケストラ、カペラ・イェネンシスが、テレマン、グラウプナー、バッハの教会カンタータを取り上げる、"Leipzig 1723"。 accentus music/ACC30598CD 1701年からライプツィヒ市の音楽監督であるトーマスカントルを務めてきたクーナウ(1660-1722)が世を去る。そうして始まる後任選び... 最初の候補は、学生時代、ライプツィヒで活躍したテレマン(1681-1767)... が、

3月27日、旧教から新教へ、教会音楽のうつろいを掘り起こす、"REFORMING HYMNS"... そこから、溢れ出す、やさしさ...

ボー・ホルテン率いる、デンマークの古楽ヴォーカル・アンサンブル、ムジカ・フィクタが、16世紀、宗教改革が進むデンマークで歌われた賛美歌の数々を取り上げる、"REFORMING HYMNS"。 DACAPO/8226142 17世紀、宗教改革(1517)により新たな教会音楽が模索された時代、新教へ移行するデンマークの状況に注目した、"REFORMING HYMNS(改革派賛美歌集)"。神学者にして牧師、ハンス・トミソン(1532-73)が編纂したデンマーク語詩篇集(1569)

3月19日、アンデルセンの国の受難曲... サーアンセンのマタイ受難曲からこぼれ出すメルヘンに癒される。

グレーテ・ペデーシェン率いるノルウェー・ソリスト合唱団の歌、ノルウェーの室内オーケストラ、アンサンブル・アレグリアの演奏で、デンマークの作曲家、サーアンセンのマタイ受難曲。 BIS/BISSA2611 2019年に作曲され、2020年、オスロ国際教会音楽祭で初演される予定が、コロナ禍で延期... 2021年、デジタル配信の形で初演された、ベント・サーアンセン(b.1958)のマタイ受難曲... 聖書をベースにしながら、19世紀、アメリカを生きたエミリー・ディキンソンに、20

3月13日、ルネサンス的壮麗とプログレ風のカッコ良さを結ぶ、驚くべき21世紀のミサ「ロム・アルメ」。

ラトヴィアの古楽ヴォーカル・アンサンブル、アルス・アンティカ・リガが歌う、プログレ出身という異色のラトヴィアの作曲家、プラウリンシュによる、ミサと間奏曲、「ロム・アルメ」。 SKANI/SKANI142 オケゲム(ca.1410-97)、ジョスカン・デ・プレ(ca.1450/1455-1521)ら、ルネサンスの大家たちにより、多く書かれた、古謡「ロル・アルメ(武装した男)」のテーマに基づく定旋律ミサ... それに倣い、男声5人のアルス・アンティカ・リガのために書かれた、ウギ

3月12日、ナポリ楽派、知られざる作曲家、サルクーニのミサの花々しさ!

バルト・ファン・デ・ウェーゲ率いるラ・ヒスパノフラメンカの歌、アン・クノップ率いるル・パヴィヨン・ド・ミュジクの演奏、ナポリ楽派の知られざる作曲家、サルクーニの器楽を伴う5声のミサ... ET'CETERA/KTC1763 ジャコモ・サルクーニ(1690-1758)。 ナポリの様々な教会で聖歌隊長を務め、音楽教師としても活動していた、サルクーニ... ナポリ楽派、第一世代、ポルポラ(1686-1768)と、ナポリ楽派、夭折の天才、ペルゴレージ(1710-1736)に挟まれた

3月10日、"SALVE REGINA"、ソプラノの高雅さが引き出す、ヘンデルの研ぎ澄まされた美しさ!

フランスのソプラノ、ジュリー・ロゼが、アドリア・グラシア・ガルベス率いるミレニアム・オーケストラの演奏で、ヘンデルのサルヴェ・レジーナ、グローリア、オラトリオのアリアを歌う、"SALVE REGINA"。 RICERCAR/RIC442 序曲のような感じで取り上げられる、スウェーデン、ウプサラ大学が所蔵しているという謎の作品、5声の協奏曲(『エイシスとガラテア』などからの編曲による... )で始まり、サルヴェ・レジーナ(HWV 241)、オラトリオ『エステル』(HWV 50

3月8日、"SACROPROFANO"、ヴィヴァルディが生きた時代のヴェネツィアの危うい魅惑...

イギリスのカウンターテナー、ティム・ミードが、ジョナサン・コーエン率いるイギリスのピリオド・アンサンブル、アルカンジェロの演奏で歌う、ヴィヴァルディの教会音楽と世俗カンタータ... "SACROPROFANO"。 ALPHA/ALPHA914 ニシ・ドミヌス(RV 608)、サルヴェ・レジーナ(RV 618)の教会音楽に、世俗カンタータ、『やめてください、本当にやめて』(RV 684)と『恋の神よ、わかった、おまえの勝ちだ』(RV 683)の、アルト・ソロによる4曲... 

3月6日、いつもとは違う温度感で魅了してくる、バッハ、アルト・ソロによる2つのカンタータ...

イギリスのカウンターテナー、アレックス・ポッターが、オランダのオルガニスト、レオ・ファン・ドゥセラール、ベルギーのピリオド・アンサンブル、イル・ガルデリーノの演奏で、バッハのアルト・ソロによるカンタータ、35番と169番を歌う。 passacaille/PAS1092 1726年、トーマスカントル(実質、ライプツィヒ市の音楽監督、聖トーマス教会の楽長で、聖歌隊の指導者... )に就任して、3年目、バッハ(1685-1750)が才能あるアルト(聖歌隊のアルト少年?)を見出し、

2月25日、モーツァルトの時代のミラノの教会を覗いてみたら... ラヴリー!

ジュリオ・プランディ率いる、イタリアのピリオド・アンサンブル、ギスリエリ管弦楽団と合唱団が、若きモーツァルトのミラノ滞在にスポットを当てる!モーツァルトは、もちろん、J.C.バッハら、ミラノで活躍した作曲家たちによる教会音楽の数々... "Mozart in Milan"。 ARCANA/A538 "ロンドンのバッハ"として知られる、バッハ家の末っ子、ヨハン・クリスティアン(1735-82)は、ロンドンへと渡る前、ミラノのドゥオーモのオルガニスト(1760-62)だった..

1月28日、本当に北ドイツ?その色彩感、明朗さ、もう完全にイタリア!驚くべき、ゼレ・ワールド!

モニカ・マンデラルツ率いる、ハンブルクの古楽アンサンブル、ミュゼズ・フェローズの歌と演奏で、17世紀、北ドイツで活躍したゼレの2声のためのコンチェルト集を取り上げる、"Kinder des Liechts"。 Coviello CLASSICS/COV92214 1641年から、ハンブルク、ヨハネウム学院のカントル(実質、自由ハンザ都市ハンブルクの音楽監督、後に、テレマン、C.P.E.バッハが歴任... )として活躍した、ゼレ(1599-1663)。なのだけれど、ハンブルク

1月26日、やわらかな厳粛さに包まれる、17世紀、リエージュの晩課... に、癒される。

アンサンブル・ポリアルモニークの歌、ファビアン・ムラール率いる古楽アンサンブル、コンチェルト・インペリアーレの演奏で、17世紀、ベルギー、司教座都市、リエージュにおける晩課を再現、"Ad Vesperas"。 MUSIQUE EN WALLONIE/MEW2201 ヴェネツィア楽派、アンドレア・ガブリエリ(1533-85)のトッカータ(壮麗なオルガンによる演奏!)で始まり、厳かなグレゴリオ聖歌に導かれるように、ランベール・ド・セーヴ(1548-1614)ら、リエージュの作曲