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選択肢を知ること、そのきっかけをつくること。

大人の島留学・島体験に参画した皆さんの来島前・来島後、そしてこれからについてお届けする「私、島で働く。」

来島のきっかけ、仕事の様子、仕事への想い、自分自身の変化など1人1人のストーリーをお届けします。

今回、お話を伺ったのは
海士町立福井小学校で勤務していた2022年度4月期生の外村美琴さん。

来島前から周囲のアドバイスや提案からヒントを得ることが多かったということですが、そのヒントから外村さんが導いたものとは…。

外村美琴さん 
R4年度4月期島体験生として来島しました。

ー島体験に参画したきっかけは?

色んな生き方をしている人と出会いたい

外村:大学3年の春から始めた就職活動を通じて、将来の進路について考えている時、参加を検討していた大学のフィールドワーク関連の授業がコロナ
の関係でたくさん無くなり…。

撮影:奥野

けれど、やはり地域に出て実践的に学びたいという思いがあり、地域活性化関連のインターンをネットで検索していたら偶然に島体験を見つけて。おもしろそう!と思って応募しました。

また、そういった機会の中で色んな生き方をしている人と出会ってみたいと思っていました。


ー今の事業所を選んだのはなぜ?

軸を決めて、地域を見る

もともと大学で地域活性化とか地方創生を学んでいたので、最初の事業所選びでは人づくり特命担当か半官半X特命担当を考えていました。

半年経ってわかったことですが、人づくり特命担当や半官半X特命担当っていろいろな仕事をするんですよね。そういうのも自分は好きだったのですが、「地域活性化を見るのなら教育や観光という1つ軸になる視点があったほうがぶれなくていいのでは?」と事務局の方からアドバイスをしていただいたんです。それが自分には大きなヒントになりました。

ぶれなくていいんじゃないかって言われたところで「あ、確かに。」って納得したんです。自分は「あれやりたいこれやりたい!」となっても具体性がなく、少し狭めてみないと決まらないことが多くて。教育分野に1つフォーカスして、最終的に福井小学校での勤務が決まりました。


ー実際に福井小学校で働いてみていかがでしたか?

知らなかったら知らないままで

小学校での勤務は学校にいる時間が多いので、その内側にいる小学生たちに自然と目が行くようになっていきました。私自身の関心も「地域活性化!!」というよりかは”子ども達のこれからと教育”へと移っていきました。

そんな日々の業務の中で感じたのは「選択肢」についての課題でした。

地方にいると、”他にも選択肢があること” を知らないまま過ごすこともあるなあと感じています。選択肢を知るきっかけは、結局は人から教えてもらうのが大切なんじゃないかって私は思っていて。”選択肢を増やせばいい”というわけでもないですが、多くの人と関わって”選択肢を知ること”が大切だなって。

今あるコミュニティの中でも、子どもたちは楽んでいるし、それでもいいと思うけれど、関わる人は限定的で。地域の人との関わりも、本土より多いかもしれないけど、部活や習ってるスポーツもレパートリーが少ない。今はオンラインもあるけど、近くで習い事を教えてもらうことが難しい環境がここにはあって。

こういった現状を見て、たかが半年しかいない自分だけど何かできないかなと考えていた時、自分には島体験・大人の島留学のコミュニティがあることを思い出したんです。

自分が今持っている繋がりを活かして、子どもたちが新しく触れられるものを増やせたらいいなという思いから、島体験・島留学生に声をかけ、企画に繋げていきました。そういった企画が子どもたちにとって自分の得意なものに出会う機会になればいいなと思っていました。


ー実際にどんな取り組みをしたのでしょうか?

いつかの子どもたちへ

夏休み期間は学校が休みになるので、学童「あまっこ」で働いていました。あまっこに勤務している期間内も、園長先生に企画の相談をして。
大人の島留学生の佐藤さんと荻原さんを先生に招き、レザークラフト教室と石ころアート教室を実施しました。

学童あまっこでのレザークラフト教室

実際やってみて、地元の20代と小学生たちが関わる事って少ないから新鮮だったのかな?とても楽しそうでしたね。

最初は、この時間を通じて「自分たちのねらいに沿ってもらいたい」「実りある時間にして欲しい」と思っていました。ですが、この時間を子どもたちが楽しんでくれていたのが何より印象に残っていて。

その姿を見た時、必要以上に学びに執着しなくても楽しんでくれていたならそれだけでも成功だったのかなって思いました。そして、子どもたちにとって選択肢の幅について気づいてもらうきっかけになっていればいいなと思います。

石ころアート

また、企画だけでなく授業内でもそういった時間をいただけることになり、自身が経験のあるフルートについて音楽の授業をしました。


ー授業にも関わる時間があったんですね、実際やってみていかがでしたか?

中高でフルートを吹いていたので、音楽の授業で子どもたちに楽器の紹介をさせていただきました。こんな楽器あるよ、こんな音がするよっていうのを実際に見てもらって。

担任の先生と相談しながら授業設計から携わらせていただきました。1.2年と3.4年は若干授業内容も変えて実施しました。1.2年とかはちょっと体動かしてみたり、3.4年生にはちょっと知識も入れてみたり。

3.4年の授業では反省点もありましたね。授業内容に鍵盤ハーモニカを取り入れてみたのですが、いざやってもらうと意外と難しかったみたいで、授業時間が伸びてしまったんです。その後、帰りのバスの時間にもギリギリになってしまい、すごく反省しました…。


1.2年生・3.4年生で計2時間分やらせていただき、自分自身も緊張しましたが、子どもたちから「楽しかった!」「また自分でも吹いてみたい!」といった反響があったのでやってよかったなと思っています。

