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成長するために全て必要なものだった

島根県の離島、隠岐島前地域で大人の島留学・島体験に参画した皆さんの来島前・来島後、そしてこれからについてお届けする「私、島で働く。」

来島のきっかけから島での仕事・暮らし、自分自身の変化など1人1人のストーリーをお届けしています。

今回お話を伺ったのは、知夫村教育委員会で勤務していた松前さん。

「今までに経験したことのない1年にしたい。」

そんな想いから休学を決め、新しい経験の1歩目として
島体験に参画した松前さんに4月からの3カ月を振り返っていただきました。

松前ひなさん 長野県出身(取材当時大学2年生)
2022年度4-6月期島体験生として来島しました。


今まで経験したことない何かで一年間を過ごしたい

自分が大学に入学したとき、ちょうどコロナがはじまったタイミングでした。大学に入学しても1年目はずっと実家にいたし、2年目もサークルや課外活動は何もできなくて。

正直、全然楽しくない大学生活だったので、このまま終わるのはちょっともったいないなと。
どうせなら今まで経験したことのない何かを一年間でやりたい。自分のための時間を過ごそうと思って休学を決意しました。

今まで自分がやったことのないことって何だろう?って考えてみた時に、海なし県で育ってきたので、海というものに無縁だなと思って。
だから、せっかくだし海のある離島や、他にも色んな場所に住んでみようと思いました。

それと、休学する前ゲストハウスにいたのですが、一緒に住んでた人からいろんな所に行ったのを自慢されて、、、
それが悔しくて「私の方がいろんな場所に住んでやる!」って思ったのも理由ですね(笑)

それで、どうにか離島に住める術はないかと探していた時に、
昨年度、島体験に参画していた渡辺さんと偶然出会ってこのプログラムを紹介してもらいました。




やるかやらないかの時、やってみるを選ぶ

もともと行動力のないタイプだったのですが、
高校時代に一緒に行動してた同級生がいつの間にか起業していたり、
学校の立ち上げに携わっている姿を見て ”悔しい” って思ったんです。

何より悔しかったのが一緒にヒッチハイクした子が世界一周したこと。
それがめちゃくちゃ悔しくて。

悔しいって気持ちの時に考えたんですが、結局、物事やるかやらないかなんだなって気がついて、そこに悔しさの原因があるような気がしました。
それなら、やる人になろうって思うようになったんです。


私は、オールラウンダーのような何でもこなせる人間になりたいなという理想があって。

知夫は人口約600人ということもあり、同じ校舎内に小中学校両方あるんです。そういった環境であるからこそ、いろんな児童生徒に関われるし、仕事がたくさんもらえるんだろうなって思って。

そういうのを全部こなせるようになりたいなって思っていたので、
知夫の小中学校を選びました。


結果的に小中学校ではなく、教育委員会で働くことにはなったんですけど、ここに来られてほんとによかったなと思っています。

それは自分が期待してたような色んな仕事が体験できたっていうのもあるけど、事業所の方々が人とても憧れるような方がたくさんいらっしゃったことが大きくて。

一緒に働き、面倒を見てもらう中で私もこういう人になりたいなって思いました。




私が放課後学習会で伝えたかったこと

個人的に一番成長できたなって思えるのは、放課後学習会でした。

これは自発的に企画したものではなく
「放課後学習会があるんだけどやってくれない?」という感じで
依頼をいただいたのがきっかけでした。

せっかく大学生という立場だから大人が話すよりも、学生として話せることがあるんじゃないかなっと思い引き受けました。

放課後学習会の様子


「自分で意思決定する力を中学生が身に着けられるようになろう」
という所に狙いを置いて、自分の憧れとか夢について言葉にしてもらう時間をつくりました。

あなたの将来の夢って何ですかっていきなり投げかけられても分かんないと思うんですけど、宝くじが当たったら何したいっていわれたら、やりたいことってぽんぽん出てくると思うんですよ。

宝くじが当たったときにやりたいこと、このくらい楽に浮かんでくるものがあなたの憧れとか夢なんじゃないのっていうことに気付いてほしくて。




島ならでは。知夫ならでは。

知夫村では知夫小中学校の中学部に入学または小中学部に転校を希望する児童・生徒を「島留学」として受け入れているのですが、そこの寮(はぐくみ寮)に関われたのが良かったなと思っていて。

小中学生の寮に携われることって滅多にないじゃないですか。
先生的な扱いを受けるのは慣れないけれど、中学生っていう年代と話すことが面白いなって思いました。

あと、島とか知夫という視点でみると
生徒数が多くはないから一人一人が担当する学校内での役割の幅が大きいなと感じて。

はぐくみ寮にて


けれど、それは知夫村の教育委員会もおなじなのかなと感じる場面もあります。
教育委員会なのに開発センターの水道の修理に行ったりとか、本当にそれ教育委員会の仕事ですか?みたいな場面があったりするくらい幅の広さを感じました。

いろんなことを体験したいと思ってここに来ている私にとっては、すごくぴったりな職場だなと思いました。

教育委員会の一つのオフィスにいるだけで、島のいろんな人が遊びに来るんですよ。仕事の合間とかに。
来る人と話す中で、その人がどんな人なのか、その人がいることで島がどんなふうに動いているか、見えてくることがあって。

