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女子高生の映画レポ 『聖の青春』

森義隆監督

私は映画鑑賞後に、毎回映画ノートを書いている。
その内容をここにも残しておく。

誰でも言えることだが、まず松山ケンイチさんの体型管理。

痩せることも大変だが、あれだけ太ることも相当の労力と時間がかかるはず。

太り方もさまざまだが、まさに村山聖そのものだった。

本当に尊敬する。

試写会の時にはすっかり本来の体型に戻っていた。

俳優にとって、自分の体は自分のものではなく、役のもの。

撮影中でなくても、自分の生活をしていても、

役の体・思想を作っていかなければならない。

髪も爪もそう。管理が大変。

だが、そのように見た目に特徴がある役の方が、かえって俳優にとっては楽なのか
もしれない。(楽と言うと語弊がある)

役を掴みやすいだろう。

だが、松山さんは外見を寄せるだけではもちろんなかった。


村山聖は、いつも死と隣り合わせで生きている。

その一瞬をなんとか生きている。

「必死」と言う言葉そのものだ。

と言う割には将棋以外にも、遊んでいる(酒・麻雀・競馬…)。

これが矛盾しているのだが、人間はそんな単純ではない。

それらもひっくるめて「村山聖」という、チャーミングで恐ろしい人間なんだと思う。


最初、医者の忠告を聞かなかったのは、生きることを諦めているのではなく、

今を無駄にしたくないから。今に必死だから。

序盤に、村山の対局シーンと対比で、スローモーションの画がいくつかあった。
(蕎麦屋・スーパー・談笑する女子高生)

そういう日常の景色とは違う世界が村山にはあって、そこで生きている。

というメッセージが伝わってきた。すごく好きだった。

雪が降り積もった旅館で羽生と対局する場面。2羽の白い鳥が空を飛んでいる画が出てきた。

どういう意図なんだろう。2羽というのが気になる。村山と羽生?

その後羽生が負けて夜2人で飲み直している場面。

「2人でその先の景色に行く」と言っていた。

2羽の鳥が、他の鳥を置いて遠くへ飛んで行ったのは、その言葉を体現したものなのだろうか。


後半、村山は髪と爪を切った。

覚悟をして手術をしても、村山に残された時間は短かった。

それを一番理解していたのは村山自身。

「髪や爪にも命があり、切ったらかわいそう」と伸ばすことも無意味だと悟ったのだろう。

それでも駒を夜中動かす姿を見て、私も涙が出た。


どんなに自堕落な生き方でも、1つ使命のように思えることがあるのはすごい。

そんな将棋に出会えたのも、病気だったからこそかもしれない。


私も、村山聖にとっての将棋のようなものに出会いたい。

必死に生きて、一瞬一瞬を大事に生きていたら出会えるかもしれない。


鑑賞後いろいろ調べていたら、ちょっと面白いことが。

同じく将棋をテーマにした『3月のライオン』という作品がある。

そのキャラクターの1人に、村山聖がモデルとなった人物が。

その人物を映画で演じたのが、染谷将太さん。

俳優はこの世に星の数ほどいるけれど、
そういう最前線で活躍する方々の世界は狭く、いろいろな縁で溢れているんだろうな。

素敵。

また、松山さんと染谷さんは後に『聖☆おにいさん』で共演。

これもすごく面白かったし、お二人の演技が生きていた。

どんな役も演じるお二人、尊敬!!


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