フルートという楽器を通じて色んな選択肢があるんだっていうことを知ってもらったこと。”今”ではなくても”いつかの子どもたちの選択肢”に繋がるような、ふとした時に思い出してもらえたらいいなと思います。

 
ーこういう企画の提案をするときって緊張しますよね…

1学期頃は提案するのもすごく怖くて、緊張しました。最初は先生たちと自分の間に信頼関係もないし、学校という現場の独特の雰囲気があったり。最初はあまり居心地が良いという感覚はなかったですが、3カ月たったころに1学期お疲れ様会とか、アドキャンに参加して徐々に居心地よくなってきたという感じでした。

最初に提案したときは、紙に箇条書きで先生たちにお渡ししただけだったので提案も流れてしまいました。その時、自分の口から直接提案する方が熱意は伝たわるんだなって気づきがあって。

その後、2022年度4月期の島体験生だった小野崎くんの繋がりでウガンダの小学校とのzoom交流会ができそうだということになり、先生に企画を提案して実施に繋げていきました。


ー色々な取り組みをしていたんですね。島での半年を振り返って印象に残っている出来事はありますか?

一番印象に残ってるのはアドキャン

ーアドキャンとは?
アドベンチャーキャンプの略で毎年7-8月に海士町の東地区、倉田海岸で行われる5泊6日のキャンプ。
様々な生活体験(炊事、テント・トイレ設営、いかだづくり、キャンプファイアー等)を通して、困難を乗り越えようとする態度、仲間と支え合う連帯力、自然との共生力、そして、郷土を愛する心を養うことを目的とした行事

今年は7月27日から8月1日に行われたのですが、7月後半は準備が忙しくアドキャン漬けの日々でした。

ーどんなところが印象に残りましたか?
子ども達が5泊6日のキャンプを通じて成長したり変化した姿が印象に残っています。特に、班長を任された子が班のメンバーを頑張ってまとめるようになっていく姿が印象的でした。

自分はカウンセラーという立場で班に入っていましたが、なかなかうまくいかないことも多く大変でした。班で起きた問題の原因について子どもたちに何か聞くこともあれば、様子を観察して考えることもあったり。同じ班のカウンセラーだった、他の島体験生とも班のことをよく話しました。本当にすごく濃い時間でしたね。


ー半年間の島での生活から自身の変化や気づき・学びはありましたか?

指針がクリアになったこと

自分自身が進んでいきたい方向性がだいぶ絞れてきたことでしょうか。
今まではやりたいことがぼやっとしてたけど、クリアになってきた感覚があります。具体的に言えば、地域活性化の中でも教育に軸を置きたいとう1つの指針ができたことが大きな変化です。

ここで働いた時間を通じて、
「自分らしくあることや納得できる人生かどうか、あるいは自分が楽しいって思えることができるているかどうか」みたいな部分を子どもたちに持ってもらえたらいいなと思うようになりました。ただ、それは大人が教えるというより、子どもたちが自分自身で気づいてもらうような。

そして、そこに自分が関わったり、きっかけを与えていくような人になりたいです。

また、働くことの裏側や職場によって雰囲気が全然違うことを就職する前に知れたことも自身の学びに繋がっています。シェアハウスでの暮らしは、自分の職場だけではなくて、シェアメイトのいる他の職場を間接的にでも知れました。学生という立場にいる今の時間に、色んな職場があることを知れたので就活に挑みやすくなりましたし、怖がらなくてもいいなって思えるようになりました。

シェアハウスでの暮らしという点でいえば、人との違いで自分が見えてきます。自分の性格やタイプを知れたので自己分析的な面でも得るものがあったと思います。


自分自身が選択肢を知る時間になった

休学してここに来ることへの抵抗感はあったけれど、よし行くぞって思って選んだ道のなかで、求めていること以外も吸収したし、その道中にもいろんなものがあったと感じています。

やっぱり周りからたくさんヒントをもらっていたなと思います。島前には色んな経歴の人がいる。旅行に来てる人もそうだし、色とりどりの社会人経験を持った人が働いている。


そういう人たちの話を聞いて、こういう生き方があるんだなって思えるし、そういうのもありなんだっていう選択肢を知って。自分だけでは気づけないところを海士に来てからもたくさん気づかせてもらったなと思います。

振り返ってみると、ここに来る決断をした時も、大学進学を決めた時も、周りからアドバイスもらってヒントを得ることが多かったなと思います。
人に決断を任せるわけではないけど、自分よりも経験のある人の話から得るものは多い。だから、新しい視点をとりに行くという点でも相談は大事だなと思います。

そういった自身の背景も含めて、子どもに選択肢を知ってもらいたいというところにつながっているんだと思います。

島で暮らした時間は、自分の人生の中で異質な時間というか。元の環境に帰って振り返ったら寄り道のような時間かもしれません。

けれど、ただふらっと寄ったというより、自分で選んで歩いてきた意志のある感じだったのでワクワクしてたし、実際来てよかったなと思っています。


あとがき

今いる場所から1歩外に出ると、自分が想像している以上に

世界は広くて、案外狭いなあと思います。

色んな人・もの・できごとが世の中には溢れていて

色んな選択肢があります。

大人の島留学・島体験・複業島留学もそのひとつ

カバン1つで留学できる。


なんだかちょっとわくわくしますよね。

誰かの次の選択肢になりますように



▼島留学が気になる方はまず説明会へ!


最後までお付き合いいただきありがとうございました。

また次回お会いしましょう!!!!!

                 (インタビュー・執筆 / 田中沙采)


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