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立てかけてあるギターとギターケースにしまったギター

癌を告知されて丁度11ヶ月。来月で一年になろうとしている。あれだけ復調を願って治療やリハビリを頑張っていたけど、この1ヶ月の間は肩透かしにあったかのように気持ちがついてこない。
現状、
家族に迷惑をかけているのだから家事はやるようにしている。事実、今の家計を支えてくれているのは家内だし、家内の助けをしないことには。
これだけ食べられるようになったのだから味覚ももっと戻ってくる。
体重が増えて来ているのだから血液も基準の数字に近づいて来ている。
毎日ウォーキングして、余裕のある時は壁にボールを当てて野球ボールを追いかけて、ゴルフの打ちっぱなしで何も考えずひたすらボールを打つ。
毎晩ギターを弾いてコロナが落ち着いたらスタジオ入りしたい。
今まで働けていなかったから精力的に就職活動もできる。

あれだけ布団の上で過ごす事が当たり前だったのが嘘みたいに動き回っている。6月から通い出した鍼灸医のおかげもあるだろう。
あれだけ痛かった顎関節症も治った。食事も沢山摂れるように唾液が沢山出るように、顎下に電気針やマッサージを受ける。
「確かに癌治療は的確かもしれないけど、その後のケアは全く患者を診ていないな」鍼灸医の院長の台詞。確かに退院後は治療後の後遺症の血液を診てくれているのは確かだが、放射線や抗がん剤の影響でおかしくなっている身体のケアや診断は受けていない。「鍼灸で全身の状態を上げていくから、まかせてくれ」とニヤリと笑う院長。確かに信用できる。実際に院長直々ではないが過去にもお世話になっているし、今の復調も鍼灸に通ってからだと想う。
通うきっかけになっていた顎関節症も最初は歯科医で診てもらうように癌の主治医からアドバイスもあった。
近所の歯科医で顎関節症の話をしても、治療はなく、「意識して歯と歯を食いしばらないか」人間自然な状態な時は口は閉じていても歯と歯は噛み合っていないらしい。こちらとしては唾液が少なく、朝起きると口がカラっからに乾いて、舌もザラザラを通り越してひどい状況。それを少しでも和らげるため、朝起きた時に口が乾燥しない為に、自然と強く食い縛って寝て起きていたから顎関節症を起こした。
また主治医に相談したらマウスピースを作るよう話をされるが、歯科医では首を縦に振ってはくれなかった。結局ひどくなる一方だったので、鍼灸医に通った。これがその経緯。院長にマウスピースの話をしたら、「今の口の状況じゃ唾液が少ないから余計に口腔内を痛める。マウスピースは作らないほうがいい」とのこと。結果、今は顎関節症の治療はほとんど行っておらず、全身の調子をあげる事がメインになっている。
今は顎関節症を起こしていた原因にもなっており、生え方のおかしい親知らずのクリーニング方法で主治医と歯科医もアベコベになっている。
「もっと奥歯を綺麗にしてもらってください。音波スケーラーを使えば綺麗になって腫れもひいてくるでしょう」そのまま歯科医に伝えると、「音波スケーラーは使っています。生え方がかなり横向きなので、歯茎にかくれて歯を磨きにくくなっている。もしこれ以上綺麗にするなら、口腔外科の紹介状を書いてもらって、それなりの大きな病院で抜いてもらった方が良いですよね。でも抜いちゃダメなんですよね」
癌患部がこの親知らずの下顎だったので、主治医からも親知らずは抜かないでと散々注意されている。
また先日の診断で「下顎に針をザクザク刺してもらうと困るんですよね。もし癌が再発していたら悪化させる原因になる」電気針なので、針を刺している訳ではない旨を伝えて「それで体調が良くなれば別にいいのですが」と、あまり良い顔はしていない。

3者3様。
そりゃ各々のプロフェッショナルだから自分の治療法を出せばいいだろうけど、この医師方には本当にお世話になっているので、間に立たされている自分でも結構なストレスになる。
あれして、それはだめ、これして、これもだめ。
綱引きも一対一なら解決策もあるようなものだけど、3つも意見がバラバラで、しかも匙を投げているような状況下。

家内にも相談しようにも家内も今は自分の仕事でかなりの忙しさ。家事の大半をこちらが担っている。最近は体調を崩したのか、仕事が上手くいかないのかオイラが働けていない事がトリガーとなって夫婦仲もギクシャクしだした。そりゃあれだけの大病をしたのだがら家計が火の車だってのはわかっている。それに仕事も動ける様になって来てから探していたにも関わらず、主夫だけをしていると思われたのか…。
あれだけ回復を願ってくれて動けていなかったのが、動き出したから余計にサボって見えて来たかは、分からない。

治療、家と今度は安心できない心境にもなってきた。
毎日復調にと努めていたものが、義務感に変わって感情がなくなって来た。こうなると自分を守る為なのか心境が変わっているのが良く分かる。
あれもこれもしたいと願ってリハビリしていたのがバカらしくなってきたし、家事もやるだけでストレスが溜まるのがすごくわかる。各病院への通院もお金がかかると考えると行くのを躊躇してしまう。
そこで、いま一番自分に必要ないものを一つづつ負担を減らしていこうと考える様になってきた。
眠たければ寝よう。食欲は相変わらず味によって左右されるし、甘いものは食べられないし、食べても分からない。とりあえず喉の潤いだけは保つ様に、水分は多く摂る様にしよう。

そう考えると、今一番触っていないのがギターになる。当分、ギターはしまっておこう。

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