そういったお話を聞いているうちに今ここで自分が生活できていることのありがたさに気づくというか。
生活がこの人たちのおかげで成り立っているんだなと分かるからこそ、直接感謝を伝えたくなります。今までにない感覚というか、そういう意味でこの場所で働けて良かったなと感じます。




一緒に考えようって悩みの渦から引っ張り出してくれて

最初のうちは初めての社会経験なので、職場の方とあんまり連携っていうものができていなくて。

例えば、寮に関する資料をつくっているとき。
どういうデザインにしようかなとかひとりでずっと悩んでて、でも一人で考えてても思い浮かばなかったんです。

そんな時、職場の人から「今何してるの?どんなことで悩んでるの?」って声をかけてくれて。
どうしようもなく悩んでますって言ったら、職場の人が一緒に考えようって悩みの渦から引っ張り出してくださったんです。
ためらわずコミュニケーションをとることで解決できることがあるんだなと気づきました。

この経験はうまく言えないけど今後に活きるんじゃないかなと思っています。



海士の体験生と自分

海士の教育委員会で働いていた名取さんと山田さんと話した時に
自分がしたことのない経験をしていたのを聞いて悔しくて。

More and More精神というか
今ある仕事以上に求めていくことを大切にしたいと思っていたのに、自分はそれができてなかったなっていうのを海士の2人を見て気がついて。


最終報告会の様子


それから自分は変わった気がします。
例えば、朝礼で共有があった他の方の業務で、気になったら「ついていきます!」って行ったり。
島の中で会いたい人の話を、自分から他の人に話をして、会う機会を作ってもらったり。

自分がやりたいことの話を積極的にできるようになって。
そういうのは自分の変化かなって思います。




知夫で暮らして

山の中で育ってきたけど、意外と海のそばも違和感なくやっていけるんだなあって気がつきました。

赤はげ山にて


特に、長尾のビーチはお気に入りで、仕事帰りにお散歩することが多いです。
人がいない、景色がいい、波の音がするから大声で歌っても怒られない
そこがお気に入りのポイントです(笑)
あと、岩がゴツゴツしてて座りやすいところ。

知夫の海は本当に毎日色が違うから変化を見るのも楽しいなあって思います。特に、5月の海が一番好きでした!

シェアメイトと


私は一箇所にとどまるよりも、いろんなところに行って、いろんな人に会う1年にしたいって決めていたから3カ月の島体験をここで締めくくります。


今は、私以外の島留学生6人が、まだここに残って楽しく仲良く過ごしていくのが悔しいなって思うのと同時にちょっとさみしい感覚です。

知夫での暮らしって、私にとってはうまくいくことばかりではなかったし、もっとこうできればよかったなっていう思い出も多かったです。

けど、知夫での生活は自分にとって成長するために必要な時間だったなと思っています。




あとがき

松前さんのお話を聞きながら
「悔しい、もっと自分にはできる。だから、とにかくやってみる。」という印象を持ちました。

とにかくやってみる!やってみたい!に対して一直線。

でも、時々一生懸命になりすぎて目的を見失ってしまって原点に立ち返っていたという松前さん。


最終報告会では
職場の方から
「”取り敢えずやってみる”を自分も意識しながら働いていたから、それがひなちゃんに伝わっていたのが嬉しかった。」

「なんでも笑顔でやってくれるし、色んなことをちゃんと話してくれるし、一緒に働いて気持ちが良かった」
というコメントも。

▼知夫村役場吾郷さんからのメッセージ

当初、知夫村では1年間の大人の島留学生だけを受け入れることになっていました。ところが、4月現地説明会の後、「3ヶ月の島体験生が1人、どうしても知夫村がいいと言って聞かない」という言葉をコーディネーターのひじりさんから何度も、何度も、何度も言われ、刷り込まれ(笑)
知夫村で暮らしも仕事も両方経験する3ヶ月島体験生が誕生しました。

そんな情熱の塊「松前ひな」の3ヶ月間は、様々なテンションのアップダウンを経験しながらそれでも目標を持って邁進する姿を見せ、エネルギーに満ち溢れ、眩しく輝いていました。
3ヶ月が終わり、最後の報告会で語った理想と現実自分のギャップがどうやら彼女のエネルギーの源なのかな。

さあ、これからも大胆な行動力で理想に向かって突き進んでほしいと小さな島から手を振っています。たまには知夫へおいでよ。
目指せ!BIGWOMAN! (知夫村役場 吾郷)


沢山の方に支えてもらいながら過ごした時間の中で
「島に来て今までよりフレンドリーになった」と松前さん自身の変化も感じていたようです。

悔しいという気持ちがあるなかでも、行動を起こし続けることで
松前さんなりの変化があった3カ月。


新しい環境での変化を ”” で。
そして ”自分自身” で体験してみませんか?

(インタビュー・執筆:大人の島留学 田中沙采)



▼知夫村ってどんな村?!


▼知夫村の大人の島留学生たち

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▼大人の島留学・島体験ってなに?そんな疑問に答えます。


▼隠岐島前にはほかにどんなまちがあるの?


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